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六十六、好奇心
「ふっ。」
しれっとした態度で姿を現した優菜を一瞥し、半ば諦めにも似た表情を浮かべて鼻を鳴らした。
「お前と言い化け狐と言い、相変わらず人に気ぃ使ういうこと知らんやっちゃな。」
優菜はその嫌味を、さも可笑しそうに笑い飛ばした。
「ふはっ!何を今更なことを。自分のやりたいことをやりたい時にする。そうで無くては、人生勿体ないであろう?」
「んで?一応こうしてウチの前に出てきた言うことは、話聞くのはお前の言うやりたい事に入ると思てええっちゅうことか?」
優菜は扇子で口元を覆い、クスリと微笑んだ。
「まぁの。陰陽術の話を共有できる者はそう多くない。わらわなとってそなたとの語らいは、有限の時の一部を割くに足るものだと思うておる。まして、わざわざ根無草のわらわを頼って探し出したということは、相当な訳ありとみた。違うかの?」
優菜の怪しげな微笑みを、少々気味悪く、それでいて頼もしく思った。
「当たりや。話早くて助かるわ。」
「話してみよ。」
「陰陽術で呪われて、死にそうな奴がおんねん。」
「…ほう?」
深刻そうな話の内容とは裏腹に、優菜の瞳の奥は好奇心という名の輝きで煌めいていた。




