猫と集会
にゃおーん。
俺は、しがない疲れたサラリーマンだ。
今日も仕事帰りにビールとツナ缶と牛乳を買った。
袋を手に提げていつもの公園へ向かう。
公園には誰もいない。
俺はベンチに腰を下ろすと慣れた手つきでベンチの後ろに置いた皿に牛乳を注いだ。
それからツナ缶の蓋を開ける。
そして前を向きビールを飲みながら夜空を見上げた。
すると、後ろから声が聞こえてきた。
「よう兄さん。また来たのかい」
俺は振り返らなかった。
ビールを煽りながら
「そうだね」
とだけ答えた。
すると声の主は後ろに置かれた皿を見たのだろう。
「おおこりゃどうも、それで?今日も来たってことは何か話でも聞いてほしいのかい?」
その言葉に頷き俺はまたビールを一口飲んだ。
そして今日あった些細な愚痴を話した。
上司のことや仕事のこと。
誰にも言えないようなどうでもいい話。
声の主は黙って聞いてくれた。
俺はひとしきり話し終えると少しだけすっきりした。
「ありがとう。また来るよ」
そう言って俺は初めて後ろを振り返った。
そこには空になった皿と食べ終わったツナ缶があった。
俺はそれらを拾い上げ公園の水道で皿をよく洗った。
それからもう一度ベンチの後ろを見る。
分かっている。
あれが猫ではないことくらい。
ましてや人間でもないことくらい。
だがそれでいいのだ。
何者であろうと構わない。
俺の心が、少しだけ晴れやかになった。
それだけのことなのだから。
些細な問題だ。
だから俺は明日もここへ来ようと思う。




