お年頃(ねぇお二人さんの前くらい)
最近ジリーの様子がおかしいと妹から訴えがあった。
「どうおかしいの」
クッキーを食べ書類を読みながら話を聞く。
妹は気に食わなさそうにしていたが無視する。
君はイタズラして説教されていたのであって、その延長で悩み相談聞いてるんだよ。
そのせいでだいぶ仕事溜まってるんだからね。
真剣に聞いてはいるけど、向き合ってまでは話を聞けない。
「一緒にお風呂に入ってくれないのです。
あと最近一緒に寝てくれない時もあります」
食べてたクッキーを落としそうになる。
え?今この妹何って言った?
まさかねと思いもう一度聞く。
「一緒にお風呂も入ってくれないし一緒に寝てくれない!」
今度は強めに言い若干エリーは泣きそうな顔をする。
泣きたいのはジリーだろうに。
13になれば年頃で自然と離れるだろうと甘く考えていた僕が馬鹿だった。
「エリー、僕の世界一わんぱくな妹、それでいて世界一賢い妹。
わかっているだろう、エリーは女で、ジリーは男だ。
いくら半身とは言え、言葉通りずっとはいられないよ。
まさかトイレまで一緒とは言わないだろうね」
「まさか、11歳で一緒は卒業しました」
逆に一年位一緒だったのか。
ジリーが本格的に可哀想になってきた。
「逆に聞くけど、なんでトイレ一緒はやめたの?」
「恥ずかしいから嫌だってギルが言うから」
んーエリーは羞恥心がないのか?
いくら半身とは言え、もよおしている所見られたくないだろう。
「エリーは恥ずかしいとかなかったの?」
「特には。人間出るもんは出さないと」
おおーっとこれは大物と呼んで良いのか、馬鹿なのか?
恥ずかしいと思っている方が恥ずかしい気がしてきたぞ。
ジリーに心底同情する。
同性でも恥ずかしいだろうに、異性のしかも好きな子に見られながらって…。
簡潔に言って地獄だ。
そう言うの見て興奮する人もいるらしいけど…ジリー変な方に目覚めてないよね。
確認するのが怖いから考えないようにしよう。
でも、やめてるってことは違うってことだよねってやばいまた考えてた。
違う話題をふろう。
「あのねエリー男女ではお風呂に一緒に入らないんだよ。
ほらお兄様とは入ってないだろう」
「それはお兄様が嫌って言うからです。
私今でも入れます」
「そうかー」
いやいやそうかーではない。
僕は入りたいとは言ってない。
なんだこれ、今までで一番難問かもしれない。
「とりあえず、今日からジリーと一緒にお風呂もベッドも入っては駄目です。
禁止にします!」
「え!なんでですか!ジリーは私の半身ですよ!」
「半身でも男なので駄目です。
君は嫁入り前の女の子だからです!」
ディーのこともあるのできつくしかる。
ロッティのやつ、ルル、ルルって騒いでいた時の方がまだマシだ。
籍入れて大人しくなったなと思っていたら結婚式もしないで子どもだと!
