14/67
憂う心
川遊び
ノスタルジーという言葉を聞いた
過去や故郷を懐かしく思うことだという
それを日本では郷愁というらしい
だが私はなぜだかわからないが
昔を懐かしめば懐かしむほどに
その昔が薄れていくような気がする
あの頃の景色も匂いも触れたものの感覚も
あの日々に感じていたことすらも
私は間違いなく覚えているはずなのだ
なのに思い出せば思い出すほどに
それら全てを過去に置いてきてしまったと感じる
胸がどうしようもなく張り裂けそうなのだ
故郷へ帰ってもあの頃と同じ場所へ行っても
もうあの日の景色には出会えない
同じ道を歩いても同じ空を見上げても
あの頃に感じたあの新鮮さには出会えない
それが死ぬまでずっと続くのだろうかと
そう思うと少し怖いと感じてしまう
過去に囚われることのない生き方をしている
であろう人を羨ましく思うこともある
それでもこの胸を締めつける郷愁を
どうしようもなく尊いと思ってしまったのだ
失われていくものを惜しむこと
二度と戻れない場所を想うこと
それもまた今日まで私が人として
生きてきた証なのだろう
だから私は今日も薄れていく昔を思い出している
忘れないためなのか
忘れていくことを確かめるためなのかと




