君に自信という名の冠を
四人集めるのは簡単だった。
ノクスを仲間はずれにして女達はピクニックに行ったらしい。
通りで静かだっと思った。
それを聞いてもノクスは今度は泣かなかった。
なぜなら今、元気にやりたいことを並べているから。
「焚き火して魚釣ってまずはゴブリン退治してウルフドック退治してトロールも倒してドラゴン退治してお姫様救ってあと宝物見つけてあと遺跡も探検して、秘密基地作って」
おおっとこれは流石に一日では無理だぞ。
ノクスの横にいるロッティを見るといいなそれとまた頭使ってない馬鹿な返答してるし、隣のジリーは諦めた顔してる。
ジリーごめん君には世話かけてる。
日頃のエリーの行いが見えただけで誰も止めないので、あらかた意見を出させたところで修正する。
「いいかいノクス、ダンジョンで魔物を探すのにもなかなか時間がかかるよ。
魔獣退治ならドラコニス領に行けばいっぱいいるよ」
「そうだな、わたしの仕事を手伝うか?」
「僕は冒険がいいから父さんの仕事手伝うのはまた今度ね」
ロッティついに息子にまで軽くあしらわれてる。
気づいてないのか、心が大きいのか今度という言葉に嬉しそうに笑ってる。
多分お膳立てしないとこない今度だぞそれ。
今言うと面倒に巻き込まれるのでやめた。
「ノクス一番したいことは何?
これだけは今回絶対したいこと。
それをやって他は時間が余ったらやったり次回の時でもいいんじゃないかな」
「そうなの!一回だけじゃないの?!」
「四人だけで行くのは最後かもだけど、ノクスのやりたいことやるのは一回だけじゃないよ。
やることやってるならどこへだって連れてくよ。
それにどうせ見つかってレイナが駄々こねるからね。“私もやる〜”ってね」
「おじさまにてるー」
ノクスはきゃっきゃと楽しそうにしてる。
こらこらロッティまで笑ってないで、ちゃんと親しなさい。
やりたいこと聞いて付き合うのは親の役目でしょうが。
意思疎通が剣を一緒に振り合うって言うのはもうなしだからね。
ロッティに目配せすると、しばらく考えてハッとする。
「それでノクスは何が一番したいんだ?」
僕と同じ質問を繰り返しただけだが言わないよりは成長したのでよしとする。
「うーんと探検もいいけど釣りもしてみたい」
「それなら第一層に川が流れてます。
移動魔法で行くのではなく、馬で移動しながらでしたら時間もかからず探検も釣りもできるのではないでしょうか」
ジリーの言葉にノクスが立ち上がり目を輝かせた。
「いいのそれ!やったーじゃあ途中で見つけた木の実食べてもいい?」
「好きにすればいいけど隊長は毒の見分けがつくのかい?」
「ほ、本持って行く!」
「それもいいけど、隣に誰がいる?」
「父さん見分けつくの?」
子どもからの信頼がないぞロッティ。
だから日頃から頭使いなさいって言ってるだろう。
「ああ、つくぞ。
このダンジョンと我が領地は似ているからな。
ノクスも覚えておくといい」
「すごい!」
ノクスに尊敬の目を向けられ照れてる。
全部知らなくてても得意なこと子どもに教えてあげてロッティ。
剣の腕前だけが君の全てではないのだから、そんな自信なさげにするなよロッティ。
うちのディーが惚れた男だぞ、大丈夫だ。
ってまぁ恥ずかしくて言わないけどね。
「あとは日付決めて、持ち物は隊長とロッティにお任せするよ」
「何で父さん?」
「何でって遠征慣れしてるから僕より上手だよ。
上手な人に任せた方がいいじゃないか」
「そうなの父さんすごいんだね」
いやーそれほどでもーってまた照れてる。
ノクス、君の父さんは変なとこ自信がないだけで、すごいやつなんだよ。
だって神の友で神の妹の旦那なんだから。
「じゃあ今レイナ、ピクニックに行っていないから今準備しよう!」
