↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お兄様、過保護過ぎるのでは?  作者: 蜂蜜
金貨一枚分の距離

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

34/48

よりも目と鼻の先

「あの昔のお名前は」

「オーズの前は虫だったから無かったし、その前は猫でそれこそいろんな名前があって覚えていないよー」

「えーとでは神だった頃のお名前は」

「ディーンだよ。

一応この土地を今も治めてる」


お兄さん神様だった。

いやでも今は人間だから元神?

えでもこの土地治めてるって言ってたし。

え?何これ?

都合のいい喜劇か何かだろうか。


「え、じゃあ神の代理人はどうすれば」


戸惑いながらも質問する。

私の覚悟吹っ飛んでしまった。

オーズは眉間に皺を寄せ、腰に手を当て怒ってますアピールをする。


「たまに人間になればまたこれだ。

僕怒ってるんだからね。

君たち、そもそも神の代理人なんていらないの。

何回言っても聞かないんだから。

いい、僕の家を勝手に改装するにやめてよね。

岩ばかりだけど、たまに帰って何もないのを眺めながら一人でまったりするのが落ち着くんだから。

地上にあった頃は、やいのかいのって毎日来るし。

それが嫌で地下に行ったのに、ダンジョンは出すは、神の代理人なんて者寄越して僕の家に居座るし、本当迷惑。

あーそうだ、君、おー様って国で一番偉いんでしょ。

何とか言ってよ。

そこのお姫様にも地下にいる子にもさー」


よっぽど鬱憤が溜まっていたのか、一気に捲し立てるようにしゃべった後もぐちぐち言っている。

とても信じがたいが、オーズが嘘をつく理由もない。

権力にも興味なさそうと言うかなさすぎて不敬をしていたくらいだ。

誰もが信じがたくいた中で、ニルスが一番驚いた事だろう。

その証拠にあまり表情の変わらない顔がわかりやすく驚いた顔をしている。


「兄貴、神だったのか?

じゃあ俺も神なのか?」

「なわけないじゃん、おまえとは血を分けた弟だけど、魂は違うからね。

神は僕だけどニルスは違うよー

ちょっと待って、これ報酬なくなる感じ?」

「いえ、ワインは出させていただきます。

ただ依頼内容を追加したいのですが」

「なーに?」

「今後の神の代理人について。ねぇお父様」

「ああそうだな。

ディーン様におかれましてはその」

「いいよーオーズで。

喋りづらいならいつものでいいよー

僕今平民だしー堅苦しいの嫌いだしー

そっちがいいなら僕もいいーってことでーどう?」

「ありがとうございます」


そう言われても誰もが、神を目の前にどうすればいいのかわからず目を泳がせている。

私もまさかそんなと、いまだに信じきれていない。


「待て、兄貴。

俺とリズが200年、誰も来ない神殿に籠るの話は?」


ニルスはどうも焦るとオーズを兄貴呼びするようだ。

弟って感じで可愛くて姉心くすぐられる。


「……あー!!

おまえまさかこの話にかこつけて200年監禁するつもりだったのー?

信じられない。

最悪ー僕の家で何するつもりさー。

ねー、おー様聞いてよー弟がひどいんだよー

監禁って言っても普通は一ヶ月家に籠るくらいなのに、それをあろうことか神の家で200年篭ろうとかどう思うー。

ひどいよねー」

「違う、いや違わないが違う」


あわよくばを狙っていたのだろうか。

竜の先祖返り恐るべしと言うか、何と言うか。

感動の涙も引っ込んでしまった。


「あの、そのオーズ様、神の代理人とはいったい何だったのでしょうか」


恐る恐るネスターが聞いてくる。

彼の中で不敬と疑心がせめぎ合っているのだろう。

一応様付けになってる。


「何って言われても、いらないって言っても押し付けてくるおせっかいおばさん?」


言い得て妙だが、違うそう言うことではないのだ。


「まぁでも一応。

一応だよ、神殿の番人的な役割はあったかなー。

ダンジョン迷宮も意外と楽しかったし、それでいいじゃん。

でもさなんかさー楽しいなら僕も言わないけど、そんな悲壮感に包まれながら義務としてやらなくていいんだよー。

ってか僕生贄とか貰っても困る系の神だから。

あれってなんか勝手に置いていって勝手に使命感燃やしてあれこれ世話焼くんだけど、勝手に死んじゃうしさー

僕にどうしろって言うんだろうねー」


オーズは寂しそうにどこ見るわけでもなく笑った。

ああ、お会いしてわかった。

この神はみんなに愛されていたのだろう。

誰もが皆、鬱陶しがられても側を離れないほどに。

地下へ潜られた後もダンジョンを作って追いかけるほどに。

神殿で一人で寂しくないように、神の代理人はいたのだろう。

月日が流れ、意味合いが薄れても、魂だけになってもなお彼らは思っているのだこの神が笑顔でいられるようにと。

代理人の手引書にはなぜ代理が必要か書かれていない。

当たり前だからだ。

当然だから書く必要などなかったのだ。


「考えたのだが兄貴。

リズと俺で兄貴の神殿を守ろうと思う。

ほら何かあったら大変だし」


この人はなんだろう。情緒というものが欠けている気がする。

あの一週間はロマンチックで素敵でこちらが何も言わなくても察して動けていたのに。

あれは私限定だったのだろうか。

それはそれで申し訳ないが嬉しい。


「おまえはまた!

