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散文駄文まとめ  作者: 甲斐利右衛門
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春の匂い

スンスン


4月に入り私はふと春に芽吹く生き物たちの匂いを感じた


それはほんのりと温かい春の日差しの匂いと

冬の少し冷たくてはっきりと感じるシンとした匂いだ


季節の変わり目というものは

こうもはっきりとした匂いを感じさせることがある


ならば人間は形がなくとも言葉で何かしらの

匂いみたいなものを感じているのだろう


色、形、景色、建物や誰かの顔


そこには本当は何の匂いもないのに

なぜか懐かしい匂いがすることがある


それはきっと今まで生きてきた中で

強く印象に残ったものの匂いなのだろう


だから人によって感じるものは違う


同じ春を迎えても誰もが同じ匂いを感じないし

だからこそ誰もが自分の中にだけある明確な匂いを持っている


記憶の奥にしまわれたその人だけの匂いだ


そして季節が変わっていくたびに

僕たちは知らないうちに昔どこかで嗅いだ匂いに惹かれているのかもしれない

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