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お兄様、過保護過ぎるのでは?  作者: 蜂蜜
星が掴めそうだったのに

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ただの女の戯言

本国に向かう護送車の中で、男女が向かい合いながら座っている。

罪を犯したにしては、豪華なつくりの馬車は、男たちの身分の高さがうかがえる。


ウィリアムはフィロの顔を見ながらニコニコとしていた。

視線を感じ無視をしていたがいい加減鬱陶しい。

まさかずっとこうなのかと思うと、ため息が出る。


「失敗しちゃったねフィロ」


何を思ったのか話しかけてきた。

面倒なので無視をする。


「フィロ目を開けて寝てるの?」


無視


「ねー話ししようよー。退屈だよ。あ、失敗しちゃったのが恥ずかしいの?

大丈夫だよー君は変わらず綺麗だよ」

「恥ずかしいで済む話ではない!

お前話などにのるのではなかった。

妾の神の力がなくなったのだぞ

こんな吹けば飛ぶような力など死んだ方がマシだ」

「えー結構魔力あると思うけどなぁー。

それよりもさー僕と一緒に旅に出よう。

失恋には旅行だよねー」

「妾が失恋?」

「うん、アドニスに振られちゃたじゃん」


振られたのか?妾がか?


「え?気づいてなかったの?

振られたんだよフィロ。悲しいね」


悲しいという感情は久しくぶりで頭が追いつかない。

ここ数日いつも使わない“感情”を使ったせいだろう。

目から何かが溢れる。


「泣かないでフィロ」

「妾は泣いているのか?」


向かいに座っていたウィリアムが断りもなく横に座り、妾を抱きしめた。


「あんな奴のどこがよかったの」

「……瞳が同じだったから妾の気持ちがわかると思おておった。

あやつは妾と違う。

家族がいて恋人もおる。決して一人ではない。

一人はいつも妾ばかりじゃ」

「僕がいるよフィロ。

フィロはもう一人じゃない置いて行ったりしないよ」


そうか妾はこの言葉をずっと欲していたのか。

只人となりて、初めて安堵の声が出る。


孤独になれたと思っておったが、慣れてなどおらずその感情に蓋をしただけだったのだな。

ウィリアムを抱きしめ返すとウィリアムの抱きしめる力が強くなった。


「フィロやっぱり二人でどこか旅行に行こう。

自国でもいいし他国でもいいし。

神殿に篭りっぱなしがよくないんだよ。

何百年引きこもっているのさ」

「好きで引きこもっているわけではないわ。

務めをはたしておるのじゃ」

「でも神様じゃなくなったじゃん」

「それは…」


そうだ。妾は神でなく只人になった。

揺るがない事実が体を重くする。

ウィリアムが身体を離す。

温もりがなくなり悲しいとは違う感情が心をしめる。

妾にはまだこの感情の名前を知る術がない。


「じゃあ、これから僕だけの神様になればいいよ」

「そなただけの神?

ふっ、どれ、面白い戯れだな。

良いぞ、只人に落ちた神などに関心を向ける者などお主ぐらいじゃろう」


楽しそうに笑うウィリアムが顔を近づけ唇に唇を当ててきた。

何がしたいのかわからず呆けてしまう。


「僕だけの神様、これからは僕が色々と教えてあげる」


逃げ出せないようになっている馬車の中で、意味がわからないことをいっぱいされた。

何が僕だけの神だ。

神にこんな不埒なことをする輩はいなかった。

敬いも畏敬もあったものではない。


何度目かの休憩でやっと離れてくれた。

できる限り距離を取る。


「そんな隅っこにいないで横においでよ」

「嫌じゃ、この無礼者」

「恋人なら普通だよ。それに最後までしなかった僕偉いとおもうけどなー」


最後?普通?色々と思うことがあるがこれははっきりさせたい。


「誰と誰が恋人じゃ」

「えーーそこから。嘘でしょ。そういう雰囲気でそういう言葉だったじゃん」

「何を言うておる」

「じゃあ今から恋人。僕の婚約者。僕の奥さん。

いいでしょーフィロお願い」

「ううむ。そなたが妾をもっと丁寧に扱う事を覚えるなら考えてやらぬことはない」


ウィリアムは昔から甘えただな。

妾は何故かこやつのお願いに弱い。


それに人に落ちた身だ、ここまで求められるのはこの先なかろう。

昔馴染みに情がわくのは必然だろう。


「やったー絶対だよ。僕の神様。

丁寧に扱うから僕のになってね。嘘はいけないからね」

「うむ…」


何故か嫌な気がしてきたが、ウィリアムの圧で有耶無耶になった。



本国につき、王に面会をすると考えていた場面と違い頭を下げられた。


「フィロ様におかれましては、愚息のせいで大変なめにあわせてしまいなんとお詫びをすれば」

「もう良い、妾にも落ち度があった」

「僕のせいじゃないのにー」

「ええい黙れ、お前はこの度の事どう始末をつけるつもりだ!

グレーリーナと戦争をしたいのか?!」

「まさかー」


そう言って楽しそうにウィリアムが懐から一枚の紙を出す。


「ちゃんと念書もらってますよ。

神に何が起こっても問わない代わり、こちらの言動も不問にするって」

「それは本物であろうな」

「本物ですよ父上。

ちゃーんとアドニスとあちらの王子エドワードから貰いましたからねー」

「……ちょっと待てウィリアム。

あやつらと手を組んで妾を騙したのか?」

「欲しい女はどんな手を使っても手に入れるものだよ」

「無法者め!」

「そう怒らないでー、フィロのお願い叶えたかっただけなんだってー」


今度こそ騙されるものか。

愛だの恋だの戯言ばかり言いおって。


成り行きをわかっていない王はオロオロしながらこちらを向いている。


「フィロ、僕の奥さんになるって言ったのにー嘘はいけないんだよー」


どの口がいうか。

話が見えてきた王からウィリアムは叱りを受けていた。

当然じゃ。


ウィリアムを放って置き、自分の神殿に戻る。

この時のこの行動が悪手だと思ってもみなかった。


何故か次の日には妾とウィリアムが婚約しており、何故か国中に知れ渡っていた。

こっちの王子も気持ち悪属性

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