冒険者始めます
いざ、お金を稼ごうと思ってもこの世界のことがわからない時点でかなり厳しいと思う。
一般的に考えるとバイトをすればいいのだが、そう都合よく今から働けるところはないだろうな。もしあったところで給料がもらえるのはいつになるかわからない。やはり、異世界といえば冒険者ギルドかな。しかし、これも漫画で得た知識であり本当に存在しているかわからない……。たとえ、冒険者ギルドがあったところで、今の俺でモンスターを討伐することができるとは到底思えない。でもまあ……こんなことばかり考えててもはじまらないな。
「おーい、テリアここって冒険者ギルドってあるか?」
「冒険者ギルドですか? そうですね、基本的に各街に一つはあると聞いたことがあるのでここにもあると思いますよ。でも、いきなりどうしたんですか?」
「いや、冒険者ギルドでクエストでも受けてお金を稼ごうかなと思ってな。ほかにも、バイトとかもあるかなと思ったけど、すぐにはお金が手に入らないだろ」
テリアはぱっちりと大きい目を細め少し考えているそぶりをした。そして考えがまとまったのかこっちを見ると、
「確かにそれがいいかもしれません。今はもう冒険者ギルドに行くしかないですね。でも私モンスターと戦ったことありませんよ」
「心配するな。そんな経験俺もないから。てか、普通に生きてたらモンスターと戦ったりしないだろ。まあとりあえず行ってみるか」
と言ってもどこにあるのかわからないので、道を尋ねることにした。すると、テリアがとことこ歩いて屋台のおじさんに話しかけていた。
おお、行動力あるなぁと感心して待っているとテリアが帰ってきた。
「あのおじさんによるとここの通りをまっすぐ行って左に曲がったところにある大きな建物が冒険者ギルドらしいです。とりあえず行ってみましょう。あ……もちろんおんぶしてくださいね」
笑顔でそう言ってきた。相変わらずかわいいな。
「まあ道も聞いてもらったしな。しょうがないか」
こうしてまたテリアをおんぶし、言われた通りに歩いていくと大きな建物を発見した。
外観は少し古いがとても立派な建物だ。たぶんこれがそうだなと思い、とりあえず入ってみることにした。
入ろうとするとテリアがおろしてくださいといってきた。どうやらこういうところに入るときは恥ずかしいらしい。まあ俺もこのまま入っていきなりロリコンマスターのセンヤとかいう二つ名をつけられても困るしちょうどいいわ。でもあれだな………二つ名ってかっこいいな……。
「なにしてるんですか? 早く入りましょう。おいていきますよ」
俺はわるいといいテリアを追った。入ってみると中にはかなりの数の冒険者たちがいた。いろいろな装備を身に着けており、これぞ冒険者みたいな恰好だ。どうやら、右はクエストを受けたりする場所らしく、左は酒場になっているようだ。やっぱり登録とか必要なのかなと思い、受付にいるお姉さんに話しかけてみることにした。
「すいません、冒険者になりたいんですけど、登録とかって必要なんですか?」
「はい、初めての方にはまず冒険者カードというものを渡しております。冒険者カードには所有者のステータス、スキルなど様々なものが記載されます。これを持っていることが冒険者の証になるとても重要なカードです」
今の話を聞いた感じからするとカードをもらうだけで冒険者になれるらしい。でも普通こういうのってお金がかかるよな。
「そうなんですか。えーと、登録料とかってかかるんですか?」
なんか知らないけどお姉さんがよくぞ聞いてくれたみたいな顔をしている。
「通常なら千Rいただくところなんですがただいま初心者応援キャンペーンをしておりまして登録料が無料になっております!! ぜひ、この機会に登録を!!」
お姉さんが食い気味に説明してきた。
テリアと目を合わせておおーとそんなのあるんだとびっくりしていたが、これは登録したほうがいいと思い、登録することにした。目で合図すると、テリアもうなずいていた。
「すいません、じゃあ二人登録お願いします。俺はセンヤ、こっちはテリアです」
「わかりました、それではこのカードに手をかざしてください。現在のあなた方のステータスが表示されます。どうぞ」
すごいな、これに手をかざすだけで俺も冒険者の仲間入りか。どんなステータスになるだろ。わくわくするな。と考えていると…………カードが光り、どんどん文字が記載されていった。
どう見るかわからないので説明を待っていると、お姉さんがすごいびっくりした表情でこっちを見てきた。
「なんですかこれ……。こんなの見たことありません!! 身体能力のすべてのステータスがとんでもないことになってます。今まで、どんなことをしてきたらこんなことになるんですか? 信じられません」
ん……。なんで?俺そんなすごい身体能力だったっけ? おかしい………そんなはずはないよな。
ふと転生される前にユウナが言っていたことを思い出した。
なんかせめてもの情けに身体能力を上げたっていってたような……。いや、それにしてもあげすぎだろ! お姉さんの驚き具合からしてほんとにとんでもなさそうだぞ! でもこの調子だと魔法能力もやばいんじゃないか?
