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百、翡翠吹雪
「…雷が…収まった?」
荒れていた空が次第に落ち着きを取り戻す。
「あっ!あそこでありますです!龍が見えますです!!!」
若葉が指さした方角を見やると、晴れていく雲の隙間から、一つの影が現れた。翡翠色の鱗を輝かせ、立髪を風に揺らす、大きな龍。晴れた日の草原のように、静かにその場に佇んでいる。
その雄大さに見惚れた刹那、龍の体が、割られたステンドグラスのように頭部から砕けていく。その内側から現れる、2人。
日光に反射して、キラキラと舞い踊る鱗に誘われるように、風に乗ってゆっくりとこちらに向かって降りてくる。
じゃれつくように、肩に手を回して微笑んでいる千晶と、少し鬱陶しそうに、それでいてまんざらでも無さそうな顔をしている青年。地上から見上げた2人の表情は、とても穏やかで、どこまでも爽やかだった。




