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わたし、また彼氏ができました!  作者: みもざちゃん


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インターンシップ開始!!!

小山梨沙こやまりさ:ルックスがまあまあ良くて、成績もそこそこ優秀な大学3年生。天真爛漫でとても優しいが、考え込みやすい性格。「ダジャレ、ビール、相撲」の3つが好きで中身がおっさんだと言われることも。すぐに彼氏ができてしまう。(ENFJ)

大森和也おおもりかずや:ルックスがまあまあ良くて、成績もそこそこ優秀な男子大学生。淡々とした性格で人によって態度を変えず、正直に物事を言う。クールに見えるが、実はあまりクールではない。梨沙に好意を持つ。(ISTP)

笹岡明音ささおかあかね:小学校から大学まで一緒の梨沙の親友。常に冷静で落ち着いている。すぐに彼氏ができる梨沙のことを心配している。(INTJ)

倉本七海くらもとななみ:梨沙と明音と大学時代に出会い、仲良くなった。ムードメーカーで明るい性格。すぐに彼氏ができる梨沙のことを羨ましく思っている。(ESFP)

川越雄太かわごえゆうた:和也の友達。梨沙とは高校が同じで、高校時代に片思いをしていた。盛り上げ役だが、周囲への気遣いができる性格。梨沙への気持ちがまだ残っている。(ESFJ)

松田有希まつだゆき:梨沙と同じクラスの友達。気が利くお姉さん体質で、サバサバしている性格。和也と小中学校が同じだった。(ISTJ)

いよいよインターンシップ1日目。私は七海と明音3人のグルチャに『頑張ろう!』のスタンプを送って家を出た。いつもと違う電車に乗って、2週間お世話になる会社に向かう。大学の1限に行くよりは遅めに家を出れることだけが嬉しいことだ。

40分程経ってようやく会社のビルの前に着いた。周りを見渡すと、スーツ姿の有希ちゃんが目に入る。私はホッとして彼女に手を振った。

「有希ちゃん!もう着いてたんだ、早いね。」

「おはよう。10分くらい前に着いちゃってた。家が遠いから早めに出てきたの。パンプスで歩きづらいし。」

インターンシップ初日でも彼女は冷静沈着な様子だ。それにしても、彼女のスーツ姿がよく似合っていて見とれてしまう。すると、後ろの方から聞き馴染みのある声が聞こえた。

「おーい!梨沙!有希さーん!おはよーう!」

「朝なのにもうあのテンション…。」

両手を振っている雄太を見て、有希ちゃんが苦笑する。雄太のスーツ姿もなかなか似合っている。

「とりあえず、学生証と印鑑と筆記用具、忘れてなければ大丈夫だよな?」

雄太が心配そうにバッグの中を見る。私は頷いたものの、「家で確認しないとね。」と小さく肩をすくめた。

「2人とも、今日はいつもより大人っぽいな。落ち着いて見えるぜ。」

「私はいつも冷静です。」

有希ちゃんが間髪空けずに言ったので、私と雄太は思わず吹き出した。それから5分程経つと、ようやく和也くんの姿が見えた。

「ギリギリだな、和也。もっと余裕持って来いよ。」

雄太が口を尖らせると、和也くんはキョトンとする。

「え?ちゃんと間に合ってるからいいじゃん。」

「かずくんはね、何もかもギリギリ人間なんだよ。提出物も、待ち合わせも。」

いつも通り有希ちゃんが和也くんの性質を解説する。雄太と私が理解できないと言わんばかりの顔で和也くんを見ても、彼は変わらず真顔だった。

オフィスに入ると、緊張感がより高まるのを感じた。目に入る大人があまりにも大人っぽく見えて、私の胸の鼓動が徐々に速くなる。

「おはようございます!〇×大学から参りました、川越雄太と申します。今日から2週間、インターンシップでお世話になります。お忙しいところ恐れ入りますが、どうぞよろしくお願いいたします!」

雄太の完璧な代表挨拶に続いて、私たち3人も「よろしくお願いいたします。」と丁寧にお辞儀する。すると、社員の方々が大きな拍手を送ってくれた。それからショートヘアでいかにもキャリアウーマンな見た目の女性が私たちの前に立った。

「おはようございます。インターンシップ担当の林です。みんな、緊張してますよね?」

彼女の問いかけに私たちは小さく頷いた。緊張感が丸出しである。彼女はその様子を見て、ニコッと笑った。

「そうですよね。2週間という短い時間ではありますが、リラックスして私たちの会社のことを学んでいって頂けたら嬉しく思います。今日は予定通りオフィスツアーをしますので、まずロッカーにご案内しますね。」

