十八、赤パンダ
「ぷっ…くくくくくく。」
「…。」
大阪のとある神社へ続く階段の中腹。
「ッ…ヒーッ。」
「…。」
必死に笑いを堪え、脇腹を抑えている金髪男性とその横で真っ赤な顔をして不機嫌そうにしている女子高生の姿が、そこにはあった。
「ククッ…あっはっはっはっ!って…ブフォッ!」
私は、笑いを耐えきれず横で大笑いし出した恭士さんの脇腹に、怒りの手刀を喰らわせた。
「恥ずかしいからいい加減笑うのやめて下さい!!!怒りますよ!!!」
あ、この場合怒ってますよか。
「いや…だっておまっ…その顔っ…ククッ。」
「だーかーらー!」
今日私は、恭士さんと約束をしていた音楽活動再会に向けた見届け人?(という言い方で良いのか分からないが)を「するために、生見神社へ向かっていた。
何故、脇腹に手刀を入れられてもなお、恭士さんが目に涙を浮かべてけらけらと笑っているのかというと、その原因は私の顔の惨状にあった。
狒々の一件で杉山を駆け回った結果、花粉症持ちメンバーの中で、私が1番花粉症の症状が強く出た。
ここまで言ってしまえば、もう勘のいい人はわかるだろう。目を擦りすぎたことによる炎症。今の私は、肌色と赤色のパンダと化していた。白黒のキュートなパンダではない。可愛くない、赤パンダである。
「いい加減にしないと!私陰陽神社に帰りま…。」
「お兄ちゃん…。」
「え…?」
「あ…。」
カランッと階段の上で音がした。私と恭士さんが見上げると、20代前半と思われる女性が箒を取り落とし、驚いた表情をしていた。彼女の目はしっかりと恭士さんを捉え、爆発しそうな様々な感情をグッと堪えるように拳が握られた。
「えっと…ただい…ま。」
恭士さんはそう言うと、罰が悪そうに彼女から目を逸らした。




