百八十一話 生命を紡ぐ魔術
その場所は激闘を終えた街からかなり離れたところにある「忘れられた都市」という場所にあった。この場所は昔は栄えた街だったのだが、それは昔の話。今はその名前の通り誰の記憶にも残らず魔物達の巣窟になっていた。
「それで、これからそこに行ってどうするの?」
「俺たちのやることは、魔導の杖ってのがここに眠っているらしい。それの回収だ」
「魔導の杖...ですか?」
「ああ。その杖は何でもかなり凄い力を持っているとか。それもやろうと思えば人などを生き返らせる事もできるぐらいに
「へえ」
「それをつかえばもしかしてテティさんを...」
「あまりお勧めはしないがな。命を代書に取られるらしい」
「そうなんですか...」
そんな話をしながら歩いていると目的地にーの忘れられた都市に着く。廃れたその場所はコケに覆われた古びたかつて民家だった建物ばかりだ。中を覗くと家具などは残っているが足が欠けていたり蜘蛛の巣がかかっていたりとボロボロな印象を受ける。
「ここに...それがあるの?」
「ああ、そうらしい。話ではかなり危険なものらしく他の奴らの手に渡らないように回収する、いいな?」
「わかってるわよ」
「それにしてもこれだけの場所、探すのは大変そうね」
「手分けして探すしか...っ!!」
イズがそう言いかけた時、突然誰かの攻撃が襲いかかってくる。その攻撃は魔法弾で、丸い魔法の球が何発かネネ達に向けて放たれたのだ。
「誰!?」
「おやおや。人間がこんなところに珍しい」
誰もがその声の方を向く。そこにいたのはヘントールだ。さらにもう一人人間が一緒にいる。それが...。
「アリス!?」
「アリスさん!よかった!心配していたんですよ?早くこちらに..!」
そう言ってミミがアリスの方に駆け寄るとアリスは剣を向けて威嚇する。その姿に「何で...?」と言いながら困惑するしかなかった。
「わかった!洗脳でも...!」
「されてないわ」
「じゃあ!」
「どういう了見だ?そんな魔物と何やってんだ?お前?」
イズの質問に少し間を開けて「杖は私たちがもらう」とだけ言った。その答えにおそらくまともに答えてくれないだろうとそれ以上は何も言わなかった。
「どういう事ですか!?アリスさん!」
「アンタ!一体何を考えて!!」
「...邪魔するなら...あなた達でも...」
「どうやら一緒に行ける雰囲気じゃないようだな。なら敵ってことだ。なんかわからんがとりあえずお前を連れ戻すっていう目的も達成できて一石二鳥じゃないかなあ?メルロ」
「私に聞かないでください」
そう言って全員でかかる。だがアリスは大会で使った炎を纏った剣を一振りし、炎で壁を作る。そしてその隙にまずはイズに攻撃をしかけた。
「っ...!」
「はあっ!」
その炎の攻撃はかなりのものでイズが遠くに吹き飛ばされる。次にメルロにも襲いかかり。何度か剣を交えた上に途中で蹴りをいれ、圧倒した。
「アリス!アンタを連れ戻すわよ!行くわよミミ!」
「うん!お姉ちゃん!!」
まずはネネが先行して何度かアリスの剣と交える。その隙にミミはゴーレムの魔物を召喚して戦わせる。
「これ、あなた達と戦った時の...」
そうよ。最凶の姉妹としてアンタと戦った時に使った武器よ。ぶん殴ってでも戻してあげるんだから!」
「でも私だってもうあなた達には遅れを取らない!」
アリスはネネを炎の渦で閉じ込め、ネネのゴーレムを簡単に一刀両断する。その時パン、と手を叩く音がしてアリスは炎を消した。
「そこまででいいでしょう。我々はそんなことをしている暇はないでしょう?アリスさん?」
「...そうねヘントール」
ヘントールのその言葉にそう返事し、アリスは剣をしまい杖を探しに歩いていった。
「待って!」
「ではごきげんよう」
そう言って手に持った丸いものを床に投げる。それは煙幕で煙が立って視界が見えなくなった。そして視界が晴れる時にはいなくなっていた。
「さすがアリス
「まるで歯が立たない」
「でもどうする?あんなアリスみたいな化け物級の強さを持つやつを相手にどうやって戦えば良いんだ??」
そのイズの言葉に誰もがうーんと首を傾げる。
「とりあえず先に杖を探しちゃいましょ!あとは逃げればいいんだし!」
「お姉ちゃんはいつも行き当たりばったりなんだから...」
姉のネネにそんなツッコミを入れるミミだが、イズは「まあ勝てない以上、そうするしかないか」と言った。
「まあそうね...とりあえず探しましょう」
そう言って創作を始めた。街や街の外も探しながら歩いているがなかなか見つからない。
「ねえ、あれ何?」
ネネが突然そんなことを言い出した。それは向こうで変な魔物達は何かをやっている姿だ。それはへントールではなくネネ達の見たことのない魔物だ。近くには大きな門のようなものがあり、おそらくそれを使ってやってきたのだろうというのはすぐにわかった。
「あれ...武器の力?」
その扉はおそらくその魔物の1人が持っていた武器で作り出したものだろう。杖を上にあげると扉は消えてしまった。
「あの門...あいつらあの力で別のところから移動してきたのかしら?
「それならあなた達の戻るという目的も達成できそうですね」
「でも大丈夫なの?アイツら危険そうよ」
魔物は3人いて、それを操っているのは一番小さい奴だ。ほかは怪しい見た目のが2人ほどとりあえず少しの間様子を伺って見ることにした。
「ゲッゲッゲ、人間のいる場所は久しぶりだなあ?」
「そうですね」
「目的忘れるなよ」
「わかってる」
その怪しい奴らはそんな話をしている。
「わからないけど好都合よ。あいつらを倒して情報とあの移動手段を奪い取るの!」
「お姉ちゃんテティさんに似てきたね」
「う、うるさい!」
「とりあえず交渉をしてみよう」
「そうですね」
「そんなことしなくても無理矢理聞きさえばいいのよ!!」
そう言いながらネネは魔物達の前に出る。「そこの魔物達止まりなさい!」と大声で言った。
「なんだ?」
「アンタ達に話があるの。ちょっといいかしら??」




