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散文駄文まとめ  作者: 甲斐利右衛門
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隣人


一人暮らしを始めて二年が経った

一人で生活することの大変さが身に染みてわかり

親の偉大さを実感する日々

それでもある程度はこの生活にも慣れてきた


だけど一つだけ悩みの種がある

隣の部屋から毎晩のように

笑い声が聞こえてくることだ


入居した当初から聞こえていたその笑い声は

日が経つにつれて少しずつ遠慮がなくなっていった


初めはくすくすと小さな笑い声だった

それが今ではワハハと部屋の中を

転げ回るような大笑いになっている


心の底から面白いと思っているのだろう

気味が悪いというより

ずいぶんと気持ちよさそうに笑うものだと思った


笑い声が聞こえてくる時間は

毎日決まって夜の七時から九時までと

驚くほど正確だった


そんな日々が続いていたある夜のこと

いつものように隣から笑い声が聞こえてきた


僕はなんとなくその声につられて笑ってしまった

初めは遠慮がちにくすくすと


けれど思いのほか楽しかった

何がおかしいのかもわからないのに

隣の笑い声を聞いていると

自然と笑みがこぼれてくる


そのままずっと笑い続けていた

やがて九時になり隣の笑い声がぴたりと止まった

すると僕も笑わなくなっていた


翌日僕は管理会社に隣の部屋には

どんな人が住んでいるのかと尋ねてみた


返ってきた答えは隣の部屋は長い間

空室になっているというものだった


僕は昨晩いったい誰と笑い合っていたのだろうか

それでも僕は今夜も彼と笑い合うのだろう



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