弟だからってお願いすれば貰えると思わないでよねー。

それに人間日の光に当たらないと健康に悪いって誰か言ってたよー。

あ!そうだおまえがこれ以上あの神殿にこと言わないように地上に上げまーす」


オーズが指を鳴らすと大きな地響きがする。

数秒大きく揺れた。

父達が座り込むが、ニルスに抱えられている私は微動だにしなかった。

ニルスもやっぱり人間じゃないのかもしれない。

あ、騎士団長も立ってる。

人間鍛えすぎると人間じゃなくなるらしい。


一人の騎士がまだヘロヘロしながらも外の様子を見に行くと驚きながら帰ってきた。


「ご報告申し上げます!

枯れた池の中に神殿が出ました!」

「僕が出すって言ったじゃんかー

ねーそれより何で池枯れてんのー」

「いえそれがその数日前に突然枯れて」

「ふーんあそこにそこそこ大きな魔力石置いてたんだけど」

「魔力石?誰か報告あった者はいるか?」


全員首を横に振る。

その様子を見ていたオーズが顎に手を当て何やら考え始めた。

騎士達の手を借りて立ち上がっていた父達にまた質問する。


「ねぇ他に変わったことは?

山がいきなり割れたーとか池が枯れたーとか」

「いえ、他は特に。

強いてあげるなら緩やかにダンジョンの勢いがなくなってるということくらいしか」

「あ、それはダンジョンの寿命だから大丈夫。

人が作ったものだからね、仕方ないよ。

まぁ、楽しかったし僕が作ってもいいよー

自然が勝手に作るのも面白いけど、もうちょっと段階上げて再構築もできるけど、どうするー?」

「それはいかようにもできるのですか?」


お金絡みとなるとアスターおじ様の目が輝き出した。

我が国の金庫番、財務大臣なので仕方ない。


「例えば?」

「ある場所に行くと宝箱が出て財宝が出るとか。

その位置を不規則にかえたりとかできますか?」

「できるけど、それ楽しいの」

「宝探しは誰も大好きです。

それで有名になればダンジョンで訪れる者が増え、街が潤います」

「ふーん、そんなものなんだねー

いいよー適当にそれっぽい箱準備してよ。

適当に魔石とか放り込んどけばいいんでしょー」

「ありがとうございます。

もしよければ、他のものにも案を募ってもいいですか?」

「いいよー。僕もそっちの方が楽しいし。

あ、でも生き返らせる系は無理ー。

命は他の神の領分だからどうにもねー。

産んで殺すは良いんだけど、難しーねー。

喧嘩になって国無くなるのいやだしー

それ系は無しってことで」

「もちろんです。

ですが、なにぶん神の政は我々にはわかりません。

もし間違えてもご容赦願いたい」

「いいよー間違えは誰にでもあるからねー

間違いとわかってごり押ししなければ大抵許すよー」

「ははーでは失礼して、案を出し合います」

「いってらー」


最初の悲壮感は今は影も形もなく、多分私たちのことも忘れて新事業のことで頭がいっぱいなのだろう。

危うく連れていかれそうになった騎士団長は持ち前の俊敏さで避けてたけど。

悔しそうに後でと言い残してアスターおじ様は楽しそうに捕まえたネスターおじ様を連れて出ていく。


「さて、そろそろあの子に会いに行こうかなー。

ニルスはどうする?」

「俺達は離れでゆっくり「いえ、一緒に参ります」


この人に歩調を決めさせてはいけない。

隙あらば二人きりになり私を好き勝手する気だ。

ガッカリした顔をしたがダメなものはダメ。

うーそんな姉心くすぐる弟の顔してもダメです。

ふいっと目を逸らすと、小さな舌打ちが聞こえた。

確信犯だったのか恐ろしい。


「じゃあとりあえず魔法陣に乗ってー

人によっては気持ち悪くなるかもだけど一瞬だから頑張るんだよー。

はい、全員乗ったねーじゃあ、三、二、一、はい!」


一瞬で景色がかわる。

皆目をパチクリしてる中、ニルスだけがいつもののことのように平然としていた。


「せっかく描いたの、無駄にならなくてよかったー」


とオーズが喜んでいたがそれどころではない。

白の代理石で作られた部屋。

色とりどりのガラスがはめ込まれた窓は夕日で光何とも言えない景色を創り出している。

その中でも目を見張ったのが大きなクリスタルで、中に手を組み目を閉じた女の人がいた。

私はこの人の目の色を知っている。


「フィーカ?」


呼びかけても返事はない。


「あーやっぱりこの子が池枯らしたのかー。

よっこいしょ」