「ああいいぞ。釣竿も作るか?」
「釣竿も!すごい!僕も作れる?」
「ああもちろん」
親子の微笑ましい会話をしながら部屋を出て行った。
さて僕も前倒しで仕事終わらせないと。
「俺もあんな親になれるでしょうか。
娘は可愛いのです。
でも俺は捨てられて親もいないし、幼少期はひもじいか殴られた記憶しかありません。
俺が親でいいのでしょうか」
俯くジリーを見る。
エリーはあっけからんとしていた。
ジリーも笑っていたので大丈夫と思っていたが、こんなことを思っていたのか。
大丈夫大丈夫君ならできるって言うのは簡単だが、意味のない言葉だ。
今、彼はそう言うのが欲しいわけじゃないのだろう。
「じゃあダメって言ったらエリーもシェリーも諦める?」
「いえ!エレーナもミシェルも大切です。
諦めません、たとえ死ねと言われても」
「じゃあそれが答えでしょ。
僕が、ジリー今日から親になれって言って君は親になったわけじゃないだろう。
良いも悪いもない君はもう親だ。
良い親になるか悪い親になるか、それは君次第、君が今から子どもにどう接するかだね。
って偉そうに言ってるけど僕まだ親になったことないんだけどね。
だけど子どもだったから言えるよ、シェリーを相手にしてる時ジリーはいいお父さんだよ」
そう言うとジリーはホッとした顔して泣いていた。
しょうがないので抱きしめて背中をトントンと優しく叩いてやる。
数日すぎ、準備もできてさて行こうかと四人でこっそり馬に跨る。
ノクスは今日はロッティと一緒に乗る。
流石に護衛なしなので何かあった時のことを考えて乗りなれてないノクスは相乗りにした。
出発の合図を言う前にノクスーと可愛い声が遠くから聞こえる。
思ってたより早く見つかってしまった。
何も知らないレイナが笑顔で近寄ってくる。
その後ろであーあと声が聞こえてきそうな顔のミネルバと、これまた「やってしまいましたね」って苦笑する妹達と、手を引かれニコニコの子どもたちが来る。
大勢でお見送りなんて、今でなければ嬉しかったんだけどなー。
「どこ行くのノクス?
ねぇそれ何持ってるの?棒?
お父様達と素振りするの?
でも馬に乗るってことは遠くに行くのね!
待ってて着替えてくる!わたしも行くわ!」
ノクスが釣竿を隠すけど時すでに遅し。
今にも走って着替えに行きそうなレイナに声をかける。
着替えてる間に行っても良かったが、追いかけてきそうだからやめた。
ちゃんと納得させた方がいいだろう。
「レイナ、今日はレイナはいけないよ」
僕の言葉に頬を膨らませる。
「何でおじさま!ちょっと待ってくれるだけで良いのよ!」
それはそうなのだが、珍しくノクスがレイナに言い返す。
「レイナは男じゃないからダメ」
「何でよ!いつも仲間はずれダメっていうくせに!」
「レイナは男じゃないからダメなの」
おお、いつも口喧嘩で負けているのに頑張っている。
レイナがウルウルし出し、そして泣いた。
どうしようか四人で顔を見合わせる。
ノクスも泣きそうだ。
どうしたものか。
ミネルバが笑う。
「こらこら、レイナ。
女の涙を安売りしてはいけませんよ」
「でもミルおばさま、ノクスがダメって」
「それはそうでしょう、あなたがいつもノクスに言ってるではありませんか。
女じゃないからダメって、私もあなたの母も、あなたの父もみんな言いましたよね。
意地悪しては駄目だって。
でもあなたはこう返しました。
意地悪じゃないルールだって。
やったことやり返されただけではありませんか。
あなたは泣いて自分の決めたルールを破り、連れていってもらうやすい女なの?」
「いいえおばさま」
「下の子が見てます、もしあなたがついて行くならこの子達にあなたはなんて説明するの?
私は特別なのって言うの?
