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九十六、歪む空
「は!?アイツだけ精神世界に入った?」
戻ってきた雫と龍の話を聞き、俺は驚きの声を上げた。
「龍!今からでも追う!俺んトコ乗せて…。」
『それは無理だ。』
「なんでやねん!!!」
『本来異空間を行き来できぬ人間を、無理やり通したのだ。見てみろ。あの空を。』
龍にそう言われ、上を見上げる。
「なっ…。」
依然として荒れている空。その空に、まるでガラスの様にヒビが入っている。
『空間を開けられるのは、もって後1回分。あの小娘が戻ってくる時だ。もしそれ以上人間に空間の行き来をさせようものなら…。』
「クッ…ソ。」
そんなこと、最後まで言わんでも分かるわ…。悔しさに、拳をギュッと握りしめた。
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「大丈夫。絶対帰ってきます。」
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「千晶…っ!」
歪に歪む空に向かい、名を呼ぶ。
またしても俺は、信じて待つことしかできない己の無力さに打ちひしがれていた。




