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通りすがりの陰陽師2  作者: チャーハン・神代
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八十二、どうでもいいか

 ーー走る。


 走る。走る。走る。

 山の上へ向かって、ただひたすらに走る。


「っはぁっ…!はぁっ…っ。」


 体力が尽きて、倒れるように道路のアスファルトに膝をつく。

 あがって来た息が落ち着いてくると、ごうごうと水の落ちる音が耳に入ってきた。

 音の方に顔を向けると、道路の頂上にあるダムが目に入る。ゆっくりと体を起こし、とぼとぼと歩みを進める。

 ダムの淵を歩き、丁度真ん中のあたりで腰をおろす。

月明かりに照らされて、流れる水がキラキラと輝いて見えた。


「はぁ…。」


ゆだねろ。』


「え…?」


 どこからか、突然声が聞こえた。

 夢でよく聞いていた、あの声が。


「っ…いたっ!!!」


 いつの間にやら、俺を追いかけてきたらしい千晶が、肩で息をしながら叫んだ。


「千晶?…っうおっ!?」


「っ!?龍我!!!」


 何かに引きずられるように、体が後ろ側に倒れていく。

 背中が冷たい。

 水が俺を、後ろに引っ張っているみたいだ。

 バランスを崩して、背中から水の中に落ちていく。

 スローモーションのように遠くなって見える星空に向かい、俺は自嘲気味の笑みを浮かべた。


 あぁ…別にいいか。こんな人生。


 もう…。


 ーーどうでもいいや…。

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