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人生で初めて女の子をおんぶしました

――周囲の光が徐々に消えていき視界が回復してきた。するとそこは……思いっきり森の中だった。


「はい? …………おかしくないか、怒ったからって流石にいきなり異世界に飛ばすのはやばいだろ!! しかもここどこだよ! 普通に周り森なんだけど。これからどうすればいいんだよ!!」


 びっくりするくらい理不尽だ。天使がこんなことしていいのか?

 周りは木に覆われており、どこに向かって歩けばいいのか皆目見当がつかない。

 

 それでもこんな森の中に突っ立ってても仕方ないのでとりあえず森から出るために移動することにした。


 


 少し歩いていると冷静になってきてさっきユウナが言っていたことを思い出した。


「そういえば……なんかモンスターが出るとか言ってなかったかあいつ。ていうか俺それ以外この世界について何も教えてもらってなくない?」


 せっかく頭が冷えてきたっていうのにまたものすごく不安になってしまった。怖くなり周りにモンスターがいないか見渡していると――右側に舗装されている道を発見した。


「なんだよぉ……道あるのかよ。そういうことは転移させる前に言えよな。本気で焦ったんですけど」

 

 さっきまではユウナのことをとんでもない奴だと思ってたけど、案外いい奴なのかも。


 いざ道を見つけたのはいいのだが…………どっちにすすめばいいのかわからない。


 どうする?――これは俺の今後のこの世界での生活を左右する重要な選択になるかもしれないぞ。右左どっちも街につながっているとは限らないんじゃないか? 片方ははずれという可能性もあるぞ、いやもしかしたら両方とも外れということも……そんなわけないか……道がある以上流石にどっちかは街につながってるはずだ。


 そのまま考え込んでいると急に後ろから声をかけられた。


「何してるんですか? 道の真ん中で?」


 振り返るとそこにはきれいな長い黒髪の美少女が少し首をかしげて立っていた。見たところ俺よりは年下だと思う。十五歳くらいかな。それにしてもびっくりしたな……完全に誰もいないと思ってた。

 どうしよう、どっちにいけばいいかわからないしこの子にきいてみるしかないか。


「ちょっとこの辺通るのが初めてで道に迷っちゃってよかったら街まで案内してもらえないかな」


 よし、かなり自然にしゃべれたぞ。ナイス俺!!


「それはいいんですけど……ここって一本道じゃないですか……どうやったら迷うんですか?」


 あ、確かにここ一本道だから迷いようがないよな……どうしよう…怪しまれたかな?……全然ナイスじゃないじゃんどう言い訳しようか? ここは正直に違う世界から来たっていったほうがいいのか? でもはいそうですかってならないよな。逆にあやしまれるだけだろーな……。


「まあいいです。深くは聞かないでおいてあげます。困っているようなのでここは私が助けてあげましょう」


 胸を張りながら誇らしげにそう言ってきた。

 

 なんていい子なんだ…………初めて会ったのがこの子でよかったと内心すごい褒めていたらなぜか少女が俺に向かってあっち向けと指でサインを出していた。

 まあ俺もあまり考えずに後ろを向くと少女が後ろから飛び乗ってきた。とっさに俺は少女を支え、俗にいうおんぶの体勢になった。


「え??」


 やばい……ナニコレ?…………なんでこの子急にこんなことしてるの? 体が密着してるんですけど!!!


「実は……私、ずっと歩きっぱなしでもう足が限界なんです。だから街までおんぶして連れてってください。でも安心してください。道案内はしっかりするので。まあ、と言ってもまっすぐ行くだけなんですけどね。それと私テリアっていいます。どうぞ街までよろしくお願いします」


「まあ、俺も道案内してくれるんなら街までおぶってやるよ。あと、俺はセンヤだ。よろしくな」


 なんだこのテリアって子――初対面の男にいきなりおんぶさせるってどんな神経してるんだよ。俺もう心臓バクバクだわ! よくこんな状態でしっかり返事できてるよな。それにしても、足が限界だったから明らかに怪しい俺に話しかけてきたんだな。まあ、俺からしてみればこんなかわいい子おんぶできて道まで教えてくれるなんて一石二鳥だな。それになんだか全然重くない。






