プロローグ2
空腹で震えていると上から天使様がおりてきた。
屋台で見た苺のようなキラキラ輝く髪と俺を見つめる緑の目は俺が見たことあるものの中で一番輝いていた。
ああ俺死んだんだ。こんな素敵な天使様がお迎えに来てくれるなら死も悪くない。
「さぁ一緒行こう」
その小さな手は俺にとっての英雄で、聖なる者で、誘惑するもので、正義で、悪で、唯一で全部だった。
本当に手をとっていいのか、いつもは用心深く疑うのにその時はあっさりと手を掴んだ。
「私の名前はエレーナ・リリーフロスト。
リリーフロスト家の次女で兄、姉、私、妹の四人兄妹だ。
あなたの名前は」
「……ギルバート」
俺は名前なんて贅沢なものはなく、おいとかおまえって呼ばれてた。
いつも感じないのにこの時はむしょうにそれが恥ずかしくて、天使様の知られたくなくて頭を捻って一番かっこいい名前を言った。
「そうか、ギルバート。よろしくね」
エレーナと名乗る天使様が馴染みのない俺の名前を笑顔で呼んだ時、何かがストンと落ちた。
胸?何とも言えない部分が熱くなって、ようやく穴が塞がった気がした。
ふわふわと浮かんでいるよなこの気持ちは何だろうか。
これが死なのだろうか。
今までにない感覚に戸惑っていると、天使様は俺の手を取り告げた。
「一緒にお兄様に怒られてほしい」
「…ああ」
怒られ慣れてるので全然構わないが、何故か気分が沈む。
自分の感情が迷子で自分でコントロールできない。
なんだこれ、気持ち悪い。
そんなこんなで見たこともないような家いや城?につれていかれ何個もある部屋の一室で居心地悪く待っていると、俺より少し上くらいの白髪の太った男の子と帰ってきた。
天使様が言ってたお兄様かと身構える。
「やぁ、なんで座らないの」
「えーとあの綺麗な椅子が汚れますんで」
天使様への喋り方なんて知らないから聞いた中でも一番丁寧だと思う喋り方で答えた。
気に食わないなら鞭打ちでもすればいい。
そしたらこんなふわふわと居心地悪いのから解放される。
「ふーん、ねぇその服って思い出ある?」
「えっと、いえ着れればいいから別に」
「そうじゃあもういらないね。臭い凄いし」
「え?」
自分ではわからないが臭いと思う。
でもこれないと俺全裸なのだが。
今ここで脱げばいいのか?
そういう嗜好なのか?
天使様も意外と俗物なのか?
暴力はあってもそっち系はやったことない。
ああもう着いてきちまったのが運のつきだ。
死んでるが痛みはあるのだろうか。だったら痛くないのがいい。
ただ、天使様にみすぼらしい身体見られたくないな。
「セバスチャン、こいつの丸洗いよろしく。
僕はその間エレーナとみっちりがっちりお話しするから」
「かしこまりました」
「かしこまらないで、私のギルバート連れてかないで」
「はっはー、笑える」
セバスチャンという人に促されたが、天使様がが行くなというので拒否した。
「エレーナ様が余計怒られてしまいますよ」
と耳打ちされたので振り返りながらセバスチャンについていく。
そのあとはどれだけ洗っても白くならない泡にセバスチャンがヒーヒー言っていた。
その時の俺は初めての風呂にああこれは死んだなと遠い目をしながら、今日何度目かわからない死を経験していた。
なんとか泡も白くなり、俺の意識も戻ってきた頃真新しい洋服を着せられ、再度天使様の前に来た。
椅子に促されたので遠慮しながらも今度は座る。
なんだこれ、フカフカすぎてどう座ればいいんんだ。尻が浮くぞ。これ雲でできてるのではないのか?
「ギルバートもう少し後ろに座って、そう、上手」
さっき見た時は涙やなんやらでべしょべしょ顔をしていた天使様は、今は笑いながら俺の世話をやかれてる。
「名前は?」
「ギルバートです」
「ねぇジリー」
「へ?」
「ああ君の愛称だよ。呼ばれたことないかい?」
「はい、その、名前も今日初めてで」
何故自分はこんな恥をかきにいっているんだ。
何がもうわけがわからない。
「そうなの?
じゃあ私がギルバートの名前の初めてだね」
「はい」
この笑顔を見ていたらなんでも良くなってきた。
「かわいそうなジリー。
まぁいいや。でねジリー続きなんだけど、勝手に抜け出して妹がなんでもかんでも拾ってくるのに僕困ってるんだ」
「はぁ」
「だからジリー、君見張ってほしいんだ。
勝手に抜け出さないように、拾ってこないように」
「え、いやでも」
「はっはージリー、着いてきたのなら何されても仕方ないのだよ。
今からきみはエリーのパートナーだ。勉強も遊ぶのもご飯も一緒。
片方が罰を受ける時、もう片方も連帯責任を受けてもらうから」
そう言ってオニイサマは悪い顔で微笑んだ。
エレーナは護衛撒いちゃううえにごろつきしばき倒してる系お嬢様
エレーナをドラゴンと同じ扱いをするごろつきどもは、巻き込まれないために知った仲だろうとそうでなかろうとエレーナに関わろうとする人を止めに入ります
ギルバートが連れて行かれるのを見て、そっと行く末を祈りました




