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銃の知識ゼロの世界で弾丸補充スキルを授かった冒険者、案の定Bランクパーティにクビにされる~銃を手に入れてから狙撃無双で英雄と呼ばれる件~  作者: ma-no
六章 女神軍

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157 勝手に開戦


「う~ん……3匹いる?」


 高台からスコープで要塞の外壁の上にいるだろう邪神の使いを探していたシモンは、プックとユーチェに意見を求めた。


「似たようなツギハギやんな?」

「ああ。指示みたいのしてたよな?」

「はい。サルみたいなの蹴飛ばしてはりましたよ」

「じゃあ、この3匹を一気に仕留めて開戦といくか」

「おう!」

「はい!」


 プーシーユーはのほほんと喋っているので、ヤコビーネはやれやれって仕草でやり取りを見ている。


「ユーチェ、左から狙うな。頭パーンッが見たくないなら、すぐに次の目標を見てくれ」

「はい。頭パーンッはイヤどすからね~」

「んじゃ、トウンってヤツに連絡してから、ユーチェのタイミングで撃つぞ」

「は~い」


 ユーチェはスキル【風の(ささや)き】でトウンがいるであろう辺りに「攻撃開始しま~す」と声を飛ばす。そしてシモンの説明する3体の位置を確認したら、一番左にいる邪神の使いに照準を合わせた。


「2、1、撃て」

「……ヒット」

「次、3、2……」


 ユーチェの合図で、1分位内にシモンは3度の発砲。


「うっし。全て、頭パーンッだ」

「その言い方、気が抜けるからやめへん?」

「頭パーンッてプックさんもよく言ってますやん?」

「せやけどな。こういう時は、もうちょっとこう、カッコイイ言い方とかせーへん??」


 目標は完全に沈黙。プックはこういう言い方を期待してるけど、ユーチェも同じ言い方をするから敗訴は濃厚だ。


「うむ。言い方はアレじゃが、敵は混乱しているのう。素晴らしい働きじゃ。よくやった」

「「「あ、はい」」」


 でも、戦闘真っ只中なので、ヤコビーネに褒められたら揉め事も終わりだ。


「トウンに邪神の使いを3匹撃破って伝えてくれ。あと、適当に敵を削るとも」

「はい」

「プック、狙いやすそうなのピックアップしておいてくれ」

「見た目でええか? サルっぽいのが多いな~……アレはオーガっぽいわ」

「うん……オーガっぽいのが狙いやすそうだな」


 プーシーユーは数の少ない目標から狙撃。全て頭に一発でバタバタ倒れて行く。ヤコビーネは最初は感心して見ていたが、50体を超えた辺りから引いてるよ。


「こんなに一方的になるとは……しかも攻撃の届かない場所ではどうしようもないな」


 指揮官不在、攻撃者は見えない場所にいるから、頭の足りない魔獣では狙い放題だからだ。



 それからも一方的にシモンが狙撃していたら、魔獣に動きがあった。


「なんかやたら出て来てへん?」


 そう。プックの言う通り、階段から次々と人型魔獣が現れたのだ。その数は最初にいた数よりも増えている。


「なんだろ……動きもまとまっているような……どこかに邪神の使いがいるかもしれない。プックは探してくれ!」

「あの中から探すんか~」


 木を隠すなら森。魔獣でひしめき合っている場所から探すのは難易度が高い。


「おい。女神軍も来たみたいだぞ」


 時を同じくして、トウン率いる女神軍が到着間際。ヤコビーネから報告が入ると、シモンは苦虫を噛み潰す。


「チッ……楽にしてやると言ったのに、これじゃあ役に立ってないな……」

「どうする? このまま攻めさせるか??」

「やるだけはやっておく。ユーチェ、トウンにまだ突撃するなと言ってくれ」

「はいは~い」


 ユーチェに指示を出したシモンは、プックに声を掛ける。


「10号使うぞ」

「この距離で? 当たる気がせーへんねんけど~??」

「狙いは俺が定める。プックはしっかり支えてくれ。ま、あんなに固まってるんだ。数撃ちゃ当たるだろ」

「プッ。シモンはんの一番嫌いな戦い方や~ん」


 最終兵器、ガトリングガン、早くも投入。プックに持ち手を握らせたシモンは、後ろから包み込むようにガトリングガンの照準を合わせるのであった……



 時は少し戻り、この頃の女神軍は要塞から1キロ地点を進軍していた。


「あの鮮血女王の下僕、本当に使えるのかね~?」


 トウンはシモンの案を許可したが、半信半疑。【猛虎迅雷】という自分で集めた屈強なパーティメンバーと一緒に、1キロ以上離れた敵を倒すなんてできないだろうと高を(くく)っている節がある。


「あん?」


 そんな無駄話をしていたら、トウンは急にキョロキョロし出した。


「敵か?」

「いや。女の声で、邪神の使いを3匹倒したって聞こえたから……」

「「「「「はあ??」」」」」


 まだ自分たちは現場に着いてもいないのだから、誰が悪ふざけしているのかとトウンたちは周りを見回した。


「ちょっと待て。鮮血女王の仲間にエルフがいただろ? そいつがスキルで声を届けるとか言ってなかったか??」

「……言ってた! え? もう初めてやがるのか!?」


 どうやら開戦の合図はトウンに届いてなかったみたい。ユーチェは粗忽者(そこつもの)だから、まったく違う人に届けたと思われる。

 それでなくとも信じられない内容だから、トウンたちは「嘘やろ~」と笑っていた。


「さあ……そろそろ着くぞ」


 女神軍はもう間もなく要塞が見える距離。トウンが気を引き締めるような発言をしたら、またユーチェの声が届いた。


「はあ? なにお前らが命令してんだよ」

「あ? なに言ってんだ??」

「鮮血女王のエルフだよ。100匹以上倒したけど、3倍は増えたから待てだとよ。邪神の使いも復活したとかなんとか言ってやがんだ」

「「「「はあ??」」」」


 猛虎迅雷は何に驚いていいかわからないみたい。この短時間で100体以上も倒したのか、外壁に魔獣の援軍がみっしりいるとか、邪神の使いが本当にいるのかと……


「やはり嘘じゃないか? 俺たちが見てないからって適当に言ってるとか」

「だろうな。チッ。ふざけたことばっかり言いやがって……野郎共! 鮮血女王は役に立たねぇ! いつも通りの作戦で行くぞ!!」


 不確かな情報は戦いの邪魔だと斬り捨てた猛虎迅雷。女神軍を鼓舞して進軍し、要塞の前に陣を敷くのであっ……


「「「「「なんだこれ……」」」」」


 要塞の外壁の上では血飛沫(ちしぶき)が舞い、肉が飛び散り、壁伝いに血が流れるまさかの風景。トウンたち女神軍はありえない光景に驚き、立ち尽くしてしまうのであった。


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