 本当にこのテリアって子のいうとおりで暫くまっすぐ進むと周りが大きな壁に囲まれた街らしきものが見えてきた。


「おお、見えてきましたね。私もここに来るのは初めてなんですよ。かなり大きいですね。流石はランジニア王国の四大都市のひとつフォーリスです」


 え、ここってフォーリスっていうんだ。しかもそんな大きな街だったのか。てっきり転生して一番近くの街だから、こう……なんか始まりの村的な感じかと勝手に思ってたわ。


 街へ入ると大勢の人でにぎわっていた。


 普通に屋台とかあるし、本当に想像してた村とは大違いだ。なんかやっと異世界に来たって感じだな。なんだか少しテンションが上がってきた。


「街についたけどテリアはこの後どうするんだ?」


 俺は特にこの後のことは決まってしないので、とりあえず聞いてみることにした。ていうかただこの街のこと何もわからないから行動のしようがないだけなんだがな。


「私ですか? うーん、疲れたので宿にでも行きますかね。でもまだ足がきついんで連れて行ってください」


 可愛いから俺も頑張っちゃおうかな。


 実際俺もこの世界で拠点にする宿か家を見つけなきゃいけないな。でも後者は当分金の問題で無理だろうな。あれ……俺、金もってなくね? このままテリアを宿に届けてどうするんだ? くそー何も思い付かねー…………もうしょうがないテリアに頼むしかない。せっかくテンション上がってたのに急に下がったじゃん。


「テリアさん……実は俺金持ってなくて……一緒に宿に泊めてもらえないでしょうか?」


 なに言ってんだよ俺!! 相手は女の子だぞ! 無理に決まってるだろ! 今絶対後ろで何言ってんのこいつみたいな顔してるよぉ。


 少し返事に間が開いてから、


「…………センヤさん無一文だったんですか? かわいそうですね。しょうがないですから一緒に泊めてあげます。その代わり、変なことしないでくださいよ」


 うそだろ。いいのかよ。この子本当は天使じゃないの? さっきの天使はやっぱり偽物だな。心が腐ってたし。

 やばい――ありがたすぎて泣きそう。


「いいのか? ホントにありがとう。じゃあもう疲れたし、宿に行こうか」


「そうですね。あそこに宿らしき建物がありますよ。行ってみましょう」


 言われた方向を見てみると、


『フォーリスで泊まるならここしかない!!最高の休息をあなたに』


 とやたら自己主張の激しい看板があった。なんかちょっと怪しいんですけど……でもまあ他を探しに行くのも面倒なので行ってみることにした。


「あ、流石にこのまま入るのは恥ずかしいのでここでおろしてください」


 さっきまで街の中をおんぶしたままだったのにここは恥ずかしいんだな。よくわからないもんだな。とりあえずテリアをおろし、一緒に中に入った。


「すいませーん」


 テリアがそういうと中のほうからはーいと返事が聞こえすぐに人がやってきた。


「いらっしゃいませ。ようこそ御二人様で宿泊でよろしいでしょうか?」


「はい、お願いします」


「では、お二人で4千Rになります」


「…………え?……そんなにするんですか?」


 急にテリアがそんなことを言い、横で焦っている。


 なんかすごい嫌な予感がするんですけど。まさか金が足りないとかないよな。とそんなことを考えているとテリアが俺に小さな声で耳打ちしてきた。


「やばいです。私二百Rしか持ってません。まさかこんなに高いとは思ってませんでした……どうしましょう?」


 えー……うそぉ全然足りてないじゃん。私の分しかないですとかならまだわかるけど……おかしくない?よくそれでさっき一緒に泊めてあげますとか言えたよな。そんなこと考えててもしょうがないか。


「ここはもうあやまって出るしかないだろ」


 俺がそういって店の人に謝ろうとすると、


「いえ待ってください。私はほんとに疲れているのでどうしても泊まりたいです。ここは私に任せてください。何とか二百Rで泊まれないか交渉してみます」


 すごい執念だな。どうやらどうしてもここに泊まりたいらしい。どう考えても無理だと思うけどここは任せておこう。


 そして、テリアと店員さんの交渉が始まった――――。


 俺は邪魔になるから外に出とくか。待つこと数分。


 


 あ、終わったみたいだ。テリアがこっちにやってきた。


「二百Rしか持ってないって言ったら全然話聞いてもらえませんでした……。悔しいです……。私の交渉術ならいけると思ったんですが、でもやれることはやったので満足です」


 すごい笑顔でいい試合だったみたいな感じ出してるんですけど。そんないい笑顔で言われても……。


「そりゃそうだろ。よくその持ち金で値切ろうとしたよな。逆にすごいわ! でもどうするんだその金の量だとどこも泊まれないだろ。ていうかRってなんだ?」


「そんなこともしらないんですか?Rっていうのはランジニアのことです。でもランジニアだとながいんで頭文字のRを取ってます。そんなことより確かにこのお金ではどこにも泊まれません。なのでここは何とかお金を稼ぐしかないですね」


 俺の素朴な疑問が解けたのはいいのだがこうして俺とテリアはお金を求めてさまようことになった……。


明日も投稿したいです。

頑張ります。

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