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散文駄文まとめ  作者: 甲斐利右衛門
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憂う心

川遊び


ノスタルジーという言葉を聞いた。


過去や故郷を懐かしく思うことだという、それを日本では郷愁というらしい。


だが私はなぜだかわからないが昔を懐かしめば懐かしむほどその昔が薄れていくような気がする。


あの頃の景色も、匂いも、触れたものの感覚も、あの日々に感じていたことすらも私は間違いなく覚えているはずなのだ。


なのに思い出せば思い出すほどそれらすべてを過去に置いてきてしまったように感じる。


胸がどうしようもなく張り裂けそうなのだ。


故郷へ帰ってもあの頃と同じ場所へ行っても、もうあの日の景色には出会えない。


同じ道を歩いても同じ空を見上げてもあの頃に感じたあの新鮮さには出会えない。


それが死ぬまでずっと続くのだろうかと思うと少し怖いと感じてしまう。


過去に囚われることのない生き方をしているであろう人を羨ましく思うこともある。


それでもこの胸を締めつける郷愁をどうしようもなく尊いと思ってしまったのだ。


失われていくものを惜しむこと、二度と戻れない場所を想うこと、それもまた今日まで私が人として生きてきた証なのだろう。


だから私は今日も薄れていく昔を思い出している。


忘れないためなのか、忘れていくことを確かめるためなのかと。

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