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お兄様、過保護過ぎるのでは?  作者: 蜂蜜
未来の宰相は恋をした

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26/48

作戦は計画通り

「殿下」


呼ばれて振り向くと相変わらず眉間に皺を寄せたゲルハルトがいた。


「そう睨むなゲルハルト。分かっている」


前を向き直し、息を吐くついでに小さなため息をもらす。

それすらもバレているらしく大きな咳払いが後ろでしたが今度は振り返らず無視した。


我が国、グレーリーナ国は衰退と繁栄の女神トフェネ神が治める海と山に囲まれた国の一つである。

この国の特徴をあげるとすると、中途半端だろうか。

小国と言うには人国も土地も少ないわけではなく、かと言って大国と言うには経済力や軍事力がやや心許ない。

大国には及ばないが小国よりは発言力がある。他国の人がなんだかなぁと言いたくなる……ついに言われてしまった国である。


そんな微妙な位置にいた我が国であるが、残念なことに緩やかに落ち目なのが先日の会議にて発覚した。

正確に言えば、先日の会議にて認めたと言った方が良いだろう。

何年、何十年と皆が見て見ぬふりをしていたのだが、後ろで眉間に皺を寄せた男ゲルハルトにより現実を突き付けられた。

それはもう事細かで隙の無い三十年分の資料。

紙の山に埋もれ、愚痴を言うどころか口を開けることですら睨まれる始末。

こうしてやっと先送りにしていた我が国の一番の問題を皆が認識したのである。


認識したは良いが良い案が浮かぶ筈もなくグダグダと理屈と屁理屈が混沌とした会議が終わるかに見えた。


そこはゲルハルト。

しっかりと案を出して来た。

むしろこの案のために三十年分の資料を作ったに違いないのだ。

とはいえその案が良いものかと言うと、率直に言おう。私は物凄く実行して欲しくない。


「なぁゲルハルト。今からでも変更できるのではないか?」

「殿下まさか貴方がクルック志願者だったとは」

「そのクルック志願者とはなんだ」

「殿下ともあろうものが流行りについていけてないとは。

いえいえ最近業務が忙しかったせいですよね。

失礼、クルックとはクルック神という新たな神を作り上げ祀りている組織の名前ですね。

そして志願者とはクルック神の周りを裸で踊り狂いながら自慰をし最後に自ら海に身を投げるもののことです」


むしろどうしておまえが事細かに知っているのか教えてほしい。

あいかわずネチネチとその後も言われたが全てまるっと無視する。


そろそろ到着されるので外に出て馬車を待つ。

あー見えてきてしまった。

馬車が我が地獄の始まりを連れてきた。

あー目の前に来てしまった。

ドアが開いてしまったのでエスコートしようと手を出したら、横から押される。


「我が女神!!

あぁ、あなたのことを考えない日はありませんでした。

ようやくようやくです。

お顔をお見せください。それだけで私は感無量なのです。

ですが許されるならこの手をとっていただきたい」


これ本当にゲルハルトか?

影武者だと言われた方が信じる。

としみじみしていたが、私の婚約者横取りしてないかこれ。

いや、ありがたいのだが国際問題にならないか?

ほんとに嬉しいのだが大丈夫か?


とりあえずお相手の反応が気になったのでそちらを向くと、護衛の女騎士が困った顔をしていた。


「申し訳ないが職務中だ」

「あぁお声をかけてくださりありがとうございます。

そうですよね、職務を全うせんとするお姿。

そんなあなたも凛々しくて素敵です」


……誰だこれ。

クネクネするな。


女騎士も困っているが私も困っている。

いやここにいる全員困ってる。

とりあえず降りれないだろうから、ゲルハルトを無理矢理さがらせる。


困ったままの女騎士がおり、本命が顔を覗かせた。

レースを被った女性の手をとる。


「遠いところをありがとう。

ゲルハルトがすまないな」

「いえ、出迎えありがとうございます。

久しぶりにルイーズの驚いた顔を見ました」


城への歩みが止まる。

馬車から降りてこられた時からあれこんなに小さかったっけと思っていたが、声が違う。

喋り方も違う。

私が聞いていた人物ではない。

急いでゲルハルトを探すが、女騎士に夢中で目も合わせてくれない。

どうする?

何が何でこうなった?


