初めてのペア業務!
小山梨沙:ルックスがまあまあ良くて、成績もそこそこ優秀な大学3年生。天真爛漫でとても優しいが、考え込みやすい性格。「ダジャレ、ビール、相撲」の3つが好きで中身がおっさんだと言われることも。すぐに彼氏ができてしまう。(ENFJ)
大森和也:ルックスがまあまあ良くて、成績もそこそこ優秀な男子大学生。淡々とした性格で人によって態度を変えず、正直に物事を言う。クールに見えるが、実はあまりクールではない。梨沙に好意を持つ。(ISTP)
笹岡明音:小学校から大学まで一緒の梨沙の親友。常に冷静で落ち着いている。すぐに彼氏ができる梨沙のことを心配している。(INTJ)
倉本七海:梨沙と明音と大学時代に出会い、仲良くなった。ムードメーカーで明るい性格。すぐに彼氏ができる梨沙のことを羨ましく思っている。(ESFP)
川越雄太:和也の友達。梨沙とは高校が同じで、高校時代に片思いをしていた。盛り上げ役だが、周囲への気遣いができる性格。梨沙への気持ちがまだ残っている。(ESFJ)
松田有希:梨沙と同じクラスの友達。気が利くお姉さん体質で、サバサバしている性格。和也と小中学校が同じだった。(ISTJ)
『やばい…疲れすぎて何もしたくない…。早く梨沙と明音に会って充電したい。』
七海は可愛いウサギがぐったりしたスタンプと共にコメントを送ってきた。すると明音が目がメラメラ燃えているネコのスタンプを送る。
『終わったら3人で打ち上げしようね!2週目も頑張ろう!』
明音に続いて、私もイヌが両手からパワーを送っているスタンプを押した。七海も明音もそれぞれのインターン先で頑張っているんだろう。自分が行っている会社以外がどんなことをやっているのか想像もつかないから、2人から話を聞けるのが楽しみだ。私は家を出て、慣れた足取りで電車に乗る。私は電車に揺られながら、先週林さんに言われたことを思い出していた。
「2週目からはペアで業務に当たってもらいます。1人が仕事をして、1人が働いている様子を観察してフィードバックをあげてください。川越さんと松田さんペア、小山さんと大森さんペアでやってもらいますね。」
私の心臓の鼓動が一気に速くなる。まさか和也くんとペアになるなんて思ってもいなかったのだ。
オフィスのロッカールームに着くと、有希ちゃんだけでなく和也くんの姿が見えた。こんなに早く来ているなんて珍しい。
「和也くん!?なんでいるの?」
私が素っ頓狂な声を出すと、彼は目を丸くして固まった。彼の隣でバッグの中身を整理している有希ちゃんが代わりに口を開く。
「社員さんに聞きたいことがあったんだって。かずくん、意外にも積極的だよね。」
「意外って何だよ。分からないことは聞いておかないとダメじゃん。」
和也くんはそう言いながら腕のストレッチをする。感心するあまり何も言葉が出ないでいると、「おはよーう!」と雄太が元気よく入ってきた。
「和也もちゃんと早く来てるな。偉い!今日はもう帰って良いぞ。」
雄太の発言に私と有希ちゃんが吹き出すと、和也くんは顔をしかめて彼を見た。
「嫌だよ。今日からペアで仕事だし、楽しそうなのに。」
「そうだったな!俺は梨沙とペアじゃなくて安心したぜ。」
突然とばっちりを食らった私は「はあ!?」と雄太を睨む。彼が何か言おうとすると、有希ちゃんが大きく手を叩いた。
「はいはい、もう終わり。朝の挨拶しに行くよ。」
挨拶が終わると、私たちは林さんと会議室で今日の予定を確認した。午前中は各自それぞれの部署の業務内容の再確認、午後からペアでの活動が始まるようだ。私たちは速やかに各部署に移動し、前にお会いしたマネージャーさんにお世話になる。
「小山さん、今日もよろしくお願いします。2週目が始まりましたね。疲れてるでしょう?」
斎藤さんが心配そうな表情をした。私は首を横に振って「大丈夫です。」と微笑んだ。私の様子を見て安心したのか彼は優しい笑顔を浮かべ、それから業務内容の説明に移った。
「色んな事を長々とお話しましたけど、1番覚えておいてほしいことは『先入観に囚われない』ことです。こういう状況なら絶対にこうだろうと自分で決めつけると危ないので、そこさえ気を付けてもらえれば大丈夫だと思いますね。」
「はい!ありがとうございます。」
私は彼の言葉を大きくメモして頷いた。時計を見ると、もうお昼の時間になっていた。
斎藤さんと別れてカフェテリアに向かうと、有希ちゃんが席に座っているのを見つけた。嬉しくなって駆け寄ると、彼女は後ろを振り向いて目を丸くした。
「あ、梨沙ちゃん!今日のメニュー、どれも美味しそうだよ。豚丼、カレー、チキン南蛮定食だって。」
「そうなの!うわー悩むな。全部食べたくなっちゃう。」
私と有希ちゃんは立ち上がって列に並んだ。前の様子を見ていると、カレーを頼んでいる社員さんが多いことに気付いた。これは美味しいに違いないのでは…?
