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依頼への覚悟

20話更新です。では、どうぞ。

俺たちは依頼を終えて報告し、ギルドで解散した。マーレも兄さんも用事があるらしく家には一人で帰ることになった。やることもないので例の公園に向かうと子供たちが遊んでいた。彼らを見ているとみんなのことを思い出す。あの子たちにもこの公園で元気いっぱいに遊んで欲しかった。後悔しても失ったものは戻らない。そんな当たり前のことはわかっている。でもそうせずにはいられない。人の命が失われる、そんな辛いとわかっているようなことが想像以上に辛く後に引く。自分がいくら辛い目にあってもそれでどうにかなるなら迷わずそれを選ぶだろう。みんなとの思い出はとても綺麗なものなのに自分から溢れる感情はとことん悪くて嫌になる。そんな風に考えごとをしているといつの間にか日が落ちて子供たちも居なくなっていた。


「....zzz」

「!?」


伏せていた目を上げてみると木の上で女の子が寝ていた。青髪ツインテールの10歳ぐらいの女の子だった。青髪の人はあまりいないからよく目立つ。女の子は制服らしきものを着ているが学校を抜け出してきたのだろうか?でも制服のサイズはあっていないようで少しブカッとしている。とにかく木の上で寝ているのも危ないし、あの年齢の女の子がこんな時間に一人でいるのも危険だから起こしに行こう。そう思って木に近づいたその瞬間、女の子がバランスを崩し落ちてきた。


「ぐえっ!....」

「う...うん〜」


女の子が地面に激突しないよう自分の体をクッションにしようと思ったが想像より強い衝撃で肺から空気が抜ける。


「あ!ごめんなさい。アタシ寝ちゃってて....」

「...大丈夫。それより君のお母さんはどこにいるかな?木の上で寝ててはぐれちゃったりしてないかい?」


彼女の歳を考えればどこかに保護者がいるはずだ。今頃探してるかもしれない。


「いきなり失礼ね。子供扱いしないでもらえる!アタシは14歳の立派なレディです!助けてくれたことはありがとう、それじゃあ!」

「あ...」


子供扱いは彼女を怒らせてしまったらしくさっさとどこかへ行ってしまった。まあ、もう会うこともないだろうし彼女に怪我がなさそうでよかった。俺ももう遅いし帰ることにしよう。



昨日の依頼に引き続き今日も指定依頼だ。これで2個目の指定依頼になるがこのペースで行けば1ヶ月くらいでAランクに上がれるかもしれない。


「アイナさん、今回の依頼の内容は?」

「貴族の方からの依頼で内容は領地の畑を荒らす魔獣を退治してほしい、って内容よ」

「どんな魔獣かわかってないんですか?」

「素早い魔獣らしくてわかってはいないの。でも足跡の大きさからしてそんなに大きな魔獣ではないらしいわ」


素早い魔獣なら昨日の兄さんがやったようにおびき寄せれば難なく倒せそうだ。


「そういえばグレイくんには言ってなかったけど、もし依頼を失敗したらどうなるか知ってる?」

「知らないです」

「報酬の10分の1の金額をギルド側に払う。これが失敗したときの内容よ」

「それだけなんですか?」

「そう、それだけなの。でも依頼の失敗は信用を失ったり今後の活動に支障が出ることもあるわ。でも一番の問題は依頼した人たちのことよ」

「依頼した人たち?」

「依頼している人たちは大なり小なりの問題があるから依頼するわけでしょう。それを失敗するってことは単純に依頼が成功しなかったってだけじゃなくてその人たちの問題は解決しないってことでもあるわ。それがもし急を要するものなら一生恨まれることにもなるかもしれない。だからグレイくんがAランクに上がりたい気持ちはわかるけど依頼をしている人のことも焦らず考えて欲しいの」

「.......」


図星だ。アイナさんの言う通り俺は早くAランクに上がろうと焦っている。俺は依頼人のことなんて頭になかった。ただAランクに上がる。そのために依頼をこなす。そんな単純な考えだった。依頼を受けるということは絶対にこなすという覚悟が必要ということだ。Aランクに1ヶ月で上がろうなんておこがましいにもほどがある。焦らず確実に、それが冒険者の基本なのだろう。


「アイナさん、俺焦ってました....」

「それが自分でわかるなら大丈夫。それに今回の依頼はマーレがいるんだから失敗なんてありえないから安心して」


彼女はうれしそうに言う。おそらく彼女はわざわざ自分のために釘を刺してくれたのだろう。失敗がないに等しいとしても油断は禁物だ。俺たちは馬車に乗って貴族の屋敷へと向かった。




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