私たちは彼女の後に続いて歩いて行った。どこを見ても綺麗で、オシャレなデザインのオフィスだ。私は目を輝かせながら周りを眺める。ロッカールームも立派で、ここを2週間使わせてもらえるなんて贅沢に思えた。

「私たちの会社は、去年改装したばかりなので新しいんです。無料のカフェテリアもあるので、昼ご飯は奥にあるカフェテリアで食べてくださいね。」

「無料のカフェテリア…すごいですね!」

雄太がリアクションすると、林さんは「ありがとうございます。」と笑った。

ロッカーに荷物を入れてしばらくすると、オフィスツアーが始まった。先ほど言っていたカフェテリアやパソコンがたくさん並んだオフィス、利用者様とお話する部屋、会議室など…。林さんの説明に私たちは全員真剣に耳を傾けていた。

あっという間にお昼になった。私たちはロッカールームに戻り、ようやく肩の力を抜く。

「ふう〜今日の前半終了!メニューがいっぱいで何食べようか迷っちゃうな。」

雄太が腕を伸ばしながら叫んだ。有希ちゃんはパンプスを脱いで足をぐるぐる回していた。

「2週間あるし、毎日違うの食べたらどう?メニュー全制覇できるかもよ?」

「おーさすが有希さん。名案ですな!」

ちらっと和也くんを見ると、彼は飲み物を飲んですぐに目をつぶっていた。

「和也くん。体調悪い?大丈夫?」

私が慌てて駆け寄ると、彼は目をゆっくりと開けて大きく首を横に振った。

「いや、眠いだけだよ。」

「え…なーんだ、心配したのに。」

頬を膨らませると、彼はふふっと笑った。彼の笑顔を見ると、私は彼を直視できなくなる。

「さあ。時間も限られてるし、ご飯食べに行こう。」

有希ちゃんの声掛けで私たちはようやくカフェテリアに向かうのだった。

お昼を食べ終わると、午後は会議室で林さんから会社についての説明を受けた。林さんはプレゼン資料を用意してくれて、視覚的にも分かりやすい説明だった。彼女は最後に力強いメッセージを伝えてくれた。

「私たちの企業理念は”社会の障害を取り除き、誰もが生きやすい社会を創ること”です。利用者さんとの対話を重視し、その人にとってどういう支援がベストなものか考えていきます。もちろん、最初から上手くいかないことだってあります。それでも、途中で諦めずにその人に向き合い続けることが何よりも大事です。ぜひ覚えておいて頂きたいと思います。」

私たちが拍手を送ると、林さんは優しい笑顔を浮かべた。

「みなさん、今日はお疲れ様でした。明日からはペアやチームで業務にチャレンジしてもらいます。社員が必ず一緒に動くので安心して臨んでくださいね。それでは、帰る支度を始めて下さい。」