「私、カレーにしてみようかな!」
「いいね。私はチキン南蛮にする。最近食べてないから。」
私はカレー、有希ちゃんはチキン南蛮定食を手に席に戻った。美味しそうな見た目に、美味しそうな匂い。私と有希ちゃんは顔を見合わせて、それから「いただきます!」と食べ始める。
一口食べただけで、私たちの顔が一気に明るくなった。
「何これ、すっごい美味しい!辛さも丁度いいし、肉がホロホロでとろけちゃう!」
私が食レポすると、有希ちゃんも「このタルタルソース、最高!」と嬉しそうに叫んだ。私も有希ちゃんも美味しさのあまり、あっという間に完食してしまった。
「ねえ、梨沙ちゃん。」
有希ちゃんがいきなり低いトーンで私の名前を呼んだので、私は恐る恐る彼女を見た。
「梨沙ちゃんってさ、割と鈍感?」
まさかの問いかけに私はキョトンしてしまう。
「うーん…どうなんだろう。自分だとよく分からないな。」
「そうか。はっきり言っちゃうけど、私は鈍感だと思うよ。」
有希ちゃんが断言したので、私は「な、何でよ?」と顔をしかめた。
「だって、気付いてないんだもん。周りの人の気持ちに。」
「周りの人の…気持ち?」
私が復唱すると、彼女は肩をすくめた。
「何でもない。さてさて、お手洗いでも行ってきますか。」
そう言って席を立つ有希ちゃんを私は慌てて追いかける。その後どういう意味か聞いてみても、彼女は一向に答えてくれなかった。私は心に疑問が残ったまま、午後のペア研修を始めることになったのだ。
「それでは今からペアで業務に当たる研修を始めます。川越松田ペアは最初に就労支援事業部に、小山大森ペアは最初に教育支援事業部に移動してください。」
林さんの指示で私たちはペアになって移動を始めた。私は隣を歩いている和也くんをちらっと見たが、いつも通りのポーカーフェイスだった。場所に着くと、先ほど会ったばかりの斎藤さんが立っているのが見えた。斎藤さんと和也くんが挨拶を交わすと、斎藤さんが資料を配ってくれた。
「まずは小山さん、この部署の仕事をしてください。それを大森さんが観察します。その後に大森さんから小山さんにフィードバックをあげてくださいね。」
「分かりました。」
私の心臓が口から出てきそうだ。和也くんに見られながら業務に当たるなんて、平常心を保てるかどうか分からない。以前ロールプレイをしたように、保護者役が斎藤さん、スタッフ役が私である。
「僕の娘のことで、ご相談がありまして。小学5年生の娘が最近学校に行きたがらなくなったんです。いじめられてたり、勉強が分からなかったりすることはないみたいなのに、どうしてなのか気になっていて。」
私はメモを取りながら、斎藤さんの話を聞く。右側から和也くんの視線を感じてしまう。
「そうなんですね。ご相談いただきありがとうございます。ご家庭でのご様子はいかかでしょうか?」
何とか口を開くと、斎藤さんは少し考え込んだ。
「変わった様子はないし、元気です。ただ…部屋にこもることが多い子で、何をしてるのかあんまり分からないんです。1人の時間が好きな子だと思っているんですけど。」
「なるほど…1人でいる時にどんなことをしているのか知ることが必要かもしれませんね。娘さんの好きなことが何か分かりますか?」
私が質問を続けると、斎藤さんは大きく首を横に振った。
「いや、最近好きなことは分からないです。昔はよく絵を描いていたのですが、今はどうなのか…。」
「あくまでも予想ですが、もしかすると娘さんは自分の好きなことに没頭していて、それを極めたいと思っている可能性もあると思うんです。弊社の放課後デイサービスを活用してみてはいかがですか?デイサービスでは、子どもたちの好きなことを見つけるプログラムも充実しておりますので。」
私がそこまで言うと、斎藤さんが「ここまで!」と手を叩いた。私の肩の力が一気に抜ける。
