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銃の知識ゼロの世界で弾丸補充スキルを授かった冒険者、案の定Bランクパーティにクビにされる~銃を手に入れてから狙撃無双で英雄と呼ばれる件~  作者: ma-no
六章 女神軍

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160 駐屯所に移動


 要塞奪還作戦は完全勝利となったが、司令官を任されていたトウンだけが大怪我。プーシーユーは「鮮血女王に絡むから悪い」と手を合わせていた。

 ヤコビーネはこの場にいた者全員に秘匿の約束を脅して勝ち取ったからもう村跡に帰ろうとしたけど、シモンはやることがあるから竜人騎士団所属の副司令官という人と少し行動を共にする。


「こいつ。こいつが邪神の使いだ。他に3匹いたけど、ちょっと状態が悪いかもしれない。悪いけど、頑張って探してくれ」


 理由はこのことを伝えるため。シモンは血塗れの外壁を恐る恐る歩き、魔獣の下敷きになっていたツギハギだらけの人間らしきモノを引っ張り出した。1人では無理だったから、副司令官が手伝ってくれたよ。

 副司令官もこの現場には驚きを隠せない。それよりも真っ直ぐ邪神の使いの下へ辿り着いたシモンにも驚いていそうだ。


「わかったが……これはお前がやったのか?」

「ご主人様ご主人様。俺は見てただけ」

「そ、そうだよな。鮮血女王ならこれぐらいやれるか……」

「ああ。んじゃ、ご主人様を待たせているから俺は行くな。お疲れさん」

「ああ……」


 自分の手柄だと言っても信じてもらえないだろうと噓つくシモン。副司令官もそれで納得していたから、急いで逃げてった。

 プックたちと合流すると、シモンはヤコビーネに「遅い」と蹴られていたから周りからは「かわいそう」と同情が寄せられている。シモンはシメシメって顔してるけど……


 要塞の後始末は人任せ。シモンたちは一足先に馬車に揺られ、村跡に戻って就寝だ。ちなみに女神軍は後始末と要塞を復旧させるためにそのまま残ってるよ。



 翌日になると、ヤコビーネの命令で秘密部隊は村跡を立つ。シモンたちは行き先を聞かされていないからビクビクだ。

 ヤコビーネがニヤニヤしてるから、違う任務に連行されているとしか思えないらしい。


 その不安は、大きな駐屯所に着いても拭えない。ヤコビーネが勝手に本部にズカズカ入って行くもん。兵士は止めてるのに……


「邪魔するぞ!!」

「「「「「ッ!?」」」」」


 当然、会議をしていてもお構いナシ。ドアをバーンッと開けて出席者を全員驚かせた。


「せ、鮮血女王……??」

「そうじゃ。どうしても証明が必要なら、ここを血の海に変えてやるぞ」


 ヤコビーネが傍若無人すぎて、プーシーユーは「なに言っちゃってんの!?」とあわあわ。会議出席者もビクビクだ。


「だ、大丈夫です……」

「ククク。冗談じゃ。リュークからここにいる参謀に、次の戦場を聞けと言われておるんじゃ。どいつじゃ?」

「……私です」


 竜神騎士団の参謀は皆から視線を向けられたから、恐る恐る手を上げて説明する。


「なんじゃ。まだ決まっておらんのか」

「まさかこんなに終わるのが早いと思っていなかったもので……」

「致し方ないのう。(わらわ)たちに寝床と馳走を用意せい。粗末な部屋だと大人しく待ってやれんかもしれんが……」

「は、はっ!」


 これほどの暴君がすぐ引いてくれるなら、豪華な部屋や料理ぐらい安い物。参謀は部下を走らせて準備を急ぐ。

 しかし待つ間はヤコビーネはここから動く気がないのか、無理矢理空けた椅子にドカッと座って足を組んだ。


「あの~……ちょっといいですか?」


 その時、シモンがペコペコ頭を下げて前に出て来た。


「おま……君は?」

「鮮血女王の下僕と呼んでやってください」

「君が下僕君か。かわいそうに……」


 ヤコビーネと一緒にやって来たのだから、参謀も無碍(むげ)にはできないらしい。下僕の件は報告されていたから、哀れんだ目になったね。


「連絡役にエルフの兵士を1人ほしくて……」

「確か、秘密部隊は報告もなく勝手に戦闘を始めていたと苦情があったな」

「やっぱり……」

「えぇ~。ちゃんと言いましたで~?」


 シモンが連絡役がほしいのは、ユーチェが粗忽者(そこつもの)だから。いや、本当はユーチェに連絡役をやらせると攻撃が途切れるという理由だ。たぶん……


「その件は国王様からも聞いている。今回の作戦が上手く行ったら、連絡役を付けてやってくれとな」

「てことは、くれるのですね?」

「ああ。こんな成果を上げられる部隊には、安い経費だ」

「ありがとうございます!」


 鮮血女王の下僕は礼儀正しいから参謀はちょっとホッとしてる。話ができる人がいなかったら困るからだ。


「ところであんなに遠い場所から、どうやって城壁の上を地獄に変えたのだ?」


 話の流れで、トウンからも「わからない」という報告のことをしれっと聞いてみたら、シモンはヤコビーネをチラッと見た。


「聞きます? 本人の目の前で……本当に聞きます??」

「う、うん……やめておこうか。ご苦労だったな。君も何かと気を付けてな」

「はっ!!」


 でも、シモンがもったいぶった言い方をしたから聞き出せず。それほどヤコビーネが怖いのだろう。

 シモンのことも心配してくれたから、シモンは綺麗な敬礼。参謀のことは信用できる人だと心に刻んだみたいだ。


「あ、あと、勇者パーティってここにいたりしません?」

「彼らなら最前線でしごかれているぞ。どうしてそんなこと聞くのだ?」

「ヤコビーネ様が……」

「あぁ~……」


 シモンは会いたくないだけ。でも、ヤコビーネを出したら勘違いしてくれる参謀であった。


 あの暴君なら、絶対に()ルと……


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