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二十九、脅し
「何で…誰がそんなこと…。あなたも陰陽師なんでしょ?どうして悪霊を祓うのを邪魔するの?」
「陰陽術の使い道は、何も悪霊や妖怪を浄化することに限らないよ。呪術で恨みを晴らしたり、時には人を殺すことだってある。不思議なことは何も無いよ。」
織雅の冷たい言い方に、表情がより固くなる。
「僕は上から言われた仕事をこなしているだけだから、理由も依頼者も知らない。ただ淡々と、課された使命を全うする。自分の目的が果たされるその時まで。」
織雅は何かを誓うように、落ち着いた声でそう言いながら、懐から呪符を取り出した。
「でも今回の命令は、陰陽師を『止めろ』。殺せとは言われて無い。」
織雅は腕を真っ直ぐ伸ばし、取り出した呪符を私の目の前に突きつけた。
「ここで君に残された選択肢は2つ。1つ目、僕の忠告を聞き入れ、君を含めた陰陽師たちに悪霊祓いを止めさせる。2つ目、ここで君の仲間をおびき寄せる餌となり、仲間共々僕に殺される。2つに1つだよ。」
交渉でも何でもない。淡々とした脅しの言葉を私に投げかけた。




