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通りすがりの陰陽師2  作者: チャーハン・神代
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七十九、理不尽の先

 俺の父親は一時期、中学校バスケ部のコーチをしていた。

 父親は良くも悪くも、思ったことをそのまま口に出してしまう人だ。そのせいで、気が合う仲間は出来やすかったが、同時に敵をつくり易い傾向もあった。

 それをはっきりと認識したのは、高校に入ってから。


_______________________


「おいおいおい!そんな簡単なこともできねーのか?おめーは親父から何を教わったんだっ?」


 下卑た笑いを顔に貼り付けた、偉そうなおっさん。

 そう。こいつはいわゆる、お父さん《・・・・》と気が合わなかった奴。

 ボールを掴む手に、思わず力が入る。


 恨みを子供に晴らすなんて滑稽だ。


 そんな使い古しの常套句じょうとうくは、こんな人間性の奴の心に、1ミリの影響だって及ぼさない。

_______________________


 現実には、理不尽な事が山程ある。

 自分に被害が及ぶのを恐れて、俺を助けようなんて奴は1人もいないし、こいつは調子にのって人格の否定まで始まる始末。

 訴えたところで、面倒ごとを起こしたくない学校側は恐らく、なんだかんだと理由をつけて『和解』とかいう、薄っぺらい2文字で全てを無かったことにするだろう。

 何より、そんなことのために貴重なバスケの時間を失いたくない。

 泣き寝入りするのが、結局1番被害が少なくて済む。


 でも、おかしいなぁ。


 俺のやりたいことって…こんなことだったっけ?


 ベッドの上、尋ねる様にボールを見つめても、当然何も答えは返ってこない。


 次第にボールの輪郭がぼやける。


 力尽きる様に、俺は意識を手放した。

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