ルールなんて関係ないって言うの?」
「いいえおばさま。言いません。ごめんなさい」
「私にではないは、誰に謝るの?」
「意地悪してごめんなさいノクス。いってらっしゃい」
そう言ってミネルバに抱きついた。
スカートで顔を隠しながら手を振っている。
可哀想だからと連れて行くわけにはいかない。
「ごめんねレイナ次は一緒に行こうね」
「うん…」
涙声だが返事は返ってきた。
ノクスもなんだかんだ妹に甘いのだ。
「アドニス様大物を期待してますわ。
料理長には今日は魚が大漁だと伝えますのでよろしくお願いしますね」
「こらこら、僕は遊びに行くんだよ。
圧かけないでよ」
「あら、狩は古来より男性の仕事ではありませんか。
妻のささやかなおねだりを叶えてくださってもいいのでは?」
「釣りなんてしたことないのに期待しないでよ」
「ふふふ、冗談ですわ。
あまり遅くならないでくださいね。
一人寝は寂しいですから」
「うっわかった」
心臓を射抜かれたかと思った。
何その可愛いおねだり、絶対帰るから。
「じゃあ行ってきまーす」
いってらっしゃいとみんなに見送られる。
ノクスはレイナを気にして何度も振り返ってたが、見えなくなりやめた。
「レイナ泣いてたね」
「仕方ない。レイナが先に悪さしたのだから」
「でも父さん女の子を泣かせてはいけないんだよ」
「それはまぁそうだが」
ロッティ負けるな。
女の涙に騙されてはいけないと教えるんだ。
あ、駄目だ。考えすぎて頭から湯気出てそう。
「ノクス、ミネルバ様が言っていたでしょう。
やすい女になるなって、今レイナを連れて行ってもそれはレイナのためにならないよ」
「やすい女って何?」
「単純な女かなー?頭空っぽでわがままで短気で」
「アドニス様その辺で。
まぁようはレイナが意地悪なままでいいなら連れて行ってもいいよ」
「それは嫌だ」
「じゃあ次回だな。
次回いいところ見せるためにも今日練習しよう」
「そうだね父さん!いっぱい釣るぞー」
いい感じにロッティが締めてくれてよかった。
何だ、ジリー君はお父さんできてるよ。
心配しなくてもいい。
君たち二人は自信がないだけで、ちゃんとお父さんだよ。
街で買い食いをしそれを食べながらダンジョンの潜る。
第一層は特に危険がないが念のためこっそりノクスに保護魔法をかける。
ん?あれもう複数かけてある。
魔力層を辿れば、行く前の時点で二回ロッティが、街で買い食いしてる時にジリーがそしてダンジョン前でロッティがさらにかけて、最後に僕がかけてる。
何だロッティ過保護だろう。
ニヤニヤするとそっぽ向かれた。
途中木の実を取りはしたが何事もなく、川についた。
「ふー何も起こらず無事についたー」
ノクスなりに楽しんでたようだ。
馬を木に繋ぎ、ロッティに目配せする。
ロッティは黙って頷くと石を組み始めた。
僕とジリーは荷を下ろす。
「何してるの?」
「焚き火するんだろう」
「そうする!これで焚き火できるの?」
「いやまだだ、乾いた枝を拾ってきてくれ」
「わかった」
荷物もおろせたのでニクスについて一緒に枯れ枝を拾う。
途中で猪?豚?なんか中間っぽいものが飛び出してきた。
目が合うが逃げない。
「おじさま捕まえて!」
即座に魔法で動きを止める。
「で、どうするにさ」
ジタバタと暴れようとしているのか鼻息が荒い。
そう簡単に逃げれないよ、ごめんね可愛い甥っ子の頼みだ。
「レイナのお土産にして屋敷で飼う!」
おおっと魔法が解けたふりして逃そうかなー。
キラキラの目に何と言えばいいのやら。
んーロッティに丸投げするか。
猪豚もどきを拘束したまま宙に浮かせ、枯れ枝と共に持ち帰る。
「なんだワイルドボアじゃないか、どうしたんだ」
「偶然草むらから出てきてなんか捕まえてって言われたから捕まえた」
自分でも何だそりゃだ。
ごめんロッティ丸投げする。
ペットの問題は親がどうにかしてくれ。
「父さん飼っていいでしょー。
頑張ってお世話するからー」
「飼うのか?!」
ロッティとジリーがこっち見てきたが目を逸らす。
だってノクスのやりたいこと何でも叶えるって言ってしまったからね。
ダメとは言えない。
あとなんかこいつ可愛く見えてきた。
目がクリクリで可愛い。
それを察したのか、ノクスと僕の前にロッティが片膝立ててしゃがむ。
「いいかい二人とも、魔獣は飼えない。
ペットにはできない。
なので食べよう!」
「食べるのか?!逃すじゃなくて?!」
僕の驚きにいい笑顔でロッティが頷く。
そのままの顔でワイルドボアを解体し始めた。
わざわざ僕たちに解体が見やすい位置で
ノクスと二人抱き合う。
ドラゴンは倒したことあるよ。
首を一刀両断した。
あとは知らない。
それっきり生き物と戦うことも殺したこともなかった。
もちろん解体もしたことないし見たこともない。
え、そんなことするの?
え、え、なにそれ??何の部位?
これって内臓?
