94/109
九十四、何も見えない
「うわぁぁぁぁぁぁ!!!」
ドスッという鈍い音を立てて、硬い面上に落下する。
「いっててて…。」
地面?に打ち付けてしまった背後を、手の届く範囲でさすりながら顔を上げる。
「どうなってるの…ここ。」
龍我の精神世界に入ったのだから、他の場所であることは決してあり得ないのだが、なんだか様子がおかしい。
どこか神聖さを感じさせる冷気、光の差しこまない洞窟の様な岩場、そこに混ざる神聖さとは相反する、冷たい空気。
辺りを見回しても、暗くてそもそも見えないのだが、肝心の探し人の気配が感じられない。
「どこに…ん?」
どこか遠い場所から、水の流れる音が聞こえる。
「…行かなきゃ。」
龍我はきっとそっちにいる。不思議と、そう直感した。
暗く、冷たく、光の無い空間。正直、すごく怖い。
でも、だったら尚のこと龍我を放って置きたくない。
水音のする方へ、私は手探りで歩みを進めた。




