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三十一、脱出
僅か1秒程度の逡巡の末、織雅は顔を俯き加減にして、指をパチンッと鳴らした。
それと同時に、私の体を拘束していたガムテープから、貼られていた呪符が蒸発する様に消える。
「掴まって!」
私たちがいた場所の床が崩れる寸前、私の腕に織雅が掴まる。
左手首の勾玉を揺らし、陰陽師化して言霊を叫ぶ。
「改・狡兎三窟・拡張!」
足元に大きな穴が生まれ、天井が崩れ落ちる後一歩のところで、穴の中へ吸い込まれるように落下した。
目をギラつかせた鼠たちだけが、建物の中に取り残されていた。




