四十九、優先事項
「あ…ありがとうございます。」
あまり眠れず夜があけてしまった初夏の朝、私は紡さんにペコリと頭を下げた。
「礼言うんはまだ早いわ。あいつ見た目は美人やけど、性格が人一倍ひん曲がっとるからなぁ。ま、人命かかっとる言えば、さすがに手貸さんことも無いと思うけど。ほな、行って来るわ。」
少し重そうなショルダーバッグを下げて、紡さんは鳥居の外へ出て行った。
今朝、陰陽神社でちょっとした話し合いが開かれた。
沙羅双樹が一体誰から、自分たちの活動を止めさせる依頼を受けたのか。依頼者は何の目的で、自分たちの邪魔をするのか。
それらが分からず、私が戦闘不能になり、沙羅双樹がいつまた邪魔をして来るかわからない今、仲間探しを続行するのは得策では無いという判断になった。
そこでまず最優先事項になったのは、私にかかった呪いを解くこと。
紡さんが先に探してくれていた、彼女の古い友人であり、呪術の研究者でもある陰陽師の知り合いの所在が昨晩掴めたらしい。
紡さん曰く、その人は相当性格がひねくれた変わり者らしい。
その人物を訪ねに、彼女は1人で和歌山に行くこととなった。初めは、責任を感じた茉恋さんや若葉ちゃんがついていくと言っていたが、「やめた方がいい。」と紡さんが意味深な笑みを浮かべたので留守番となった。
結果、彼女以外の他メンバーは暫しの休戦期間を、自主トレや休息など、思い思いに過ごすこととなった。