ロッカールームから荷物を取り、それから私たちは朝来た時のように社員の方々の前に並んだ。

「本日はありがとうございました。明日からもどうぞよろしくお願いいたします。お先に失礼します。さようなら。」

雄太の挨拶に続いて、私たち3人も「さようなら。」とお辞儀をした。社員の方々も挨拶に応えてくれた。

「初日終了!みんなよく頑張ったな!」

ビルから出ると、雄太が拳を突き上げて叫んだ。私も「ほんとに頑張ったね。」と大きく頷いた。

「あとは帰って、メモをまとめて日誌を書くのみだ。」

有希ちゃんが現実的なことを言うと、雄太はため息をついた。

「有希さんは本当に真面目だなぁ。先生みたいだぜ。」

「そう?かずくんも同じこと思ってるんじゃない?」

すると和也くんはキョトンとして私たちを見た。

「え?何の話?」

「やっぱり話聞いてない。そう思って話振ったの。」

有希ちゃんが呆れた顔をしても、和也くんは首を傾げるだけだ。私と雄太は顔を見合わせて苦笑する。

「有希さんは和也のことすごいよく分かってるよな。姉と弟みたいに見えてくるわ。」

「俺、長男だから弟にはならないよ。」

いきなり和也くんが強気になったので、雄太は目を丸くする。

「何だよ、冗談だって。そんなに長男のプライド強いのかよ。」

雄太の言葉に私と有希ちゃんは吹き出してしまった。

「長男のプライドって…そんなの聞いたことないんだけど。」

私が腹を抱えて笑うと、和也くんが怪訝そうにこっちを見てボソッと呟いた。

「やっぱりよく分からないわ、梨沙の笑いのツボ。」


林さんの言葉通り、次の日は業務を経験することになった。第一段階は、各部署の業務内容を把握することだ。林さんは1人ずつ異なるプリントを渡して説明を始めた。

「この会社には大きく分けて4つの部署があるんですね。みなさん丁度4名なので、それぞれがそれぞれの部署のチーフになってもらいます。川越さんは就労支援事業部、小山さんは教育支援事業部、大森さんはコンサルタント事業部、松田さんはシステム開発部を担当してもらいますね。」

「わお、想像以上に本格的。面白そう。」

隣に座っている有希ちゃんが小声で喜びの声を上げた。私は彼女とは反対に、不安な気持ちが広がっている。

「今日はそれぞれの部署で業務内容を把握して、それをチームのみんなに伝えます。どんなことを伝えるべきかは自分自身で考えてみてくださいね。それではマネージャーさん、お入り下さい。」

林さんがそう言うと、会議室に4人の社員さんが入ってきた。男性が2人に女性が2人。4人とも顔に優しさが溢れ出ている感じの人たちだ。

「午後にまたみんなで集まります。では早速それぞれの部署に移動しましょう!」

林さんの指示に私たちは「はい!」と大きな返事をし、各部署に移動を始めた。

「教育支援事業部は放課後等デイサービスなどのお子さんに向けた教育・療育支援事業をしている部署なんです。具体的には、ICTを活用した個別最適な学習やスキル習得、ソーシャルスキルトレーニングを提供しています。」

マネージャーの斎藤さんが細かく説明をしてくださった。斎藤さんは端正な顔立ちの中年男性である。私はメモを取りながらもアイコンタクトを忘れずに話を聞いていた。

「他の部署との関わりは…全部署と連携は取ってますけど、システム開発部とは頻繁に話しますね。」

「そうなんですか。ICTを活用するから、その技術に関することで…ですかね?」

私が聞いてみると、斎藤さんは目を輝かせて何度も頷いた。

「その通りです、小山さん!流石ですね。気付きが素晴らしいです!」

「あ…いえいえ、ありがとうございます。」

それから実際にどんな支援をしているのか動画を見せてもらい、ロールプレイもさせてもらうことになった。

「それじゃあ、僕が保護者の役をするので、小山さんはスタッフ役やってみてください。」

「は…はい!」

心臓が口から飛び出そうな程緊張してしまう。私は固唾をのんで、斎藤さんからの言葉を待つ。

「僕の6歳の息子、他の人と同じことができなくて。学校でも周りに馴染めなくてどうしたらいいのか分からないんです。」

私は頭が真っ白になりながらもどうにか口を開く。

「あ…そ、そうなんですね。まずは話をしてくださってありがとうございます。息子さんはもしかすると集団行動が苦手なのかもしれません。あの…もし良ければ、弊社のソーシャルスキルトレーニングをご活用するのはいかがですか?」

ここまで言うと、斎藤さんが「ありがとうございました!」と拍手をしてくれた。私はやっと胸を撫でおろす。

「小山さん、素晴らしい対応でしたね。相手の気持ちに寄り添う言葉が最初に出てきて、非常に感心しました。」

さすが福祉と教育のプロフェッショナル。斎藤さんは本当に褒め上手だ。

「1つだけ言うとすれば、『ソーシャルスキルトレーニング』をすぐに提案していたところですかね。相手の要望をもっと聞いてから提案してみると、より良くなると思います。」

「なるほど…。」

私が細かくメモを取っていると、斎藤さんが目を丸くした。

「すごい!書くのが速いですね。羨ましいです。」

「そう…ですか?初めて言われました。」

「本当ですか。僕なんていつもマイペースで遅すぎるってよく言われますよ。」

斎藤さんは笑うと目尻にしわが出る。私が「意外です。」と驚くと、彼は遠くを見るような目で言った。

「そのせいで就活も上手く行かなくて。何社も落ちました。心折れそうな時に…この会社に出会って雇ってもらえたんです。」

「そうだったんですね…。」

斎藤さんの優しい笑顔の裏には人知れぬ苦労があるんだ。彼はそのまま話を続ける。

「諦めずにその人と向き合うっていう企業理念に惹かれたんです。自分以外の人と関わるのは大変なことも多いし、分かり合えないことも多い。でも、その人のために向き合うんです。それってすごく素敵なことじゃないですか?」

