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お兄様、過保護過ぎるのでは?  作者: 蜂蜜
君のために神をも殺す

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私の小さい体

私はいくつになっても小さい。

だいたい今は10歳前後の姿で止まっている。

正確には止まってはいない。

緩やかすぎる変化に周りと差ができているだけ。


私は精霊の先祖返りだから。


精霊も神も目に見える存在で、酔狂な精霊や神が人間と交わった結果私達である。

精霊の先祖返りは人間とは思えない容姿に出る方と私のように魔力に出る方。

だいたい二通りだ。

稀に両方出る方がいるが、先祖返りなど可愛いものではない。

血が濃過ぎて、もう精霊か神の領域だ。


私も姿がかわらないので両方に出ているように見られるが、膨大な魔力による副産物なので容姿はあまり関係ない。

私も綺麗な容姿の方が良かったなぁ。

ないものねだりをしながらもう一度鏡を見る。

何度見ても子どもだ。

ため息が漏れる。


今日アドニス様、私の婚約者がいらっしゃる。

一等お気に入りのドレスをきて鏡の前で一回転する。

はしゃぐ子どもがいただけでかわりない。

そろそろアドニス様に飽きられてしまう。

首を横に振る。

アドニス様は約束を守られる方だ。

大丈夫と鏡の中の自分に言い聞かせる。


でも約束が果たされたら?

その先はどうなるのだろう。


彼の妹のように美しいわけでも

彼の妹のように賢いわけでも

彼の妹のように愛嬌があるわけでもない


彼は私を妹だと言った。

それがずっと変わらないのであれば、私の恋心はどこにいけば良いのだろう。

あの日あなたの目を見た時からずっと育っているこの心を。


あなたは困ったように笑うのでしょうね。

妹みたいなものだって。

傷つけないように選んだ言葉が、私をより傷つける。


いっそ出会わなければ良かったなんて馬鹿みたいなこと考える。

もうどうしようもないのだ。


子供の私と恋をしてくれる酔狂な人などいない。

アメジスト色の瞳から涙が溢れそうになるが、頬を叩いて気持ちを入れ替える。


何をクヨクヨしているのか。

起こったことの後悔も起こっていないことの反省も今はいらない。

私は私だ。

アドニス様は約束を守られる。

それまでにできることをやれば良い。

心の隙は必ずある。

そこに私をねじ込み広げていけば良い。

大丈夫、その辺の令嬢より長い付き合いだ。

なんだかんだでアドニス様は甘いので絆されてくれる。

頑張るぞー



といきこんだのはいいが、馬車から降りてこられたアドニス様の姿を見て愕然とする。


「こんなにお痩せになってどうされたのですか?

まさかご病気じゃ」

「違う違う、この前神になったんだ僕」


そのままいえ〜いって聞こえてきそうな軽さだった。


「それはまた、急ですね。

大変でしたでしょう」


父の言葉にも呆けてしまった。

神になるのに急も遅いもあるのだろうか

大変なのも大変だと思うけど、未知すぎる。

人が神になるとは?意味がわからない。


「まぁその辺また置いといてください。

久しぶりだねミネルバ嬢。

どうしたの?ボーとして」

「いえ、大丈夫だと思います。

遠路はるばるお越しくださりありがとうございます。

どうぞ中でごゆるりと」

「んーその前にミネルバ話したいことがあるんだ。

二人っきりで話がしたいのだけどエクリプス伯爵いいですか?」

「ああもちろん、君に用意した部屋をそのまま使うといい」

「ありがとうございます」



何を言われるのか、婚約解消か。

いつもするおしゃべりなどできず黙ったまま部屋を案内する。

庭がよく見える部屋の、日当たりのいいところにテーブルを挟み座る。

お菓子やお茶の用意をすると皆心得ているのですぐにいなくなった。


「そんな顔しないでよ。

やっぱりこの目嫌だよねー色がさ濃くなるなんてあんまりだよ」

「いえ、目もお綺麗で好きですよ」

「ありがとう、じゃあどうしたの?」

「…お話しとは婚約解消の件でしょうか?」

「違うよ!?こっちがびっくりした。

僕がするはずないじゃん、するならミネルバ嬢からだよ。

それより君を本来の歳の体に成長させる魔術式ができたんだ。

どうする一応実験は成功したから安全は保障するよ」


アドニス様の言葉に次々と驚かされどう反応したらいいかわからない。


私が解消と言わなければ続く、これはもう結婚したと言っても過言ではないのはず。

と考えていたところに私成長できる?

大人になれると言うことは結婚なのでは?


