途中経過も報告はして
「結婚式が三ヶ月後に決まりました」
朝一嬉しそうにゲルハルトが報告してきた。
?
意味がわからない。
よくもあの絶望な状態から這い上がれただけでもすごいのに、どうやってそこまでいったんだ。
もしや洗脳系の魔法で!?
「洗脳ではありません」
どうやら顔に出ていたらしい。
うん、あのカフェでの長い話ももはや洗脳の域だったが、魔法は使ってないらしい。
「ちゃんとルイーズ嬢の同意はとったのだろうな」
「もちろんです。
私をなんだと思っているのですか」
そう言うことやりそうなやつだと思ってる。
言葉にしなくても伝わったみたいで誤魔化すように咳払いした。
「でも結婚式をすると言うことは、逃げられないように籍は入れたんだろう」
「当たり前です」
そう言い切ると言うのはやはり、後ろめたいことしてるだろ。
現に相手の親など寝耳に水だろう。
護衛として送り出したのに半月も経たずに結婚したなど私なら相手をぶん殴っている。
…そうかこいつぶん殴られる可能性もあるのか。
嫌味が多いし小言も多いが優秀なやつだ。
惜しい奴を亡くした。
胸に手を当て黙祷をする。
「勝手に殺さないでください。
まだ生きてます。
そうですまだ生きてるんです。
自分でもやってしまったと思ってますよ。
でも殿下貴方が同じ立場ならどうですか?
どこからか横槍が入ってもおかしくない。
愛しい人は自分に興味がない。
そんなときちょっとの好機を逃せますか?
私なら無理です。
指一本でも通るなら無理矢理にでも押し通しますよ」
おおーと思わず拍手するが、疑惑が出てきたので再度確認する。
「洗脳して同意をとったわけではないのだな?」
「大丈夫です殿下、私も自分を疑い確認しましたが、女神は正気でした」
自分でも疑うくらいの奇跡が起きたらしい。
ゲルハルトは一緒分の幸運をつかったのではないだろうか。
いや今から幸運が続いていくと信じたい。
じゃないと巻き込まれて私までも不運になってしまう。
「まぁ浮かれる気持ちはわかるが、そこは置いといて。
今回は私から国のことで提案がある。
意見が聞きたい。
果物を使い事業をしたい」
「果物ですか、生は足が早いので加工でしょうか」
さすがゲルハルト理解が速い。
「そうだな、ジャムや焼き菓子に混ぜるなどして保存期間を延ばすのも手だな。
あとは酒にしたりシロップにしたり、食べれない規格外のものは香料などにし香水や従来の化粧品に混ぜてもいい。
ただこれを輸出するには知名度もなければ、実績もない。
そこでだ、これら全て体験できる観光地をつくってはどうかと思ってな」
「他国の方から来ていただければ輸出経費が一気に削れます。
ただどこもやりたがらないでしょうね」
問題はそこだ。
うちは保守的すぎる。
守りに関しては申し分ないが、それで衰退しては意味がない。
守りすぎて自滅、笑えない話である。
ゲルハルトは一つため息をつき頷く。
「わかりました、リリーフロスト家が先駆者として立ちましょう。
一応全貴族に声かけをし、乗ってきたところを主に、なければ我が領が軸に話を進めます。
まぁ、五割は拒否、三割が見守ってから、一割は元手がなく、残り一割が乗ってくるかどうかですね。
若いのは乗りそうですが、馬鹿はいりませんよ」
それはそうだ。わざわざ初めから負債案件を抱える余裕はない。
「我が領は果物は安定して取れますし、温泉も沸いてます。
完成すれば王都からも近いので社交シーズン後の貴族やや他国の客人を招くところからですね」
やはりゲルハルトにまず相談して良かった。
うんうんと頷いて気分が高揚していたところ、ゲルハルトが低い声で私を呼んだ。
「殿下、話は変わりますがエリシア様とどうなりたいんですか」
「どおって、結婚してよい夫婦となり共に国を背をっていきたいと考えているが」
「ですが殿下アプローチが壊滅的では?」
お前に言われたくないのだが。
私も長々と自己紹介から始まり結婚したらどう利益があるか説明したらいいのか?
それよりも、シアンのいいところを並べて褒めるのはどうだろう。
「何となく考えていることはわかりますよ殿下。
そうではなく、身体接触を減らした方がよろしいのでは?」
「何を言ってるゲルハルト。私に死ねと言っているのか?
今までもほとんど触っていないぞ。
これ以上となると、呼吸をとめないとならない」
「意味がわかりません殿下」
呆れられたが、呆れるのはこちらだ。
身体接触といってもハグもしていない手もつなげない。
あとは私が吐いた空気が彼女に当たってるくらいしか考えられない。
あ、ちょっと待て。
私が吐いた空気が彼女の全身に当たるって何か卑猥ではないか。
「…お考えになられていることは存じ上げたくございませんが、殿下はご自身がお考えになられている以上に触っておられます」
「?」
「殿下、目がものをいうとは申しますが、この際言います。
殿下の視線はエロ親父と同じです。
視線が触ってます。
いくら思い合っていってもどうなんだろうって考えてしまうくらい、気持ち悪いです」
「不敬だぞゲルハルト」
「いや冗談ではなく、最近酷いです。
侍女に聞いてみてください。十中八九目を逸らされますから」
「私そんなにか?」
「そんなにです。
最初は好意でしたが今は下心見え見えです」
そんなダダ漏れなのか。
どうにかしないとこれではただの権力で物言わすエロ親父だ。
どうにか、どうにかしないと。
「…どうにもならなくないか?
