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通りすがりの陰陽師2  作者: チャーハン・神代
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八十、夢の声

 青葉が日の光を浴びて、キラキラと輝く山の中。急な山道を歩く俺は、はぁはぁと息をあげているが、風が涼しく、不思議と嫌な気分はしない。

 道の横には川が流れており、その向こう側の岩場には大きな滝がある。


『…また悩み事か?』


 滝に影が現れ、その奥にある洞窟からいつもの声が聞こえた。


 そうか…これはまた、いつもの夢か。


「うん。まぁ、そんなとこ。」


 姿の見えない誰かの声に、これまたいつもの様に返事をする。


「でも、ここに来ればあんたが話聞いてくれるし、大分気は楽になるから…。」


『だが目が覚めれば、また顔を合わせたくない者たちがいるだろう?』


「…。」


 謎の声の言葉に、俺は押し黙る。


『…罰を…与えたいとは思わないか?』


「え…。」


『以前から言っている様に、お前にはその気になれば世界を覆す力が備わっている。泣き寝入りする必要など無い。』


「なんだよ…あんた、この前と言ってること違くね?第一、俺にそんな力ねーよ。」


 少し前までは、力を振りかざそうとしないことこそがお前の良さだとか、そんなことを言っていた気がする。


『最近のお前を見ていると、いつなんどき壊れてしまってもおかしくないと思えてな…。私も思うところがあったのだよ。』


 確かに理不尽な現実を憎んではいるが、最近は諦めに近い感情を抱き始めていて、でも、諦めたくないのも事実で…。

 心底どーでもいいと思うことができたなら、どんなに楽だろうと暇さえあれば考えている始末だ。


「そーだな…。もし…もし我慢出来なくなったら、そん時は全部めちゃくちゃにすんのも悪くない…かもしんねーな。」


 天を仰ぎながら、ぽつりとそう呟く。


『その言葉…忘れないぞ。』


「え…?」


 最後に影の主が何か言ったが、俺には聞き取ることができなかった。

 影が見えなくなると同時に、見える景色が滲んでいく。


 あぁ、目が…覚めてしまう。


 現実が俺を、元の世界に引き戻す。


 戻りたくない、元の世界に。

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