「センヤさんっていいましたよね? 身体能力はすごいんですが、残念ながら魔法能力のほうがすべてゼロになってます。こんなことって……あるんですね。とても極端で、びっくりです」
は? 嘘だろ俺魔法能力すべてゼロなの……。身体能力だけ上げて魔法能力は上げてないの? どちらかといったら魔法能力のほうがよかったんですけど…………。
俺が少し落ち込んでいると、次はテリアのステータスの説明が始まっていた。
「テリアさんのほうは攻撃系の魔法能力はからきしですが……サポート系魔法と回復魔法の能力が非常に高いです。ちなみに身体能力は普通より少し低いくらいです。これは二人ともすごいですね!! かなり将来有望ですよ」
「すごいな、テリア魔法使えていいな。俺も使いたかったんだけど……」
落ち込んでいた俺はついそんなことを言ってしまった。
「なに言ってるんですか!! センヤさんは身体能力が化物なんだからいいじゃないですか。そういえば私をおんぶしたときも全然重くないとか言ってましたよね。あれって気を使ってるわけじゃなくてほんとに重くなかっただけだったんじゃないですか? いや……絶対そうですよね。私ちょっとうれしかったのに」
テリアが頬を膨らませてぷんすか怒っている。
まあ実際本当に重くなかっただけなんだが、この身体能力のせいだったんだな。おかしいと思ったんだよな。まったく鍛えたりしてない俺が女の子とはいえ全然重くないとか。そういうことだったんだな。
「そんなことは別に今はいいじゃないか……それよりも説明を聞いたほうがいいんじゃないか? まだ能力しか聞いてないだろ」
何とか話題をそらそうと続きの説明を聞くようにテリアに提案した。
「しょうがないですね。私はとても寛大なので今はいいとしましょう。確かに話を聞かないことにはどうしようもないですしね」
そうテリアが言うとお姉さんが続きの話を始めてくれた。
このお姉さんすごい気が利くな。さすがギルドの受付嬢だ。
「カードについて説明することは特にもうないのですが、基本的な冒険者の活動について説明したいと思います。まず、冒険者はクエストを受けることができます。クエストを受ける際には自分の冒険者カードが必要なので必ずいつも携帯しておくようにしてくださいね。当たり前ですがクエストには様々な種類、難易度があります。これらによりもらえる報酬も大きく変わってきます」
「さらに冒険者間でパーティを作ることもできます。たくさんクエストをクリアしたり難易度の高いクエストをクリアすることでパーティが活躍するとランキングが上がっていき上位のパーティには特典もあります。ぜひ頑張ってみて下さい。もちろん個人でもランキングがあるのでそちらも頑張ってくださいね」
一通り説明が終わりとりあえず酒場のほうに座ってこれからどうするか考えることにした。基本的にはクエストをクリアしていけばいいんだな。報酬もあるって言ってたからこれでやっとお金が稼げるな。
それじゃ適当なクエストでも受けて今日の宿泊代と食費を稼ぎにいくか。
そう思いクエストボードを見に行くことにした。
「いろんなクエストがあるな。どれにしようかな」
「あ、これなんかいいんじゃないですか? このクエスト私とセンヤさんなら楽勝だと思いますよ」
先にクエストボードに走っていたテリアが嬉しそうにいいの見つけたって顔で一つのクエストを持ってきた。