好きなのは間違いじゃないし、可愛い触りたいってなるだろう。
ゲルハルトだって無理だろう。
なんだおまえ、結婚しても一切触れずにこれからすごすのか?
自分の妻を触らずに、見ずに、会話だけで満足か?」
「そんなの耐えられません!」
想像しただけで膝から崩れていった。
ショックを受け過ぎだろう。
いや人のこと言えないな。
「なぁむしろ今までの禁止事項といて好きにさせてくれないか。
禁止するから余計に触りたくなるのだが。
膝に乗せて自分の手元にあると思えたら落ち着くと思う」
「その考えものすごくわかりますが、お相手が納得されますかね」
まだショックを受けたままのゲルハルトがふふふと不吉な笑い方をした。
とまぁ執務室での一件を踏まえて、できるだけ視線をシアンに向けないようにお茶会を今している。
楽しい。
楽しいのだが、我慢がつらい。
「アレックス様、どうかされました?」
シアンの悲しそうな顔を見ていたら込み上げてくるものがあった。
一生この距離でこの禁止事項を守らなければいけないのだろいか。
やってられるか。
自分の席を立ち、シアンを抱えて立たせ、自分がかわりに座り、その上にシアンを座らせる。
太ももにいい感じに重さがあって落ち着く。
「お兄様!?」
「私の子リスちゃん、これ美味しいよお食べ」
文句が出ないように、半ば強制的に小さなお口に入れる。
モグモグして可愛い。
「お兄様これは」
「我が国ではこの距離がだいたい普通だよ」
「嘘でございます。そんな方々見たことございません」
嘘じゃない。
その証拠に家庭持ちの面々が目を逸らす。
「まぁ二人っきりでやる物だけど。
私達は基本二人きりなどないだろう。
もういいかなって思ったんだ」
「本当はどうなんですかリリーフロスト卿」
怒ってるシアンも可愛いなぁ。
頭を撫でながら、口元に菓子を運ぶ。
ゲルハルトは悩んでるな。
本当のことだが、相手を怒らせては今後に影響がなど考えているのだろう。
やめとけ、私の味方した方がおまえも奥方丸め込めるぞ。
というのが伝わったらしい。
意を決していいえ本当ですと答えてた。
ふむいいぞ。このまま一緒に丸め込もう。
「我が国では竜の子孫が多いのはご存知かと。
竜の血は先祖返りとまでいかなくとも、むしろ薄くても、こだわりが強く出ます。
なので、濃くても薄くても血の影響が出てしまいますとよく言えば一途。悪くいえば執着。
どうも好きな相手を自分の手の届く範囲から出したくないと言いますか」
遠回しの言い方するな。
「つまりお互いひっついていないと安心できないんだ。
特に新婚など蜜月とと言って1ヶ月ほど家に篭りお互いの存在だけを感じて過ごすんだ。
邪魔するものは殺されるから子どもですら中には入らないよ。
それが過ぎれば落ち着いて距離が近いだけになるんだが」
「そんな話習っておりません」
「それはそうだろう。他国にわざわざ弱みは見せないよ」
王様今奥さんといちゃついてるからいませんなんて言えるわけがない。
「私は血が薄いのと常に誰かいる環境に慣れているから誰が入ってきても殺しまではしないけど、怪我はさせるだろうね。
ゲルハルトみたいに血が濃いやつは本当にやると思うよ」
「ええもちろんです。
まぁそんな野暮がいればの話ですが」
ゲルハルトが笑うと周りの護衛も従者も笑い出す。
男の方が血が濃く出やすいからな。
竜の血ジョークなのだが、シアンにはウケなかったようだ。
「あはは、信じてないな。
母上にでも聞いてみたらいい。
それかマーサ侍女長でも呼ぶかい?」
「……あとでにします」
「可愛い私のシアン。
そんな気にすることはない。
これが普通だし、私はまだ血が薄いので良かったな。
一途なだけだ。拘束はもうあげたし、王族だから監禁はできないからね」
安心させるために笑顔でいたのだが、震え出してしまった。
?どこがいけなかったのだろう。
「殿下、それは言ってはいけないと言ったではありませんか」
「そうだったか?
安心してもらいたくてだな」
「エリシア様どうか安心してください。
同意なくの監禁は犯罪ですから」
「!同意のがあるのでございますか!?」
「ありますよ」
ゲルハルトはキョトンとしているが、シアンを怖がらせるのには充分だった。
あいつたまにやらかすからな。
何故いまなのか、ルイーズ嬢との関係に影響がないといいな。
「シアン大丈夫だ。
私は君がのびのび暮らせるように尽力する。
触られるのが嫌だというなら我慢する。
怖いというなら二人きりにはならない
だから怖がらないでくれ」
「アレックス様ありがとうございます。
触られるのが嫌だとは思っておりません。
ただ恥ずかしくて」
「シアン!!」
真っ赤になってるシアンが可愛くて抱きしめる。
その際、後ろにいたルイーズ嬢が真っ青な顔で立っていたが気づかないことにした。
国が違えば文化が違う。
仕方ないよルイーズ嬢、受け入れてくれ。
ヤンデレになりやすい国
意外と女性の方がカラッとしている国民性




