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七十六、本物の気持ち
「…うっ…。」
体が重い。頭も痛い。でも、…気分は悪くない。
ゆっくり目を開けると、私の視界の中には数日間見つめ続けた天井、そして…。
「っ!?千晶っ!!!」
「…恭士…さん。」
はは…、何でそんな泣きそうな顔してるの。
繋がれている掌を、ぎゅっと握る。
まだ正直、表情筋が上手く動いているか分からない。
でも、私が今できる精一杯の笑顔で言おう。
「ただいま…です。」
「っ…おかえり。」
握り返された掌から、伝わる体温。
生きて戻ることができたという実感。
待ってくれていた人がいる、幸せ。
あぁ…どうしよう。
幸せなんだ。どうしようもなく。
また顔を見れたことが。笑い合えることが。
どうしようもなく嬉しいんだ。
中途半端な気持ちでふらふらしてたのが、馬鹿みたい。
ちゃんと、誠実に向き合いたい。
この気持ちが本物だと、信じて貰えるように。
私自身も信じることができるように…。