「小山さん、お疲れ様でした。早速、大森さんからのフィードバックを頂きましょう!」
「は、はい…。」
ドキドキしながら隣を見ると、和也くんはメモを見ながら話し始めた。
「まず、良かった点から伝えますね。相談してくれたこと自体に感謝していたこと、家庭の様子や娘さんの好きなことを確認したこと、自分の見解も踏まえてサービスを提示していたこと。あとは親身になって話を聞いて、物腰柔らかく話していたところも良かったと思います。」
「ありがとう…ございます。」
和也くんは真剣な表情で私に伝えてくれた。私は少し照れくさくて彼を直視できない。
「改善点は、自分に自信がなさそうなところと結論を急いでるように感じたところですかね。」
いきなり厳しい言葉を投げられて、私の心に棘が刺さるような感覚になる。彼の言葉に斎藤さんも目を点にしている。そんなことも気にせずに、和也くんは話を続けた。
「失敗を恐れずにもっと自信を持つべきだし、そんなに焦らず長い目で解決策を探すのもアリなんじゃないかなって思いました。以上です。」
私がまたお礼を言うと、和也くんは無表情のまま斎藤さんの方を向いた。
「小山さんの実演も、大森さんのフィードバックも大変素晴らしかったです。大森さんが言ってくれた結論を急がないって部分、とても大事なことなんです。お子様の様子を見ながら支援の形態を変えたり、複数の支援方法を試してみたり…そうやって、少しずつベストな方法を探っていく。気長な姿勢は必要不可欠なんです。」
斎藤さんの言葉を聞いて、私はまた和也くんに感心した。彼の横顔がいつもより大人っぽく見えて、無意識のうちに見つめてしまう。
私たちは斎藤さんにお礼を言って、次の部署へ移動することになった。向かうのは和也くんがチーフをやっているコンサルタント事業部である。教育支援事業部の場所からすぐ近くの場所だった。
「あら、こんにちは!初めまして。」
そこで待っていたのは若い美女だった。パーマをかけた茶髪のロングヘア、ピンク色のブラウス、白いレースのスカート。七海に似たまん丸の目で、まるでウサギみたいだ。声まで可愛らしい。
「は…初めまして。教育支援事業部のチーフを担当している小山梨沙です。」
私が挨拶すると、彼女は私の手を取って強く握った。
「梨沙さんですね!私はコンサルタント事業部マネージャーの湊崎って言います。和也さんのお友達なんだよね?」
私はちらっと和也くんを見て、それから何度も頷いた。その時の彼の横顔があまりにも退屈そうで私は思わず二度見してしまった。
「それじゃあ和也さん、昨日と同じ感じでやってみましょう!和也さんなら大丈夫ですから、ね!」
湊崎さんはそう言って和也くんの背中を強く叩いた。和也くんは彼女を軽く睨んだが、すぐに椅子に座った。私は少し遠くの方に座って、2人の様子を眺めることにした。湊崎さんが一般企業の人、和也くんがスタッフを演じてロールプレイを行う。最初に口を開いたのは和也くんだ。
「本日はお忙しい中お時間いただきありがとうございます。弊社のサービスについて、ぜひ御社に知っていただきまして、弊社のサービスの導入を前向きに検討頂けたら幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。」
和也くんがこんなにへりくだった言い方をしているなんて信じられなかった。私はメモを取るのも忘れて彼から目が離せなくなる。
「何回も来ていただいてますが…弊社としては障害者雇用を導入するのは難しい状況なんです。指導者だっていませんし、そもそも人手が足りてませんので。」
そう話す湊崎さんの演技が上手すぎて、今度は彼女に釘付けになってしまう。
