11/69
最後の一本
ウイスキーは大人
ある日家の蔵で古めかしい木箱を見つけた
中を開けてみると古いウイスキーが一本入っていた
なぜだかそいつは「勝手に開けるな」と言わんばかりの顔をしているように見えた
調べてみるとそれは昔亡くなった祖父のお気に入りの一本だったらしい
けれど一つ不思議なことは未開封だったことだ
今ではそれほど珍しくなく普通に手に入るウイスキーだったのだが当時は手に入りにくかったのだろうか?
きっと祖父はいつか何かの記念日にでも開けようと大切に取っておいたのだろう
大のビール好きだった祖父は
最後の瞬間まで開けるタイミングを逃してしまっただけなの
そう思うとなんだか可哀想になった
僕は思い切ってそのウイスキーを開け
グラスに注ぎそして一口飲んでみた
しかし思いとは裏腹に
そのウイスキーは想像の三倍まずかった
思わず笑ってしまった
祖父が最後の瞬間にもし祖父がこのウイスキーを開けていたら。
一体どんな感想を言ったのだろう
そんなことを考えながらもう一口飲んだ
やはり不味かったが不思議なことに
祖父と一緒に飲んでいるような気がした
僕はただ涙を流していた




