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白夜の奏でる音  作者: 月原 悠
交錯する想い

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19/19

空は青から淡い茜色に染まる頃だった。

風の音すら鳴りやんだ。

静かな夜の始まりだった。


クランは教会の中で静かにリコーダーを吹いていた。

そして、吹き終わるとアイリの姿が思い起こされた。


クランが静かに歌い始めた。

月の光が教会の床へそっと落ちていた。


愛しき人よ

なぜに僕に振り向かない

僕の心は届かぬままなのだろうか――


暖炉の火が音をたてた。


その歌声をアイリは耳にした。

なぜか、心に染みた。

遠い記憶が蘇った。

それは白夜祭でタピオを見かけた時の光景だった。


でも、タピオはもういない。

あるのはクランの歌の響きだけ。


アイリはクランの歌声に導かれるようにクランの部屋へと入った。

クランの姿が、ふとタピオの姿と重なった。

消えかけていた想いが、胸の奥で再び揺れ始めた。


クランはアイリの姿を見るなり、リコーダーを吹いた。

なぜそうしたのか、自分でもわからなかった。

彼の眼差しには、アイリの姿ばかりが映っているようだった。

吹き終わると何も言えなくて、窓から見える月に目をやった。


アイリは心にぽっかりと穴が開くように思えて、部屋を後にした。

タピオの姿がやけに心に焼きついた。


空は茜色だった。

夜の音がした。

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