十五、少女の決意
『ヒヒヒヒヒヒ。見つけたぞ雫。さぁ家へ帰ろう。ヒヒヒヒヒヒ。』
山の中へ戻り、私はおじさんの前へと再び姿を現した。陰陽師の皆さんは、おじさんと私を見守るように、木々の影に身を潜めていた。
未だ正気ではない様子のおじさんを真っ直ぐに見据え、はっきりと声に出す。
「…帰らない。」
『何?』
「私…私は…。」
震える声で、少しずつ言葉を紡ぐ。
「おじさんを元に戻しに来たの!!!」
その叫びを合図に、千晶さんたちがおじさんを結界の中に閉じ込めた。おじさんの周囲に、青白い光の壁が出来上がる。
『何じゃ…ええい!こんなもの!!!』
「雫ちゃん!お願い!!!」
「は…はいっ!」
結界の中で暴れだすおじさんへ向けて、真っ直ぐ手を伸ばす。一度大きく深呼吸をして、言霊を叫んだ。
「祓い給い、清め給え!」
掌の前に五芒星の描かれた円が浮かび上がる。現れた五芒星がぐるぐると回転し、着ていた中学校の制服が下から紺色の狩衣へと変わっていく。
「神ながら守り給い、幸え給え!」
驚く間もなく五芒星の印が光り、私の手の中に牡丹色の勾玉が現れる。
「六根清浄。急急如律令!!!」
ドッという大きな衝撃と共に、目の前の印が手元から離れる。印は前方へ一直線に飛んで行き、おじさんに衝突した。
『グッ…ガァァァァアァァアァァァァァア!!!』
白い光に包まれたおじさんが断末魔の様な叫び声を上げ、体内から黒いモヤ、悪霊が姿を現し、空中に霧散する。
体内から悪霊が抜けたおじさんの体は、糸の切れた操り人形のように地面へ倒れ込んだのだった。




