第2話 海に呑まれた日
これはS県で仕事の出張先で起きた、同じ霊感持ち
の人に言われた一言に思わずゾワっとさせられた時
のお話。
その仕事はS県の某火力発電所での改修工事の仕事
をしている時で、約1年程の出張でした。
民宿の近くに、海浜公園があって近くに家があるも
のの、人の気配が全く無い、静かで波の音だけが響
く海浜公園でした。
ですが、すぐ横に岩場があったので、私はすぐ釣具
屋で一眼の海中眼鏡を購入して一人で岩場に潜り、
岩場を探るとそこにはサザエがたくさんいて取って
帰りました。
それが事の始まりで、一歩間違えたら私は今、生き
ていなかったかもしれません・・・。
その別会社の人達が海に行きたがり、皆で行くこと
になりました。
その時の人数は私を含めて六人。
それをきっかけに、その六人で毎日のように海に行
っては潜って遊んでを繰り返していたある日、いつ
ものように遊んでいた私達でしたが、その日六人の
中の一人が今日は入りたくないと拒否していまし
た。
しかし、私を含めた残りの五人は気にも止めずに岩
場で海で遊んでいて、帰るときに皆が岩場に上がっ
たのですが、私が海から岩場に上がろうとしたタイ
ミングで、何故か静かだった波が一気に引き、私は
波に攫われたのです。
岩場を転がるように攫われた私は、視界が白波に遮
られ、上下も分からなくなる程で、まるで何かに引
きずり込まれて溺れる感覚に襲われました。
その後、何とか岩場に上がることができました。
岩場に上がった時、体中に傷跡を残していたことに
皆で笑い話でその時は終わったのですが、その帰
り道、頑なに海に入ることを拒んでいた一人が何や
ら気まずそうに話しかけてきました。
「私君、もしかして霊に取りつかれやすいタイ
プ?」
いきなりの質問に対して私は驚きましたが、すぐに
答えました。
「はい、霊感もあります。」
そう言うと彼は黙り込んで何やら考えている様子で
したが、私にこう言ったのです。
「さっき波に攫われた時・・・。俺、見たんだよ
ね。」
私は嫌な予感がしましたが、彼は続けました。
「海から手が出てたんだよ・・・。」
その時、私以外、誰も海に入っていませんでした。




