表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
赤ずきん姫とオオカミ騎士~姫に触れられるのは、ただひとりのオオカミだけ~  作者: 月野雫


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
23/59

第23話 姫の涙


魔術師たちが去り、中庭に静けさが戻った。


ロザリンは胸に手を当て、震える息を整えようとしていた。




花の力が暴れたわけではない。


ただ──怖かった。


ロウがいなければ、


自分はあの場で力を奪われていた。




ロウはロザリンの様子を見て、


そっと距離を詰めた。




「姫様……大丈夫ですか…?」




その声は、戦闘のときよりもずっと柔らかい。


ロザリンは答えようとしたが、


喉が震えて声にならない。




ロウは気づく。


ロザリンの肩が、かすかに揺れていることに。




「……怖かったんです」




ようやく絞り出した声は、


今にも消えてしまいそうに弱かった。




ロウは驚いた。


ロザリンが“弱さ”を見せることは滅多にない。




そして──


ロザリンの目から、


透明な涙がひと粒、静かに落ちた。




その涙は、


ロウの胸の奥を強く締めつけた。


ロザリンは慌てて顔を伏せる。




「ごめんなさい……こんなところ、誰にも見せたくなかったのに……」




ロウは首を横に振る。




「……姫様。


涙を見せてくださったのは、私だけで構いません」




ロザリンは顔を上げる。


ロウの瞳は、驚くほど優しかった。




「私は……姫様の涙を、弱さだとは思いません」




ロザリンの胸が熱くなる。


涙がまたひと粒、頬を伝う。




ロウはそっと手を伸ばし──


触れない距離で止めた。




「……泣いてもいい。


ここには、私しかいません」




その言葉に、


ロザリンは堪えていたものが崩れた。


ロウの前でだけ、


静かに、声もなく泣いた。




ロウはただ、


その涙を守るように立ち続けた。




中庭の花々が、


二人を包むように揺れていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