「そうですよね。お気持ちお察しいたします。しかし、弊社の多くの利用者様が御社にお力添えしてみたいとおっしゃっているんです。障害者の方々が働けるようになれば、人手不足を解消できますし、障害者の方々の働き口にもなる。つまり、一石二鳥なんです。」
「まあね。口で言うのは何でも簡単なんですよ。」
湊崎さんの厳しい言葉にも和也くんはひるまない。
「新しいシステムを導入する時は、もちろん一時的な負担はかかります。ただ、長期的に見ると導入するメリットの方が大きいんです。導入する際には、弊社のスタッフが御社に出向いてサポートもいたします。具体的な内容について、こちらの資料と共に説明していきますね。」
それから和也くんはサービスについての説明を始めた。湊崎さんが時々する意地悪な質問にも冷静に対応していく。話がひと段落したところで、ロールプレイは終了した。
「和也くん、さっすが!すごいですね。」
湊崎さんが目を輝かせて拍手を送ったので、私も一緒に拍手した。和也くんはお礼を言うと、「フィードバック聞きたいです。」と私の方を見た。
「あ…はい。えっと、まずはお疲れ様でした。良かったところは、最後まで諦めずにその人と向き合っていたこと、障害者雇用導入によるメリットについて丁寧に説明していたこと、サービスについて深く理解して説明していたことです。本当に素晴らしかったです。」
「ありがとうございます。」
和也くんが小さくお辞儀をする。私はメモに目を落として話を続けた。
「改善点は…そうですね、強いて言うなら淡々といていたところかもしれないです。言葉では相手の気持ちに寄り添ってたんですけど…話し方がちょっとフラットすぎたと言うか…。」
だんだん声を小さくする私に湊崎さんが「分かりますよ!」と頷いた。
「和也くんはもっと笑顔で話せると良いかもね。今のままでも十分素敵だけど、愛想よくしてみるというか、そんな感じ!」
彼女の言葉に和也くんは難しい表情をした。
「愛想よく…俺が1番苦手なことです。」
やっぱり彼はバカ正直男子だ。湊崎さんが反応に困っているので、私は慌てて口を開いた。
「性格的な部分もあるから急にはできなくても仕方がないよ。これから意識してやってみれば良いことだし。」
「小山さんのおっしゃる通りですね。和也くんのロールプレイも、小山さんのフィードバックも大変素晴らしかったですよ!」
湊崎さんが笑顔を取り戻した。私は胸をなでおろし、和也くんとお礼を言った。
私と和也くんが会議室に戻ると、まだ林さんも川越松田ペアもいなかった。私が首を回してストレッチしていると、和也くんが「お疲れ様。」と声を掛けてきた。
「和也くん、本当にすごかったよ。この会社の社員さんみたいだった。」
私が興奮しながら話すと、彼は小さく肩をすくめた。
「いや、そんなことないよ。ここの社員さんならもっと笑顔でしょ。」
彼はさっきのフィードバックを気にしているのかもしれない。私が何か言おうとすると、彼の方が先に声を出した。
「梨沙も良かったじゃん。複雑な事案だったのに、良い対応だったと思うよ。」
不意に褒められて、私は彼から目を反らしてしまう。
「それより、和也くんのフィードバックがめっちゃ良かったよ。自信を持つことと結論を急がないこと、ちゃんと覚えておく。」
「うん、自信持ちなよ。中身おっさんなんだし。」
「…は?」
私が顔をしかめると、彼はふふっと笑った。
「ダジャレ、相撲、ビール好きって言ってたじゃん、自己紹介の時に。だから、おっさんみたいだなって。」
「もう…和也くん、そういうところだよ?そうやって、思ってること何でも言っちゃうんだから。」
「いいじゃん、中身おっさんなの。」
和也くんが真剣な表情になったので、私は何も言わずに首を傾げる。
「俺は梨沙のそういうところ、好きだよ。」
私の身体が動かなくなってしまう。和也くんの瞳がいつもよりも力強く見える気がした。