「ふふ、驚かれたでしょ。

イタズラ大成功です」

「えっとその」

「ああ!レースで見えませんものね。

私、エリシアですわ、アレックスお兄様」

「シアンか!大きくなって」


彼女を持ち上げて一回転する。


「ふふもう。私子供じゃありませんことよ」


久しぶりの再会に喜んでいるのも束の間、疑問が残る。


「お兄様、とりあえず歩きながらお話ししましょう。

私疲れてしまって」

「ああそうだな」


長旅で疲れただろう。

シアンを横抱きにして、進む。


「お兄様?!何を?」

「疲れただろう。運ぶよ。

昔を思い出すな、シアンは疲れるといつも抱っこをせがんできた」

「そんな幼い頃の話をされても困ります。

自分の足で歩けますから」


自分の足で?

シアンの足を見てる。

私の拳ぐらいしかなのではないか?

こんな小さな足では一生だどりつけるはずがない。


「ダメだ、無理をしては足が駄目になる。

こんなに小さいのに、歩けるわけがない。転けてしまう」

「歩けますわ。それに小さくありません。一般的なサイズです。

もう、お兄様過保護は治りませんわね」

「私が過保護なのではない、おまえが危なっかしいんだ」

「もお」


そっぽを向いて拗ねるシアンは相変わらず可愛い。


言い合っているうちにシアンの部屋に到着する。

カウチにおろし、シアンの足元に自分も座る。

お相手が違うなら部屋も一から変えた方がいいな。


「すぐに君好みに変えるよ。

どんなのがいい?」

「このままでも素敵ですわ。

っとお兄様何をなさって」

「ん?靴を脱がせてる」


慌てて止められるがやめない。

ああやっぱり革靴でそれて靴擦れがおこって痛々しい。

長時間座っていたからだろうむくみもある。

これでは歩くのもしんどいだろうに。

とりあえずふくらはぎをマッサージする。


「お兄様!アレックス様!これでも淑女の足ですわ。

みだりに触れないでいただきたい!」

「?でも君は私の婚約者なのだろう。

まだとはいえいずれ結婚する。

今か後かの違いだ。

そんな君を労ってなにが悪い?」

「屁理屈ですわお兄様」


泣き出しそうな雰囲気がしたので止める。


「じゃあ君もそのお兄様をやめてくれるか」

「お兄様はお兄様ですし」

「血のつながりはない。

幼少期、留学した時に一緒に過ごしただけだ。

慕ってくれるのはありがたいが、私は君を妹とは見ていない」

「それは…」

「兄は妹と結婚しない。

欲情もしない。意味はわかるね」


足をとりつま先にキスする。


「ひっ、おやめください!

わかりましたから!今日はもう出ていって!」


ゲルハルトと共に追い出されてしまった。

横で不機嫌なゲルハルトからまたネチネチと不満を浴びさられる。


「あれはやりすぎです殿下。

淑女の足をあろうものか触るなど、手が速すぎます。

よく切られませんでしたね」

「別にいいだろうに。

それよりもゲルハルト。

何故相手が違うことを先に言わない。

そしたらもっと部屋もシアン好みにできたのに」


ゲルハルトがら大きなため息が出る。


「そこですよ殿下。

いくらエリザベス様が寛大だからと言って、こんなに歓迎の差をつけられては良い気持ちはしません。

何のための国を挙げての結婚ですか。

両国間の仲をさくおつもりですか」

「悪かった、悪かった。

そう怒るな、つい喜んでしまったのだ。

手に入らないと諦めていた宝を思わず手に入れたんだ。

許せ」

「何言ってるんですか。

そんなわけないです。

計算して結婚を組んだに決まってるでしょ。

エリシア様の側には幼い頃より私の女神がいらっしゃった。

私の女神に感謝していただきたい、じゃなきゃ相手が代わっていたかもですね」


ふふふと悪役顔負けの悪い顔を見せてきた。

まさかおまえ、政略結婚まで利用したのか!?


これは怒ればいいのか、呆れればいいのか。

その一途に心の中で拍手を送る。


さすがは竜の子孫。

先祖返りでもないのにこの執着。

末恐ろしい。


「とりあえず殿下嫌われないでくださいよ!

エリシア様が国に帰られては私の女神も帰ってしまうんですからね。

そうなれば私も女神についていきますから」


嫁と優秀な部下と同時に失うのは痛い。

気合いを入れ直して、明日に挑むことにする。


パパママ回

ロベルトとパパは似てるけど、ロベルトは両思い

パパは若干ストーカーチックだよね

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