「ジリーは何で平気なの?」
義弟は涼しい顔で見てる。
むしろ勉強になりますって言って見てる。
「エレーナとよく捕まえて解体して食べてましたから」
えっちょっと待って、エリー、君に何させて何やってんの。
妹の知りたくなかった情報に余計に頭が混乱する。
「僕もうペットも肉もいらない」
「ああ、僕もだ。肉食べたくない」
「何言ってる二人とも捕まえてきたのは二人だろう。
命を粗末にするな、焼いてやるから食え」
うう、ワイルドボアの目がこっち見てる。
一生懸命目を逸らす、肉を焼いてるロッティを凝視した。
じゃないとあの可愛い目がこっち見てるのだ
すまない逃がせばよかった。
なんで焚き火なんてしたんだろうか。
ジュージューという音といい匂いがする。
「ほら焼けたぞ食え」
木に刺さった肉を差し出されノクスと見つめあったあと二人で受け取る。
じーと見つめてしまい口までいかない。
隣のノクスを見ると、思いきっり齧り付いてた。
僕もそれに習って齧り付く。
……美味いけど申し訳ない。
何とも言えない気持ちで完食する。
「ノイブー美味しかったよごめんなさいー」
ノクスの泣き声につられて泣きそうになる。
ノイブーごめんなさい。美味しかった本当に。
脂が乗っててそれでいてしつこくなくて、あっさりだけど噛めば噛むほど味があって、食べてるのが薬草なのか肉には臭みがなくてそれでいて焼いただけなのに香辛料を使ったような深い味わいで総じて美味しかったよ。
「ノクス、わたし達は命を食べないと生きていけない。
これから食べ物は残さないで感謝して食べなさい」
「うん、感謝する」
「アドニス、これ氷漬けにできるか、土産に持って帰ろう」
「ああできるよ。それでこの鞄に入れておこうか」
「何それ?小さすぎるよ。僕の頭ぐらいしかない」
「そう、でも中はとっても広い空間になってる。うちの屋敷なら入るくらいの広さで重くならない。
最近考えたんだ。面白いだろう」
「それはすごいのですが、そんなに広くて物を取り出す時どうするのですか?」
「そうなんだよ、今のところ取り出したいものを思い浮かべることですぐ見つかるように魔術式は組んでるんだけどねー」
「じゃあ忘れんぼさんは使えないね」
ノクスの言葉に頷く。
うっかり取り出せないなんて困ったではすまされない。
「これは今日帰ったら破棄するよ」
「何でー僕にちょうだい」
「駄目だノクス。もしシンシアやミシェルが入って遊んでみろ、出てこれるかわからないんだぞ」
ノクスが慌てて握っていた鞄を離す。
そうなのだロッティの言う通り。
怖かったので最近は肌身離さず持っている。
「なんかいい方法ないかなー」
「とりあえず、アドニス様以外触っても開かないように鍵をかけられては?」
「確かにそれがいい」
外側から鍵をかける。
鞄自体には術式が複雑に絡み合いすぎてこれ以上はかけられなかった。
氷漬けの肉を入れる。
「頭の方はどうする?」
「土に埋めよう、掘り返して獣が食うか、木の養分になるだろう」
ロッティとジリーにお願いする。
僕とノクスはその側で抱き合いながら見ていた。
「レイナ来なくて良かったね」
「うん本当に」
「冒険のお話はもっと簡単だったよ。
敵がきたら剣で斬っておしまい。みんなでそのあとお酒を飲むの」
「そうだね。こんな大変でこんな汚くてでも尊いことは書いてないね」
「僕今日のこと忘れないと思う。
でもレイナには言わない。僕だけのだ」
「そうか」
ノクスの顔が一段と逞しく見えた。
汗だくで穴を掘る二人をしばらく見つめる。
僕より頼りになる二人だ。屋敷では見ない顔を妹達に見せてあげたかった。
埋め終わって感謝と祈りを捧げる。
僕も神だけど下っ端なのでもっと上の神様にお願いする。
ノイブーの次はもっと幸せでありますように。
一通り供養したあとは釣りを楽しんだ。と言いたいが、僕だけ何故か釣れない。
位置が悪いんだと言って場所をかえる。
何故あの三人だけ釣れるのか?
