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世界一醜いS級冒険者がタイプです。~美醜逆転世界の受付嬢は今日も全力で口説きます~  作者: ぽぺっち


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2/7

02 アタックあるのみ、です

「おはようございます!」


 翌朝。


 いつものようにギルドの扉が開く。


 その瞬間、私は勢いよく立ち上がった。


「アシュレイさん!」


 銀髪の青年は一瞬だけこちらを見て――露骨に眉をひそめた。


(今日もか。)


 そんな顔だった。


「おはようございます!」


「……。」


「今日もかっこいいですね!」


「……。」


「好きです!」


 アシュレイは深いため息をつく。


「……朝から気分が悪い。」


 ズキン。


(うっ……。)


 少しだけ傷ついた。


 でも私はへこたれない。


「依頼ですね!」


 笑顔で書類を受け取ろうとすると、彼は私ではなく隣の受付へ向かった。


「……あ。」


「受付を頼む。」


「は、はい!」


 先輩受付嬢が慌てて対応する。


 私はぽつんと取り残された。


「……。」


 隣から小さく笑い声が聞こえる。


「避けられてる。」


「当たり前だろ。」


「毎日あんなこと言われたら嫌になるよな。」


 胸がちくりと痛んだ。


 それでも。


(嫌われてるだけ。)


(まだ5日目だもん。)


 私は自分に言い聞かせた。


 ◇


 昼頃。


 アシュレイが討伐から戻ってきた。


 私は真っ先に駆け寄る。


「お疲れさまです!」


「……。」


「怪我はありませんか?」


「……受付を呼べ。」


「私です!」


「違う。」


「え?」


「お前以外を呼べ。」


 あまりにもきっぱり言われて、思わず固まった。


「……私じゃダメですか?」


「ダメだ。」


「どうして……。」


 アシュレイは冷たい目で私を見る。


「見ていて腹が立つ。」


 その言葉に、周囲が静まり返る。


「……。」


「……。」


「何度も言うがくだらない嘘はやめろ。優しく言っている今のうちにだ」


 そう言い残し、また隣の受付へ。


 先輩は困ったように私を見る。


「ご、ごめんね。」


「……いえ。」


 笑おうとした。


 でもうまく笑えなかった。


 ◇


 仕事終わり。


 ギルドを出ると、石畳の道をアシュレイが歩いていた。


(今なら人も少ないし。)


 私は小走りで追いかける。


「あの!」


 彼は振り返らない。


「アシュレイさん!」


「……。」


「待ってください!」


 ようやく立ち止まる。


「……何だ。」


「私、本当に遊びじゃないんです。」


「そうか。」


「本気で好きなんです。」


「そういう設定か。」


「設定じゃありません!」


「今日は随分凝ってるな。」


 彼は鼻で笑う。


「なぜ俺にこだわる?」


「え?」


「何が目的だ?人を嘲笑うことか?それとも金か?」


 リリアは言葉を失った。


「……違います。」


「いい加減にしろ。」


 初めてだった。


 彼の声に、怒りが滲んでいた。


「お前みたいな女が1番嫌いだ」


「え……?」


「俺のような醜い男ならすぐ好きになると、本気で勘違いすると思っているんだろう。」


 その瞳には、諦めしかなかった。


「今まで何人見てきたと思ってる。」


「……。」


「『好き』だの『結婚して』だの言って、裏では嘲笑いながら金のことしか見ていない。」


 リリアは息を呑む。


(そんなこと……。)


「だから。」


 アシュレイは一歩近づいた。


 冷たい視線が突き刺さる。


「二度と俺に話しかけるな。」


「……。」


「お前の顔を見るだけで、不愉快だ。」


 そのまま彼は去っていく。


 残された私は、しばらく動けなかった。


 ◇


「リリア、大丈夫?」


 帰り支度を終えた先輩が心配そうに声を掛ける。


「……はい!」


 無理やり笑う。


「全然平気です!」


「本当に?」


「だって……。」


 私は小さく笑った。


「嫌われてるだけですよね。」


「……。」


「嫌われてるなら、好きになってもらえばいいだけです。…無関心よりかは、マシですから」


 先輩は何とも言えない顔をした。


「諦めないの?」


「はい!」


 ぐっと静かに拳を握る。


「明日も告白します!」


 ◇


 一方その頃。


 ギルドから離れた路地裏を歩きながら、アシュレイは舌打ちした。


「……胸糞悪い。」


 また始まった。


 どうせまた性格の悪い女の暇つぶし。

 自分みたいな"醜男"をからかって楽しんでいるだけだ。

 そう思えば腹が立つ。


 あの笑顔も。

 あの真っ直ぐな目も。

 全部、演技だ。


「……次来たら泣かせてやる。」


 もう二度と、自分なんかに近づこうと思わないくらいに。


 そう決めたはずなのに――。


 脳裏に浮かぶのは、傷ついたように揺れた、彼女の青い瞳だった。


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