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第28話 優しい彼は浮気者?!


「ねぇ、凱斗なんでこんなの許すの。この人絶対、凱斗(かいと)の事狙ってるわ」


「そうかもね…」


「そうかもねって…あぁーーー!ムカつくぅ!」


「やだな…璃子(りこ)が凱斗と付き合ってるみたい」





そう言って苦笑いしたら、璃子は真顔になってフォークを持つ私の手を静止した。

璃子の目は、その画像を見てから怒り心頭だ。




「ねぇ、なんで凱斗に言わないの?言いなよ!こういうのやめてって」


「……。」


「もう、別れちゃいなよ!こんなやつ。女何人いるの?!」


「璃子も…そう思うの?何人もいるって…」


「私??私は…まぁ凱斗の事は、高校の時から知ってるからそこまで悪い奴じゃないとは思いたいけど…。


結構業界じゃ有名なのよ。女優もモデルもみんな狙ってるの“カイティ”ほら、凱斗って実家も半端なく太いじゃない??それであの容姿だもん」


「……」






璃子とアオ君は広告代理店勤務だ。


パソコンのCMで凱斗を起用した時、一緒に仕事したって言ってた…


だから女優さんやモデルさんの情報に詳しいんだな…。



―――その時だった。



隣の二人組の大学生らしき男の子が、スマホを覗き込んで騒いでる声が聞こえてくる。






「え~美央(みお)ちゃん彼氏いるのかな」


「これ絶対匂わせだよな。今泉美央(いまいずみみお)の彼氏って誰だろ…」


「俺無理―。明日からなんもやる気でないわ」







「何…今泉美央?なんなの…今度CMで使うんだけど…」






璃子はそれを聞いて、慌ててスマホで検索し始める。





「何々…えっと…」


「私この間、恵比寿で見たよ?すっごくかわいかった」


「整形でしょ」


「……」


「え?!美央熱愛??SNSで彼氏の事を暴露??」


「そうなんだ~」





私はそう言って、呑気にポテトを口に運ぶ。





「誰だろー。写真集持ってる男」


「え?写真集?」


「ほらこれ読んでみて」





璃子が見せてくれた今泉美央のSNSには、凱斗とおそろいの”エルメスの革のブレスレット”を見せつけるようにして、にっこりと頬杖付いて写ってる。


それから二枚目は、それが付いた手首のアップ写真…





【すきぴは、私の写真集持っておしごとでアメリカへ♡】






「写真集持って…アメリカへお仕事…」


「ちょっとー、これも凱斗じゃないよね?そうだったら逆にウケるわ!」


璃子は冗談で爆笑しながら、なみなみスパークリングを飲み干した。


まさか…そう言えば写真集もらったって、凱斗あの時言ってたな。


いや、これ違うよね?いくら何でも…だってあの時、凱斗すっごくイライラしてたし…




「これもし凱斗だったら…私…付き合ってる意味ある?」


「え?」


「璃子~私どうしたらいいの…」


「え?!マジでこれ凱斗??この女優の彼氏??なわけないよ…花凛の彼氏じゃん!」


「よくわかんない…もう…」


「そう思って当然だわ……この間週刊誌にも載ってたね。モデルと旅行…」


「……」


「何がほんとで、何が嘘なのかわからなくなってくる。SNSの弊害だわ!」


「でも、凱斗…私には、すっごく優しいよ?」


「なに庇ってるのおよ!女癖が悪い男ほど優しいの!」


「……」


「あっちにもこっちにも、そう言うやつは誰にでも優しいんだから!」


「どうすればいいのぉ。もう無理ぃ…」


「そうね。もう無理よ」


「え?」


「花凛。相楽(さがら)氏どうなの」


「相楽氏って、まさか相楽君のこと??」






璃子は相楽君に2回ほど会ったことがある。


2回とも偶然だ。




「あの人、凱斗とタイプ違うけど、めっちゃイケメンだよね。ちょっとハジュンに似てるわ」




璃子はイケメンだと、すぐにVivi-us(ヴィヴィアス)のメンバーに例える。




「そうかな…見慣れちゃってよくわかんないな」


「イケメンだよ!あの人どうなの?彼女いるの??」


「あの人どうなのって言われても…。相楽君はお兄ちゃんみたいな人だし…」


「え?あ、今”お兄ちゃん”で思い出したけど、たくみん元気?」


「うん。元気だよ」





璃子が言うたくみんというのは、私のお兄ちゃんの事だ。


拓海だから“たくみん”って璃子は呼んでる。


三つ上の妹思いの優しいお兄ちゃんだ。


璃子は高校生の時、うちのお兄ちゃんに家庭教師をしてもらってちょっと憧れていた。





「“たくみん”みたいな人なら、いい人じゃない!」


「いい人だけど…きゅんとか、ドキっとか…そんな感じじゃ…」


「へぇ。凱斗にはそれがあるんだ……」


「……」


「でもさ、花凛、最近全然楽しそうじゃないよね?あのメール見ちゃってから」


「かも…内容を見たわけじゃないんだけど、あれからぜーんぶ、凱斗の言ってること嘘なんじゃないかって思えちゃって…」


「それって、ほんとに女なの?」


「女の人じゃなくて何なのぉ。アイコンもどっちもキレイな女の人だったんだよ?!一人なんてビキニだったんだから…」


「……」


「写真みたいに、焼きついてるもん」


「モヤモヤしてるなら、はっきり聞いた方がいいんじゃない?他に女がいるなら別れるって」


「別れなきゃダメかな…」


「大勢のうちの一人なんてやでしょ!耐える女とか…私だったら絶対無理!こっちからお断りだわ」


「ふぇーん。璃子ぉ~…私どうしたらいいのぉ~~」







大好きだし付き合ってもいるのに、私はずっと凱斗に片思いみたいだ…


聞きたくても聞く勇気もなくて、本当の気持ちも言えなくて…




別れちゃうくらいなら、我慢できるってそう思ってたけど…

こんなのいつまで続くんだろ…







聞いちゃえば、ホントに楽になるんだろうか。



もしそれで別れる事になっても、頑張れるかな…私



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