初依頼
12話更新です。では、どうぞ。
冒険者ギルドへと向かった俺は早速掲示板に貼ってある討伐依頼を探した。依頼は大きくわけて討伐依頼とその他の依頼の二つにわけることが出来る。討伐系は直接的に命の危険が伴うので他の依頼とは報酬が段違いだ。また討伐系の依頼はランクが上がれば上がるほど受けられる依頼の種類が増えていく。今日はいつか自分が挑戦するであろうBランクの依頼が多く貼り出されていた。ただFランク向けの依頼は掲示板を見渡すが見つからなかった。
「おいそこの君、なんか困ってんのかい?」
掲示板の前で彷徨いて困っているのを察したのか年上の男性冒険者が話かけてきた。
「はい、Fランクにも受けられる依頼を探していて..」
「ちょうど俺もやろうと思って依頼を受けたから一緒に行くか?」
「本当ですか!ありがとうございます。俺はグレイと言います。」
「俺はジン。これから一緒に依頼をやるんだから堅苦しいのはなしで行こうぜ。俺もグレイって呼ぶから。グレイもジンって呼び捨て構わないからよ。」
「わかったよ、ジン。よろしく頼む。」
気の良さそうな男性冒険者のジンと依頼をこなすこととなった。依頼の内容を尋ねるとガブリンという有名な魔獣の討伐依頼だった。ガブリンは醜悪な見た目で人間に害を加える典型的な魔獣だ。知識としてしか知らないので実際に見るのは初めててで油断は良くないが好奇心にかられる。俺とジンはガブリンの現れる近郊の森を訪れた。そういえばジンはCランクの冒険者らしいが何故自分を誘ったのだろうか。
「ジンはなんで俺を誘ったの?」
「それはな、お前があのマーレの彼氏だって噂がたってからどんなやつか気になってよ。どんな屈強なやつかと思ってたんだが意外とかわいい顔してるからびっくりしたぜ。マーレは意外と面食いなのか?」
「俺はマーレさんの彼氏じゃないし、あの人はそういうの興味無さそうだから無縁の話だと思うよ。」
「まあ、それは冗談として本当のことを言うとよ、マーレがマウテアを蹴って選んだやつがどんなもんか知りたかったってとこかな。」
「マーレさんってやっぱすごいんだなぁ。」
「そりゃあすげーぜ、なんせあのルックスに加えてAランクの中でも指折りの実力者だ。性格も品行方正でお手本のようなやつだからな。」
一緒に訓練しているとそんなすごい人だという印象はあまりない。確かに実力は本物なのだろう。でも一緒に昼飯を食べていると見た目から想像もつかない食事量にびびるし何より考え方が結構脳筋だ。一度脳筋の片鱗を俺に見せつけたことで気を遣わなくなったのだろうか。
「そういえばジンは結構ベテランっぽいけどなんでFランクの依頼を?」
「俺はあんま普段は討伐系の依頼は受けないんだけどよ、ちょっと金に困っててよ。で、気になってたお前の姿が見えたから誘ったってわけよ。」
ジンは俺の姿を知っていたのか。さっき屈強と言ってたのは顔さして言ったのだろうか。しかしもっと上の依頼を受けてもよさそうなものだが。
「そうなんだ。ジンは転移者なんだからもっと上の依頼でもいけるんじゃない?」
「あれ?俺グレイに転移者って言ったっけ?」
「いや、俺の知り合いの転移者にちょっと似てるなと思ったからそうなのかなって。」
「いきなり言うもんだからびっくりしたぜ。」
なんだか転移者のような雰囲気がしてたが当たったのは勘みたいなものだろう。
「15年前の転移者大量発生のときに転移してきたの?」
「ああ妹と一緒に13歳のときにな。」
「転移者なら国から支給もあるからお金は大丈夫そうだけど?」
「妹がちょっとした病気でよ。入院費が結構かかるんだよ。」
「それは大変だな。なんかズカズカ聞いちゃってごめん。」
「別に気にすんなよ。俺も別に気にするようなことだと思ってねーしよ。」
ジンは兄さんとは違ったタイプのいいお兄さんだ。兄貴分とでも言うべき感じだろう。俺とジンが雑談しながら森を歩いていると耳障りな声を発しながらガブリンが五体現れた。俺とジンは背中を合わせつつ五体のガブリンに応戦する。マーレさんとの模擬戦のおかげが相手の棍棒攻撃にもしっかり対応できていた。俺は風の剣でガブリンの棍棒を弾いてそのまま首を刎ねる。しかし一対一の戦いしか経験していなかった俺はいつの間にかジンとの距離を考えずに前に出過ぎていた。当然俺は死角からの攻撃に気付けなかった。それを見越していたかのようにジンが俺のカバーをしてガブリンの攻撃を防いでくれた。そのあとは特に問題なく残りのガブリンを倒し無事に終わった。ジンに先程のお礼を言うと冒険者は助け合いでしょと言って助けたのは、さも当然かのように答えた。彼はあまり討伐系の依頼をしないと言っていたがその助け合いの精神は見習いたい。どんなに強くなっても忘れてはいけないことだろう。冒険者ギルドに戻ってガブリンの討伐証明になる耳の部分を提出して俺の初依頼は幕を閉じた。
「明日の決闘応援してるぜ!」
彼はそう言って冒険者ギルドを出ていった。俺のために協力してくれた兄さんやマーレさん、それにアイナさんとジンのためにも明日は絶対に勝とう。俺は明日に備えて早く寝た。
次回いよいよ決闘です。お楽しみに!