同じ場所なのに不思議で仕方ない。
一人トボトボ歩いていると、開けた場所に出た。
色とりどりの花が咲いてる。
ダンジョンあるあるの季節を無視した花畑だ。
どうせ釣れないし、花でも摘んで帰ろう。
一人黙々と花を摘む。
ミネルバと一緒に来てもいいなと思いつつある事を思いついた。
そう言えば妹達と作ったっけと昔の記憶を呼び戻しながら作る。
しばらくしてもどると三人はまだ釣りをしていた。
よくもまぁ飽きないものだ。
「どうだ釣れたか」
ロッティは絶対わかって言ってるな。
その証拠にみんなでニヤニヤしている。
「僕はいいんだよ。
他のお土産見つけたからね。
あっちに花畑があったから摘んできた。
やっぱり女の子は魚より花でしょ。
あとあっちに綺麗な魔力石転がってた探せばまだあるかもだから行かないかい」
「なんか試合に勝って勝負に負けた気分です」
そうだよジリー、釣りなんて些細なものさ。
釣れないのが悔しいとかではないから。
釣り道具を片付けて馬の周囲に結界をはり、さっき来た道を戻る。
肉眼では区別がつかないが、一帯に薄く魔力を飛ばせばチラホラと輝き出した。
なかなかでかいのもあるな。
「おじさますごいキラキラだー」
「ノクスお宝見つかって良かったね」
「ありがとう。レイラとシンシアとミシェルと母様とおば様達とおじいちゃんとおばあ様に持って帰ろう」
うんうんいっぱいお土産持って帰りな。
屈みながら石集めするロッティとジリーの頭に花冠を被せる。
「パパ達には自信の冠をあげよう」
「何だこれは」
「花冠だよ。妹達とよく作ったものさ。
これ結構大変だったんだから、自信がない君たちに自信が出るような花集めたんだよー」
ジリーはしばらく花冠を黙って見つめたあと真っ赤になった。
花言葉がわかったのだろう
「これ言われるより恥ずかしいです。
どんな顔して作ったんですか」
それはもう真顔だ。
こんなの途中で何回もやめたくなった。
「何だ?どう言う意味だ?」
「本人に聞かないでくれる、僕も正直投げ飛ばしたいくらい恥ずかしいんだから。
花言葉の辞書でも引いてくれ頼むから」
男相手に何故作ろうと思ったのか。
あの時は頭に血がのぼっていたのだ、釣れなさすぎて。
「僕知ってるよーこれがラナンキュラスでー意味は」
慌ててノクスの口を塞ぐ。
やめて伯父様死んじゃうから、ついでに意味がわかるとロッティも死んじゃうから。
「ノクスもういいのかい、そろそろ帰らないとだよ」
「えーもうちょっと石拾うー」
「はいはい石拾うぞー。
二人もぼさっとしない時間は有限なんだから」
ロッティが疑問符を浮かべてるがそれについては知らない。
ジリーも真っ赤になりながらも拾っているのだ。
気にしないで拾いなさい。
そのあと面白がって花言葉を言おうとするノクスと攻防になりながら帰宅した。
ジリーの頭にある花冠を見たエリーがニヤニヤしながら僕を見ている。
そうだよ僕が作ったよ。
本当君たち賢いね。
今日ほどロッティが勉強嫌いで良かったと思ったことはない。
ディーも気づいたのかあらあらと嬉しそうに笑ってる。
「これレイナにお土産、肉と魚と花と魔力石と木の実」
「いっぱいだーありがとう」
ノクスが一人一人にお土産を配って歩いてる。
楽しかった思い出とともに。
「おかえりなさいませ。釣れましかアドニス様」
「それがまったく。でも代わりに花畑を見つけたんだ。
今度一緒に行こうねミネルバ」
ミネルバのつむじにキスを贈る。
君には冠も花束でも足りないから花畑ごと贈るよ。
それでも足りないのでキスを贈ろう。
君は困ったように笑うだろうな。
それを想像してクスリと笑みが溢れた。
談話室でノクスの大冒険の話をみんなで聞く。
よっぽど楽しかったんだろうな。
ノイブーは僕だけのだからか簡単にしか話さなかった。
まぁ解体がどうのと詳しく話始めたら逆に止めるけど。
くすくすと笑いながら話を聞くミネルバの手は花冠を作ってる。
その花なんか似たの今日使ったんだけど。
意図的ならとても恥ずかしい。
チラホラと赤い薔薇も混ぜ込んだ冠を僕にかぶせてきた。
「自信がないあなたに私からの想いを込めて」
耳元で囁かれ、耳に軽くキスされた。
それはないんじゃないかミネルバ。
こんなの狡い。
真っ赤にならないはずがない。
まさかノイブー食べられてしまった。
途中まで飼う予定でしたが、ロッティに判断を委ねたところ食べました。
私もびっくりです。




