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最後の一本
ウイスキーは大人
ある日家の蔵で古めかしい木箱を見つけた。
中を開けてみると古いウイスキーが一本入っていた。
なぜだかそいつは「勝手に開けるな」と言わんばかりの顔をしているように見えた。
調べてみるとどうやらそれは昔亡くなった祖父のお気に入りの一本だったらしい。
けれど一つ不思議なことは未開封だったことだ。
今ではそれほど珍しくなく普通に手に入るウイスキーだったのだが当時は手に入りにくかったのだろうか?
いや、祖父はきっといつか何かの記念日にでも開けようと大切に取っておいたのだろう。
だけど祖父は大のビール好きだったはずだ。
ならばきっと最後の瞬間まで開けるタイミングを逃してしまっただけなのだ。
そう思うとなんだか可哀想になった。
僕は思い切ってそのウイスキーを開けた。
そして一口飲んでみた。
しかし思いとは裏腹に――
そのウイスキーは想像の三倍まずかった、思わず笑ってしまった。
祖父が最後の瞬間にもし祖父がこのウイスキーを開けていたら。
一体どんな感想を言ったのだろう、そんなことを考えながらもう一口飲んだ。
すると不思議なことに祖父と一緒に飲んでいるような気がした、何故だか僕は涙を流していた。