クリスタルの近くにあった大きな人の頭ほどの大きな青色の石をオーズが隅にやる。


「これ魔石ー大きいでしょー綺麗だからこれから水出して楽しんでたら池になちゃってさーそのままにしてたの。

この子とそうやって遊んだの覚えてたんだねー

魔力足らなくなちゃって使ったんだろうね。

魔力石すっからかんになってる」


オーズがクリスタルの近くに行き、手を伸ばす。

クリスタルの中に手が入りフィーカを引き摺り出した。

横抱きにし、こちらにくる。

フィーカは動かない。

つい最近まで会話してたのに、どうして?


「この子、分身を出すのが得意でよくイタズラしてたんだよ。

寝るのに飽きちゃってメイドやってたのかなー?」


フィーカ。

自然と涙が溢れる。

200年どれほど寂しかったのだろうか。

独りぼっちで神の帰りをどんな気持ちで待っていたのだろう。


「まぁーもうすぐ日が暮れるけど、寝すぎだし起こすか」


ん?

ちょっと待って涙が引っ込んだ。

生死の領分は他の神のと言われてなかったっけ?


「あのフィーカは寿命で死んだのでは」

「いや、魔力切れで寝てるだけ。

おおかた、大規模なイタズラに魔力使ったんだよ。

あああー魔力石もったいないなー」


たしかにフィーカはイタズラ好きで魔法で人を驚かせていたけど…この神にしてこの使徒なんだなと納得してしまう。


オーズは何気ない仕草でフィーカに口づけをした。

それを見たニルスがキスをしてこようとしたので全力で阻止する。


「何故だ…」


何故もないもない。

そんな絶望しないでほしい。

性懲りも無くまたしてくるので、あしらい耳元で囁く。


「口づけの後の顔をあなた以外に見られたくありません。

ゆっくり離れでね、私のニルス」


表情はさして変わらないがパーっとあかるくなった。

うん、だんだん竜の先祖返りの者の扱いがわかってきたぞ。

要は飴と鞭、犬の躾に似ている。

そう思うとニルスが尻尾をブンブン振る犬に見えなくもない。

ンン、我ながら失礼なことを考えてしまった。

忘れよう。


「フィーカ、起きて」


オーズの呼びかけにフィーカが目を開け、オーズに飛びついた。


「おかえりなさいませ我が神様」

「はいはいただいまー。

起きて早速だけど、おー様に神の代理云々の話できる?

できれば何年も眠ってお迎えとかなしな方向でー」

「そんなーフィーカは神様の帰りをいつまででも待ちたいのです」

「でも、それで世代交代したら意味なくない?」

「確かにそうですね!

じゃあいかにフィーカが神様を待つ手伝いができるか王様に頼んでみます」

「もうなんでもいいやー、じゃあ後はおー様よろしく。

ほらーみんな帰るよー。

帰ってワイン呑むよー」


オーズは魔法で魔法陣を描くと行きと同様に私たちを魔法陣に集めたかと思うと、一瞬で城についた。

……一週間もかからないどころか一瞬で終わったのだけど!?

ニルスを見ると目を逸らされた。


「あの一週間いりませんでいたね」

「うん?一週間はそっちの準備いるって言ったから待ってただけだよ?

僕最初に言ったよー、一瞬だよって」

「確かにそうですわね」


そうだ。そうなのだが。

なんだろこのモヤモヤは、結果的に見れば救われたのだが、何とも言葉にしがたいこの気持ち。


「お姫様、僕は自分が人間とは違うって知ってるよ。

人間にとって優しいことなのか酷いことなのか、僕には関係ない。

君はニルスに選ばれたことを感謝した方がいい。

じゃないと僕もここまで干渉しなかったかもしれない

それに竜は幸運を運ぶっていうしね。

さて、おー様、美味しいワイン呑みいこー」


オーズはにっこり笑い父達とともに出ていった。

干渉はしただろう。

でもそれはフィーカのためで私のためではない。

クリスタルの中にいたフィーカを思い出しブルリと震える。


「リズ、可愛い俺の太陽。

冷えたのか?速く離れに行って温まろう」


こんな時も的外れで己の欲に忠実なニルスを見て、呆れて笑いが漏れる。

確かに幸運を運んできた。

もうそれでいいじゃないか。

この人といれる以上の幸福をわざわざ今探す必要はないのだから。

誰もいないので、ニルスにそっとキスを送る。

ニルスは固まってこれでもかというくらい顔を赤くした。

ちなみにフィーカはずっとオーズが姫抱っこしてる

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。