バッカじゃないだろうか。
ディーが幸せそうだから許したけど、普通なら殴り飛ばして絶対ディーと会わせないのに。
当の本人のディーが何よりも幸せそうにお腹撫でているのに、父親とるのは違うなと思い直した。
「いい、結婚式したらジリーと話して好きにすれば良いから。
いいね、結婚したらだからね。
それまでは男女は別々。
遊んだり学んだりはいいけど、体が触れ合うことは別、いいね」
「わかりましたお兄様」
妙に神妙な妹に呆気に取られたが、素直に同意してくれたので良しとした。
最近聞いたが、まさかそれが他のやつに嫁がせるから、ジリーとは訣別しろと聞こえていたとは夢にも思ってなかった。
一言もそんなこと言ってない。
なんでも、ロッティに嫁がせるくらいなら殿下がマシだと言う独り言を聞いていたらしい。
権力重視の結婚なんだと思ったらしい。
当時はまだ殿下が恋愛ではああなると知る前だったので、こっちの方が性格がまだマシだと思って出た言葉だった。
今ではどっちもどっちなのだが。
むしろ殿下の方がめんどくさいのだが。
そんなこんなで拗らせるもとを作ってしまったのは僕だと言っても過言ではない。
何気ない一言をきっちり二人は守り、身体接触を全面的に避けて数年生きてきたと聞いて本当に申し訳なくなった。
言い訳するなら、いつも言うこと聞かないから、守らないと思ってたんだ。
僕の中では二人が結婚するのは決定事項だから、キスくらいなら別によかったのに。
律儀すぎる二人に今言っても仕方ないので言わないけど。
今日は婚約パーティーの打ち合わせをしている。
まだ結婚してないが、部屋の改装は今からしていた方がいいだろう。
待てよ二人ゆったり広々とした部屋がいいなら屋敷を増築してもいいな。
揶揄い半分、二人にこれからの部屋のことを聞く。
ジリーは慌てそう。
「ねー結局結婚したらお風呂とベッドはどうするのー?」
「一緒です」「別です」
二人が同時に返事するが答えが異なってる。
意外なことに別と答えたのがエリーだった。
「え?別ですか?」
これにはジリーも驚いている。それはそうだろう。あんだけ一緒って泣いてたのにだ。
「別なの、もちろんトイレも別だからね」
それはそう。
そこだけ一緒がいいと言われる方が嫌だ。
「なんでですか?
俺、何かしました?
子供の頃嫌だって言ったからですか?
それは謝りますから」
「それは別にいい。
私がだいぶおかしかったから」
「だったらどうして」
エリーがもじもじと頬を赤く染め小さな声で何か言ってるが聞こえない。
「聞こえないエレーナ。
やっぱり俺なんか嫌だったんだろう」
ジリーが落ち込んでいるのをみて大きな声でエリーが否定する。
その後、誰のことも見ないで、顔を真っ赤にしながら
「だって、裸見られたくないし、寝顔とか不細工だから恥ずかしいし」
と言った。
エリー…!
恥ずかしいって気持ちが目覚めたんだね。
良かった。
なんだかんだで大人になってるんだね。
良かった良かったと紅茶を飲み、クッキーをつまむ。
「エレーナは恥ずかしくないです!
綺麗だ!大人になってからは見たことありませんが、断言できます誰よりも綺麗で天使なんです!」
「見たことないなら断言できないでしょ!
絶対別!今まで通りでいいの!」
「嫌だ!一緒がいい」
「絶対別なの!お風呂とか絶対嫌!」
「無理ですー絶対入りますー」
「入る方が無理なの!私の言うこと聞いて!」
「それこそたまには俺の願い聞いてよ!」
まぁまぁと落ち着かせる。
「とりあえず、敷地内に小さい別館を建てたらどうだい?
そこで二人暮らす所から始めればいいよ。
別々だろうが一緒だろうが気分でかえればいいだろう」
僕の提案にエリーがしぶしぶ頷く。
ジリーは不服そうだが、こちらも頷いてくれた。
意外なとこで意見が分かれたな。
それまではパーティーの打ち合わせを事前にしていたかのように僕の質問に同じ答えを返してたのに。
クッキーをもう一枚食べる。
まぁ、ジリーはお年頃を抜けて、エリーが今度お年頃になったのだろう。
エリーの方が竜の血濃そうと思ったけど、意外とジリー方が濃いのかもしれない。
ちょっと待て、そうなるとまたわけわからん妹自慢聞かされるのか?
もう飽き飽きなんだけど。
妹見せびらかされても、なんか嫌としか思わないんだけど。
気づかれないようきため息を吐いた。
なんだかんだで一緒にお風呂はいたり入らなかったり。
でも寝るのは一緒になりました。




