五十九、組織会合
昼間だと言うのに、まるで新月の夜のような暗い空間。そこには不気味なオレンジ色の灯りが、規則的な間隔を開けてちらほらと灯っている。その灯りの一つの側では青白い顔をした美形の男、朝烏織雅が壁にもたれ掛かっていた。
ここは陰陽師団体、『沙羅双樹』の会合が定期的に行われている秘密の場所である。テンプレートのような各自の報告や総括がいつも通り終了すると、織雅の元に、左目に傷のあるいかにもな悪人顔の男が、不敵な笑みを浮かべて声をかける。
「よう。お前、まだ今回の任務終わって無いんだって?珍しいこともあるもんだな。」
男は非難するでも馬鹿にするでもない、純粋に興味があるというような口ぶりでそう言った。
「別に。今後どうなるかは、今回の標的側の動き次第で変わってくる。だからはっきりと言い切れないだけだよ。」
「ほう。と言うと?」
「標的の1人に、内向業火の術を進行遅めでかけてきた。まだ数日しか経っていないから、仲間たちへの牽制がまだ効いていない可能性も高い。」
「内向業火の進行遅めって…お前もえげつないことするなぁ。あ〜怖い怖い。敵にはしたくないねぇ。」
言葉とは裏腹に、やや楽しそうに男はそう言った。
「まぁ。合理的に考えれば、じわじわと苦しみながら死に近づいていく仲間を目の当たりにして、陰陽師探しを続けようなんて気は続かない。今回も問題無く任務を完遂させて、終わりだよ。」
織雅は無表情を崩さないまま淡々とそう告げると、壁から背を離し、その場を立ち去ろうとした。
「そいつはどうかね。」
織雅の背に向けて、男は意味深にそう言った。
「人は怖ぇぞ。幽霊や妖怪なんかより、ずっとな。」
言いたいことはハッキリ言えと言わんばかりに、織雅は男の方を振り返り睨みつけた。
「何。血の通った人間は、諦め悪りぃぞってことだ。今のお前と違って、な。」
男は得意げに、ニヤリと悪そうな笑みを浮かべた。




