百八十三話 王家の眠る地
ネネ達がやってきたのは「王家の魂が眠る地」と呼ばれている場所だった。墓がたくさんあり不気味な雰囲気を漂わせている。
「ここね...」
到着した場所はかつて街だった場所なのかボロボロのままの家が残ったままだった。
「いかにも廃村って感じね...」
「ここに例のモノが」
「さ、探すぞ!」
「でもどこを探しますか?イズ隊長」
「うーん...まあとりあえずその辺をうろうろしてればあいつらも現れて何か起こるだろう」
探索をしながら歩いていると突然何かが飛んでくる。それは杖から放たれた魔法弾だった。そして案の定というべきか、目の前にはヘントールの姿が現れる。だがネネ達はその横にいるアリスを見て剣を抜く
「アリス、やっぱり...」
「ここからは行かせませんよ」
「私はテティを...」
「ゲッゲッゲ、まさか再会がこんなことになるとはな」
ゲルムがそう言うとアリスは少し驚いた顔になる。そして睨みつけながら、「ゲルム...あんた達なんでここに?」とだけ言った。
「ゲッゲッゲ、話は聞いたぞ?テティを失って自暴自棄にでもなったか?」
「うるさいあなたには関係ない」
「無様だなあ?あの時とは全然違うじゃないか。今のお前は空っぽになった器しかない。そんな哀れで無様な姿でいいのか?」
その言葉にアリスは「クッ...」と言いながら剣を向ける。
「ちょっとアンタアリスに何を...」
「行け。おそらく1番の脅威はこいつだ。こいつを足止めしておくからお前達は先に行け」
「でも...!」
「行きましょう。この人が信用できるかはまだなんとも言えませんが、足止めしてくれると言うならそれに乗りましょう」
「俺もこいつに賛同だ」
「隊長は賛同しなくていいです」
「俺にだけひどくねえか!?」
そう話し合いネネ達は先に進む事にした。それを隣にいたユオが追おうとする。だがゲルムの口撃対象はユオに移った。
「おやおや誰かと思えば英雄の弟じゃないか」
「ああ?」
「こんなんところで油売ってていいのか?兄貴には会えたのか?」
「うるせえ」
「そうか!アナザーで死んだんだったなあ!」
「なんでそれを...!」
それを聞いて乗ってきたユオにゲルムはニヤリと笑みを浮かべる。アリスとユオの両方を煽る事で対象をこちらに向けるというゲルムの作戦は驚くほど成功と言ってもいい。
「そういえば、我々の世界に来た時に決着がついてなかったよなあ?」
「ええそうね。あなたは厄介だからここで倒しておく」
「ほう、やってみろ」
そう言ってゲルムは剣を取り出してアリスとぶつかる。炎を出してゲルムの周りを囲っていく。だがゲルムはその炎を最も容易く切り裂いて無力化する。
「どうした?そんなもんか?」
「まだまだ!!」
そう言って剣に炎を纏わせ勢いよく振り上げる。その攻撃を剣で受け止めるが、吹き飛ばされてしまう。
「すごいな...あの時より確実に格段に強くなっている」
「当然でしょ」
「面白い!」
「俺も忘れるな!!」
そう言ってユオが介入してくる。それをドグロが人間を操りそれを防いだ。
「死霊人形使い...死体を動かして戦う武器。相変わらず趣味の悪い武器ね」
「だってよドグロ。アリスが褒めてくれたぞ?」
「褒めてない!」
そう言いながらアリスの放つ炎を剣を振り上げて相殺する。そして何度か剣を交えながらもう一度炎を纏った剣を振り下ろすアリスに嬉しそうな顔をしながら突きをする。
ゲルムは「はははっ!ははは!」と笑いながらアリスに攻撃を仕掛けていた。
「楽しそうね」
「ああ、楽しいさ!お前と戦えてな!」
「こっちは楽しくなんてないけどね」
「テティを失ったからか?」
「...っ!うるさい!」
「ああ、突然消えたと思ったらこんなところで油を売ってたなんてな」
「あなたには関係ない」
「こちらとしては使わせないようにしないといけないのでな」
そう言ってアリスは勢いよくゲルムの方へと向かう。再び剣がぶつかり合い、激しく火花が散るのだった。
「うーん、めぼしいところはないですね」
一方、探索を続けていたネネたちはそれらしいものもなく困惑していた。
「いや、こういうのは大抵どこかに隠し通路とかがあって通れたりするんだ!きっとそうだ!」
「と言ってもねえ...」
そう言ってネネは近くにあった大きな石像に寄りかかる。するとその石像が少しずつずれていき、下の方に何かが見えた。石像は古びているからかそこまでの力を要することもなく少し押すと簡単に横にスライドして動かすことができた。
「おお!やっぱり!」
イズの言う通りそこには隠し階段があった。一行はその中を進んでいく。それは神殿のようで柱と壁には何やら見慣れない文字が書かれている。
「薄暗いですね...何があるんでしょう」
「そりゃあもちろん俺たちが探してるものに違いない」
聞いたことがあるこのあたりに王家が眠るという墓があると聞いた。もしかしたらその眠ってるやつが持ってるかもな」
「でもおかしくないですか?明らかにこんな廃れてるのに杖だけ無事と言うのは...」
「まああるかどうかはとりあえず進んでみればわかる事だ」
そう言って進むと広い部屋に出た。中央には大きな石像が立っている。大きさはネネ達の数十倍以上はあり少し古びているが真ん中でそびえ立っている。
「変な石像ね動き出したりしそうね」
「お姉ちゃん変な事言わないでよ」
その時、それを聞いていたかのように石像が動き出す。そして赤い目でこちらを見るとその巨大な手で攻撃を仕掛けてくる。
「ほらぁー!!私のせいじゃないわよ!」
「おそらくここを守る守護者ってやつだろう!」
「行きますよみなさん!」
「わかってる!」
「はい!!」
そう言いながら全員その石像の方を見た。




