百五、暗雲の兆し
陰陽神社に運ばれたテレビに、仙太郎さんのお母様?が映って間もなく、仙太郎さんは福井県の若狭市に向かい陰陽神社を出た。
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「仙太郎さん…。こう言っちゃ失礼かもしれないけど、本当にあんたの母親なのか?」
だいぶ訝しんでいる様子で、茉恋さんがそう尋ねた。
「…分からん。だからこそ…確かめたい。私情でここを留守にする身勝手を許せとは言わん。ただ…今まですまなかった。」
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仙太郎さんの話によると、不老となった彼の母親、八百比丘尼は、生前髪を剃って尼となり日本各地を歩いて回っていた。八百年後、故郷である若狭へ辿り着き、山のどこかで最後を迎えたことになっている、らしい。
彼の母親が本当に生きているのか、それともーー。
嫌な予感がした。
1人はまずいんじゃないかと、同伴者をつけることを提案した。しかし、嫌な予感がしているのは、仙太郎さんも同じだったようで、「だからこそ1人で行く。何も無ければ、3日で戻る。」と、そう言われた。
後日、やはりと言うべきか、私たちの嫌な予感は的中することになる。
1週間後の朝方、陰陽神社の鳥居の足元に、よく見慣れたものが落ちていた。それは、仙太郎さんが肌身離さず身につけていた、翡翠の耳飾りだった。




