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白夜の奏でる音  作者: 月原 悠
交錯する想い

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18/19

アイリは少年たちと触れあううちに、ささやかな幸せを知っていった。

彼女はいつの間にか、朝になると教会へと足を運んだ。

今まで、神の存在に疑問を持っていたのが嘘のようだった。


日々が過ぎるうちに、アイリは教会の孤児院で働くようになっていた。

それは彼女にとって自然なことだった。

毎日のように神に祈りを捧げ、子供たちのお世話をしていた。


「アイリお姉ちゃん、讃美歌を歌って」

「いいわよ」

「お姉ちゃん、僕は時々思うんだ。神さまは本当にいるのかな」

「どうして、そう思うの」

「だって、僕はお母さんもお父さんも……」

「大丈夫よ。お父さん、お母さんもいなくても、神さまは見ているのよ」

「本当」

「うん」


アイリの神への信仰心は日々強くなっていった。


一方、クランはルージェの屋敷を出て、行くところもなく、さまよっていた。

気づくと教会へと足を運んでいた。


神父から、パンをもらっていた時のことだった。

教会の扉が開いた。

そこにはアイリの姿があった。


彼は気づいた。

タピオが心を打たれている相手であることに。

しかし、クランはアイリを見て不思議な気持ちになった。

まるで、暖かな日差しが胸に差し込むように思えた。


アイリがクランに声をかけた。


「旅の方ですか?」

「はい」

「ゆっくりしていってください」


クランは、思わずアイリに声をかけた。


「どこか泊まるところはないでしょうか」


神父がそっと言った。


「よければ、教会に泊まりなさい。アイリ、寝床を準備してあげなさい」

「わかりました」


外から、フクロウの声が静かに響いていた。

その夜、クランは夢を見た。

白夜祭で伴奏をしていた時の夢であった。

するとアイリの姿が目に映り、気づくと彼女は蝶になっていった。

その蝶は、クランの腕にそっととまった。


クランははっと目が覚めて、再び、眠りについた。


一方、タピオはルージェの屋敷で歌を披露していた。

ルージェはタピオのやさしさに惹かれ、

タピオも情熱的なルージェにどことなく魅力を感じていた。


その日、タピオは夢を見た。

それは、白夜祭でアイリと出会った時の夢であった。


アイリの花柄模様の白いドレスと、彼女の笑顔がひとつに重なって見えた。

タピオはアイリを求めて、追いかけていった。

気づくとアイリが一匹の蝶になった。

すると、蝶は逃げていった。

タピオははっと目が覚めた。

不思議な夢でその後は眠ることができなかった。


フクロウの鳴き声が静かに響いていた。


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