五十四、ぎくしゃく
「え〜、皆さん、お久しぶりです。こうしてクラス全員、欠けることなく学校には登校してきてくれて、先生はとっても嬉しいです。」
ここ数週間、学校は急遽休校になっていた。
理由は、他国から入ってきて猛威を奮いだした感染症。
完全に勢いが収まった訳では無いが、学校から再開すると言われてしまえば生徒という立場である私たちは拒否する訳にもいかず、こうして以前のように登校している。
皆久々に友人たちと会えて嬉しい…という雰囲気を表面上は醸し出しているが、現状は違った。
そんな風に見えたのは、休み期間中のLINEのやりとりに原因があった。
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とある友人とのLINEコチャにて
「若葉ちゃん、おひさー。」
「おひさー!急にどうしたんでありますか?」
「いや…ちょっと言いたいことがあってね。」
「成海ちゃんと一緒にいない方がいいと思うんだ。」
「えっ…?」
「いや、別にいじめようとかじゃ無いんだよ?」
「ただ…ほら、成海ちゃんのお父さんとお母さん、病院でお仕事してるじゃん?」
「それであんまり一緒にいると…病気移っちゃうんじゃないかと思って…。」
「移らないにしても、若葉ちゃんがとばっちり食らって一緒に仲間外れにされるとも限らないしさ。」
「気をつけた方がいいよって…それだけ。」
「若葉ちゃんなら…うちが言いたいこと分かるよね?」
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その子が何を言わんとしているのか、分からない訳では無かった。
成海ちゃんの両親は医療従事者で、ウイルスに感染した人々のために今も一生懸命働いている。
幸運にも、私たちのクラスには表立って彼女をいじめるような輩はいなかった。
しかし、感染者と濃厚接触している人の娘である成海ちゃんは、周りから警戒され、明らかに距離を取られていた。
かく言う私も、離れた席から成海ちゃんを見て、目が合った時にお互い苦笑いするしかできなかった。