「つまり私は結婚したと言うことですね」

「全然違うよ。うん何でそうなったかは聞かないけど、了承ってことでいいかな?」


結婚は早かったか。

そうですよね、まだ式もプロポーズもされてませんし。

楽しみ過ぎて、はい!っと淑女らしからぬ元気な返事をしてしまった。


それからアドニス様は父と母、兄夫婦を交えて詳しい説明をしてくださった。

両親も兄夫婦も泣いて喜んでくれた。


術式を発動する日。

私は自分の部屋のベッドに寝かされていた。

術よりもアドニス様が私の部屋にいることの方が緊張する。

何も変な物はなかったはず。

ああネグリジェも変じゃないよね。


事前説明で術者も術を受ける者も深い眠りに落ちるとあった。

そのため寝苦しくないように両者ナイトウェアだ。


「大丈夫?緊張しないで、痛くないと思うけど何かあったらすぐ言ってね」


耳に心地いい声で言われ、なんか夫婦の夜みたいで余計に緊張してきた。

アドニス様は今度はみんなに向けて注意を促す。


「ああそうそう、ミネルバ嬢の方が目覚めるの早いと思うけど、僕のことは気にしないで。

数日遅れで目を覚ますから危険はないよ。

むしろ、寝てる時も術式を出してるから安易に近寄らないでね。

乱れるとそっちが危ない」


皆慎重に頷く。


寝たまま術を施され、アドニス様の心地よい声の詠唱を子守唄にうつらうつらする。





突然の激痛で目を開ける。


「痛いです!」


掠れた自分の声が耳に届く。

さっきまでいた人たちが誰もいなくて、侍女が悲鳴をあげて誰かを呼びに行った。

悲鳴は失礼だろう。

喉の渇きを感じ、とりあえず起きあがろうとした。

痛みは治りつつあったがまだ痛い。

それよりも身体に違和感があった。

なんか重い。

頑張って上半身だけ起き、枕にもたれる。

なんか全体的に長くないか?

ゆっくり下を確認する。

!!ある!

胸に二つの山がある。

夢に見た巨乳とまではいかないがなかなかの大きさのものがあり。

思わず手に拳を突き上げた。


「大丈夫か?!」

バタバタと入ってきた家族にその姿を見られたが笑って誤魔化す。

とりあえず母と義姉様に入ってもらい、健康的だと証人になってもらった。

サイズがなかったので義姉様のドレスを借りて、医者に診てもらい再度お墨付きをもらう。


私は思わず泣いた。

嬉し涙だから今日くらい淑女がどうのと厳しいことを言わなかった。

むしろ家族も侍女も護衛騎士まで家のもの総出で泣いている。

愛されてるなーと実感しさらに泣いた。


一通り泣いて疲れた頃、アドニス様に会いたくなった。

でも彼には会えない。

様子だけでもと父に聞けば、私たちもわからないと言われた。


何と私は一週間も目が覚めなかったらしい。

どう言う状況下わからないし、アドニス様には入ると術が乱れると言われた手前部屋に入って聴くわけにもいかない状態だったらしい。

見守るしかないのはさぞや不安だったのだろう。


また涙が溢れそうになったが、母と義姉が良しとしなかった。

店が閉まるまでには時間ある。

ドレスを作ろうと言い出したのだ。

通常は店側が来てくれるが今はデビュタント前で一番忙しい。

こちらから出向くことで時間を効率よく使うとのことだった。

今更受けてくれるのかと言う疑問はあっさり解決した。

馴染みの店は開店前から目をかけていたが母で、流行らせ国一と言わせたのは義姉の手腕らしい。

それこそ私が産まれた時にデビュタントドレスを作るよう依頼していたとのこと。

店側も何より最優先にすると約束してくれた。

ただその約束も私の身体があんなだったのでどうしたものかとヤキモキしていた中で、今である。

今年を逃せばないと言う勢いで、術がかかって私が眠りこけている間に色々と相談して大まかなことは決めていたらしい。


ありがたいやら何やら急すぎてついていけなかったが、ありがとうございますとお礼を伝えた。




そんなこんなであっちへ行ったりこっちへ行ったり、買うわ買うわ一生分の買い物をしているようだった。

やはり女の子と女性ではいるものが全然違う。

私が大人のおしゃれの話を出したら傷つくのではと、話題に出さなかっただけで二人はおしゃれ大好きだったようだ。

流行も何も素人なのでお任せする。

二人の着せ替え人形となり、へとへとになりながら帰宅することが数日続いた。


アドニス様がいる部屋はまだ閉ざされている。


夜、改めて鏡の自分を見た。

手足が伸びて凹凸のある大人の女性がそこにいる。

目は変わらずアメジスト色で、腰まで届くプラチナブロンドが夜風に揺れる。


アドニス様はどう思うだろうか。

これで一人の女性と見てくれるだろうか。

不安になる心を頭を振って切り替える。


アドニス様は自分から解消はしないとおっしゃった。

大丈夫だ。あとは絆されてくれるように仕込むだけ。

頑張るのよミネルバ。あなたには立派なおっぱいがあるのだから大丈夫。

とりあえずアドニス様も男だ。おっぱい押し付けとけば半分くらいは何とかなるだろう。

エイエイオー!



とまたしても意気込んだが、二日ほど経ってもアドニス様は出てこられなかった。

かれこれ私が目を覚まして一週間になる。

怖くなり、ドアに耳を押し当て聞き耳をたてた。

微かに呻き声が聞こえた時には気づいたら中に入っていた。

アドニス様の側による。

熱にうなされているのか、苦しそうな顔をされ汗が額から滴り落ちる。

何で言ってくれなかったのか、聞かなくてもわかる。

自分をアドニス様は大切にしない。

涙が溢れる。


「ごめんね、結局泣かせちゃったね」

「あなたは悪くありません。私が勝手に泣いてるだけです。

アドニス様苦しいですよね。

何かできることはありますか?」

「じゃあ少し魔力くれるかな。ちょっと足んなくてねー。

大口叩いたくせにカッコ悪いなー」

「格好悪くないです。魔力ならいくらでも」


手を取り、ゆっくり魔力を流す。

詠唱は丁寧に丁寧。


「ありがとう、言い遅れたけど綺麗だね」


へらりと気の抜けた笑顔にに危うく魔力を暴走させるとこだった。

相変わらず心臓に悪い方だ。


ミネルバは否定してるけど精霊の先祖返りではなく精霊

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