58/64
透明
幽霊みたい
今日ご飯を食べに行った
何度か通ううちに店の人と仲良くなり
世間話をしてその店を後にする
そんな店をいくつか点々としていた
ある日以前話した店の人と道ですれ違った
けれど不思議なことに
お互いに挨拶をすることはなかった
それなのにお店に行けばまた話をする
人と人とはお店という特定のポイント以外では
透明になるのだと思った
透明人間同士が特定のポイントでだけ色をつけ
言葉を交わしている
それがいいことなのか
悪いことなのかはわからない
ただその場所に来て初めて
人は人になるのだろう
それまでは何者ですらないのかもしれない
透明なものが特定のポイントでその場所の色を借り
何かに同化しながら生きながらえている
それはなんて生きづらい世の中なのだろうか