するとその時、林さんと川越松田ペアが部屋に入ってきた。私は我に返って「お疲れ様!」と2人に声を掛ける。いつも元気な雄太も流石に疲れたのか、落ち着いた雰囲気を醸し出している。
「『チームゆかり』のみなさん、お疲れ様でした。各部署のマネージャーから伺いましたが、全員が素晴らしい活躍だったようですね!今日は…。」
林さんが自然な流れで話していると、和也くんが小さく挙手した。
「あの…俺たちのチーム名、どうして知ってるんですか?」
「た、たしかに!」
私がハッとすると、林さんでなく有希ちゃんが答えた。
「さっき私が教えたの。かずくんのアイデアってこともね。」
「いや、それは別に言わなくていいでしょ。」
和也くんが恥ずかしそうにしたので、私は何とか笑いを堪える。林さんは微笑みながらも話を戻した。
「今日はもう終わりなので、帰る支度をしてください。明日からもペアで頑張りましょう!」
終わりの挨拶も済んで、今日も4人でオフィスを後にする。3人で話していても、雄太は一言もしゃべらずに黙々と歩いていた。そんな彼のことが少し気にかかる。
「雄太、すごい疲れてるみたいだね。大丈夫?」
私が声を掛けると、彼はちらっと私を見てすぐに視線を外した。
「梨沙だって疲れただろ。ゆっくり休めよ。」
「雄太くんは優しいね。自分のことより梨沙ちゃんのことを想ってるなんて。」
有希ちゃんがニヤニヤしても、雄太は何も反論しなかった。やはりいつもと様子が違う。
「有希のフィードバックがキツかったんじゃない?」
和也くんが言うと、雄太がハッとしたように彼を見た。この反応は図星だったみたいだ。
「和也、よく分かったな。そうなんだよ!有希さん、怖かったんだよ!」
いきなり雄太が大声を出す。私が有希ちゃんを見ると、彼女はキョトンとしているだけだ。
「そんなに言ってないって。話すときに押しつけがましいとか、人の話聞くときに頷きすぎてうるさいとか、そもそも熱血すぎて圧がすごいとか…そういうのは伝えたけど。」
「めっちゃ言ってるじゃん。」
和也くんが素早くツッコんだので、私は思わず吹き出してしまう。
「おい梨沙、なんで笑うんだよ!俺は傷ついてるんだぞ?そこまで言われたら、人格否定の域じゃないか!」
「ごめんごめん。でもさ、有希ちゃんって…その、何て言うか、サバサバしてる性格だからさ。」
私が何とか言葉を選ぶと、有希ちゃんが大きく頷いた。
「そう、その通り。だから私は伝えるべきことだと思って言っただけだよ。雄太くんを否定なんて、そんなことするわけないでしょ。」
「うわーなんか、有希さんが女版和也に見えてきたわ。」
雄太が頭を抱えながら呟いた。和也くんは「そんなの嫌だよ。」と顔をしかめる。
「私も2人って似てる気がする。思ってることをそのまま言えるところも、相手の顔色を伺わないところも。」
私がそう言うと、有希ちゃんは難しい顔をした。
「性格が似てるから、かずくんとはあんまり合わないないんだよ。」
「それはあると思う。」
和也くんもすんなり同意してしまうので、私と雄太は顔を見合わせた。
「ええ?仲いいと思うけどな、2人とも。」
「だって私、かずくんがどういう性格かはかなり理解してるけど、ほとんど話さないもん。」
有希ちゃんは笑いながら話しているが、私には全く笑える状況じゃないように思えた。和也くんはやっぱり有希ちゃんの言葉に納得している様子である。
「は…話変えようか。とりあえず、明日も頑張っていこう!」
私が慌てて空気を変えると、雄太も「おー!」と乗ってくれた。和也くんと有希ちゃんはまるで何もなかったかのようにいつも通りの雰囲気。私は、人間って色んな人がいるんだな…としみじみ感じるのであった。
つづく
ご一読ありがとうございました❀(この回、抜けてました…すみません!)




