全員道連れだ!
「おい、何勝手に話を決めてるんだよ。俺は大会なんてまったく出たくないぞ」
「私もよ、ルリとモエナでも十分じゃない」
テリアに強引に大会参加を決められてしまった俺たちはここぞとばかりに駄々をこねた。
「二人が出たほうが確実じゃないですか。Sランク冒険者も出てくるかもしれませんよ、そしたらルリとモエナでは勝てませんよね?」
当たり前だ。二人はいいところAランクくらいの実力だ、Sランク冒険者が出てきたら間違いなく勝ち目はないだろう。それに比べれば俺は一度Sランクのやつに勝っているし、ユウナに関しては負ける姿が想像できない。あの無限の魔力でどうやったら負けるんだって話だけど。
「私だとAランク上位が出てきたら厳しいかな。Sランクなんて無理に決まってるよ」
「悔しいけど、私も多分勝てないよ。今回は譲ってあげるね」
ルリとモエナはお手上げのようだ。二人が参加したところで優勝するとなるとかなり厳しいのはわかりきってることだしな。しょうがないか。
「二人もこう言ってますし、出てくださいよ。まあ、もう登録は済ませてますけど」
これは頼むやつの態度じゃない。もう逃げれないことを確信してやがる。
「それが人にものを頼む態度かよ。俺は嫌だぞ、めんどくさい」
「報酬は欲しくないんですか? きっとすごいと思いますよ。何といっても冒険者の頂点を決める大会なんですから。これで優勝すれば私たちチームセンヤのSランクパーティへの長い道のりが大幅に短縮されると思いませんか?」
それはそうだと思うけど、わざわざそんな大会に出なくちゃいけないんだ? 俺は別に戦闘が好きなわけじゃないんだぞ。
「もしかしたら優勝すればSランク冒険者に慣れるかもしれませんよ」
流石にそれはないんじゃないか? Sランク冒険者ってのは化物ぞろいの集団だろ。一回の優勝で簡単になってもいいものなのか?
「私たちだけめんどくさい思いをするのはフェアじゃないわ。あなたたちも参加しなさい。そうしたら私は参加してあげるわよ」
ユウナが道連れ作戦を提案した。確かにそれならみんな平等だ。
「俺もそれがいいと思うな。その条件なら参加してやるよ」
「私が出ても一回戦で負けるだけじゃないですか。戦闘なんてほとんど出来ませんよ」
テリアがこれだけ俺たちには出場させようとしてくるくせに自分は出たくないみたいだ。そんなうまい話があるわけないだろうが、お前も道連れだ。
「私は出てもいいよ、優勝は無理かもしれないけど…………」
「私も出たい!! 少しでも実戦経験はあったほうがいいでしょ」
ルリとモエナは出てもいいらしい。さっきまでは二対三だったのに今では一対四だ。哀れだなテリア。これでお前も参加するしかなくなったぞ。
「あとはテリアだけね。どうするの? テリアが出ないと私とセンヤは出ないわよ」
「そうだぞ、観念して全員で参加しようぜ。報酬をもらえる可能性も上がるだろ」
「…………わかりました、私も参加します。その代わり絶対に優勝してくださいよ」
それは正直約束できないな。俺とユウナよりも強いやつだっているかもしれない。
「できる限り頑張ることにする。全力で戦うからもし優勝できなくても文句言うなよ」
「私は優勝してあげるわよ。誰が相手だって絶対負けないんだから」
ユウナは自信満々のようだ。ユウナよりも強い魔法使いはどんな化物か想像もしなくないレベルだし、ユウナは案外あっさり優勝しそうだな。魔力が無限って時点で勝ち確見たいなもんだろ。
「それでは私たち三人は大会にエントリーしてきますね。少し待っててください」
「俺もついていくぞ、もしかしたらエントリーするふりだけして帰ってくるかもしれないしな」
「流石にそこまでやりませんよ。私を信用してください。ユウナと二人でゆっくりくつろいでいて大丈夫です」
俺は少し不安だったかが、ここで無理についていくのも悪い気がして引き下がった。
受け付に行ったテリアたちはすぐに戻ってきた。
「これで、チームセンヤは全員参加ですね。みんなで頑張りましょう。それと、早く国王に会いに行って金貨のことについて話しましょう。それが一番重要ですから」
「完全に忘れてた。そういえばそんな話をしてたな。大会の報酬なんかよりもよっぽど大金が手に入りそうだよな」
俺たちは冒険者ギルドを後にし、ひとまず城を目指した。
「もしこの金貨が十億くらいになったら俺たち別に大会に参加する必要なくないか? その時は参加しないでもいいよな?」
「うーん、そうですね。しかし、冒険者ランクを上げるには出るしかないですよ。お金持ってるからと言って冒険者ランクは上がりませんからね」
駄目か…………。いけるんじゃないかと思ったがそううまくはいかないか。
「楽しみね、一体いくらになるのかしら? もう私たちは億万長者も同然よ」
ユウナも金が入るとわかっているのでご機嫌だ。いつもこれくらい機嫌がいいと助かるんだがな。
俺たちはほかのことには目もくれず城への道を突き進んだ。これから待っている大金ゲットに胸を躍らせながら。