私は斎藤さんの輝く瞳に吸い込まれそうになる。真っ直ぐで透き通った美しい眼差しだった。

「はい…そう思います。とっても素敵だと思います!」

「あ…ありがとうございます。すみません、要らぬことを話してしまって。」

突然恥ずかしがる斎藤さんに私は「とんでもないです。」と首を横に振った。彼は腕時計を見ると、いきなり椅子から立ち上がった。

「うわ、ごめんなさい!もうこんな時間!急いで会議室に戻りましょう!」

「は…はい!」

私たちはすぐに部屋を出て、全速力で会議室へ向かった。

「すみません…僕の時間配分ミスで少し遅れてしまいました!」

会議室の扉を開けるやいなや、斎藤さんが頭を下げる。私も一緒に謝ると、林さんの声が聞こえてきた。

「全く問題ないですよ。ちょうど全員集まったところだったので。さあさあ小山さん、座ってください。」

顔を上げると、そこにはいつもの3人の姿があった。3人を見て、心が一気に軽くなるのを感じる。斎藤さんとお別れし、林さんと私たち4人が会議室に残った。

「それでは、各部署からの情報を共有しましょう。あとはみなさんの好きなようにやってみてください。」

林さんはそう言い残して、「私は少し仕事して来ますね!」と会議室から出てしまった。扉が閉まったのと同時に、案の定雄太が1番に口を開いた。彼はいつもよりも真剣な表情をしている。

「めっちゃ会いたかったぜ、3人に。」

「私も!」

雄太の後に続いて声を出すと、有希ちゃんが苦笑した。

「数時間しか経ってないのに。まあ…ちょっと分かるけど。」

「おー有希さんも思ってくれてたんだな!なんか嬉しいわ。和也はどうなんだよ?」

和也くんは雄太を見て、小さく首を傾げる。

「うーん…特に何も思わなかったかな。部署の業務内容を学ぶのに必死だったね。」

3人とも目を細めて彼を見つめる。当の本人は「何その顔。」と何も気に留めていない様子だ。

「よし!それぞれの部署の情報、共有しようぜ!」

雄太が手を叩いて空気を変えてくれた。それから私たちは順番にそれぞれの部署について話を進める。雄太、有希ちゃん、私の順番で発表が終わり、和也くんの番になった。

「俺が行ったコンサルタント事業部は、企業との渉外業務や、障害者雇用のコンサルティング・採用支援などを担う部署です。具体的には、企業の障害者雇用の持続可能な仕組みづくりや、ラーニングシステムを企業そして地域へ広める営業と推進活動を行ってるそうです。」

「へえ。かずくんはどの内容が特に魅力的に感じたの?」

有希ちゃんが鋭い質問をすると、和也くんは少し考え込んでそれから口を開いた。

「俺的には、ラーニングシステムを企業とか地域へ広める活動がめっちゃ良いと思ったね。まだまだ知られてないから、もっと知ってもらえれば障害者雇用の選択肢の幅も広がるだろうし。」

和也くんの発言に私たち3人は大きく頷いた。彼からこんなコメントが出るなんて、何だか意外だった。

「和也の部署は俺が行った就労支援事業部と連携が多いよな?」

今度は雄太が聞くと、和也くんは「そうだね。」と言った。

「多くの利用者さんが働いてみたいと思う会社に営業しに行くこともあるみたいだから。」

「すごい…やっぱり全部繋がってるんだ。」

私は全ての部署の業務内容をメモした紙を眺めて呟いた。

「うん。それぞれの部署で仕事はしてるけど、連携しないと何も始まらないんだよ。」

和也くんが良いことを言ったので、私は思わず感心してしまう。私が見つめているのに気づき、和也くんは眉間にシワを寄せる。

「梨沙のその目、何?息子を見る母親みたいな顔してるけど?」

「うちの和也、成長したなって。」

私がふざけて言うと、彼は呆れたと言わんばかりの表情を見せる。

「梨沙の息子になった覚えはありません。」

「私だって、和也くんの母親になった覚えはありません。」

「え?梨沙から変なこと言ってきたんじゃん。」

雄太と有希ちゃんがクスクス笑う声が聞こえてくる。それでも私と和也くんのくだらない言い争いはしばらく続いたのだった。


つづく

4人にはインターン頑張ってほしいですね!ご一読ありがとうございました❀

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