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お兄様、過保護過ぎるのでは?  作者: 蜂蜜
星が掴めそうだったのに

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16/48

乙女がドレス(戦闘服)を脱いだなら

パーティーの後家に戻ると安心されたのかお兄様は倒れられた。


2日経ったがまだ目を覚まされていない。

誰もが心配をし、時間があればお兄様のそばにいる。


私は時折胸の音を聴き生きていることを確認していた。

誰もそのことを咎めない。

私がやらなくても誰かがやっていただろう。

静かすぎる寝息に身動きしない寝姿、お綺麗な顔も相まって、呼吸が止まっているのではと誰もが考えてしまう。


お医者様は外傷はないがなにぶん神を診るのは初めてでと冷や汗をかきかながら診察されていた。

冗談じゃないのが怖い。

そうなのだ、兄はもう人ではないのだ。


神にもいろいろで一柱、一柱、眠られる時間が違う。

長い方だと50年以上眠られるのだ。

起きている方が短く、眠っているのが長い方もいらっしゃる。

このまま私が死ぬまで目を覚まさないのでは?

不安は振り払っても振り払っても追いかけてくる。


自分の部屋で眠れるはずもなく、お兄様の部屋のソファーでウトウトする。

みんなも同じなのか、お兄様の部屋で椅子やソファーで眠ったり、仕事したりしていた。


「アドニス様が目覚められました!」


三日目の朝、ギルバートの声で皆一斉に目が覚め、兄の側に駆け寄る。


「おにいざまーー!」


お兄様が目が合ったのが嬉しくて大泣きしてしまう。

みんないるけどもうどうでもいい。

お兄様が目を覚ましたのだ。

お兄様にダイブする。


「痛い痛いスー骨が折れる」


上からおりベッドのふちに腰かけた。

お兄様は痩せてしまったのが悪いと思う。前は簡単に受け止められたのに。


「馬鹿者、お前にしては、無茶をしたな」

「ご心配をおかけしました。

あまりにしつこかったのでついイラついてしまって。

結果的には良かったかと」

「体は大丈夫ですのお兄様?」

「ああ、問題ないよ。肉がない分前より軽いね。

ただまだ馴染んでないからもう二、三日このままかなー

そのあとは前と変わらない生活ができるはずだよ」


良かった。本当に良かった。

目覚めないかと思っていたので、変わらない生活ができると知りさらに涙が出てくる。


「母上、父上、みんな、女神と戦ってくれてありがとう。

あれのおかげで早めに神力を奪うことができた。

本当にありがとう」

「こちらこそ諦めないでくれてありがとう」


母がそういうと、珍しく一筋涙をこぼした。


「これからどうするのだ」


父の問いに、兄はいつもと変わらない笑顔を向ける。


「変わりませんよ。ぼちぼち仕事してぼちぼち生きていきます。

神の力を授かったとて僕は僕に変わり無いからね。

ただ寿命が伸びただけです」


そこが問題なのだ。

家族は兄を置いていってしまう。

誰も兄の側にいられない。

私には孤独に耐えられる気がしない。


「大丈夫だよ。ミネルバ嬢も一緒だ。彼女は精霊の先祖返りだし元から力が強い。

代替わりの僕より強いんじゃないかな。

寿命もかわらないと思うよ」

「ミネルバ様のために…ですか?」


婚約者への兄の想いはなかなか重たく深いようだ。

嬉しいような悲しいような。

私は結局兄を置いて行ってしまうのにはかわりない。


「ミネルバ嬢もだけど、僕はお前たちの方が心配なんだよね。

いまだに問題は起こすは、巻き込まれるは。

先におちおち死ねないだろう。

それに家族の死をお前たちには一人でも少なく経験してほしいんだ」


それは……さすがに……


「「「お兄様、過保護すぎるのでは?」」」


姉妹の声がぴったり揃う。

エレーナお姉様もディアナお姉様も私も、というかお兄様以外、全員呆れてる。

兄は兄だったということを再度認識した。


「えー問題起こす君たちに言われたくないなー

過保護すぎるって常時見張ってこけないように手を引いてるわけじゃないんだよ」


いやもうそれ幼児じゃないか。

問題も自分で解決できる…はずだ。


「ちょっとまってくださいお兄様。

私、恐ろしいことを聞いてもいいでしょうか?」


エレーナお姉様の真剣な顔に対し、お兄様は笑顔で軽く「いいよー」と返された。


「タプタプでジャラジャラは?」

「?」

「タプタプでジャラジャラですよ?!」

「エレーナは脂肪と魔力石のことを言っているかと」


ギルバートの解説でお兄様はああと納得され、いい笑顔される。


「ないよ」

「いやーーー!」

「あれ身体は重いし、動く時どっちも邪魔だし

何倍も魔力貯めるようになったからあれ必要無くなった」


エレーナお姉様が隣で絶叫し、崩れ落ちて泣いていようがお構いなしにお兄様は笑顔で続ける。

そうかタプタプもジャラジャラもなくなるのか。


「タプタプもジャラジャラもないお兄様なんてキラキラが倍増しただけではないですか。

返してきてください」

「なにをだい?」

「神の力なんて入りません。

お兄様なら自力で寿命くらい倍に伸ばせます。

タプタプとジャラジャラでキラキラのお兄様に戻ってください」

「やだよ、めんどくさい」


そんな服が気に入らないから着替えてこいとでもいうかのような気やすさで話てるが、そんな扱いしていいのか神力。

もっと尊くて気高く扱わなくていいのか

私にも正解がわからないけど、これは違う気がする。


「もーそこまでいうならジリーに頼みなよ」

「ギル!」

「俺はいいけど、エレーナはどうなの?

俺エレーナの後ろついていけなくなるよ。遊ぶ時一人でも大丈夫?」


さすがギルバート。

お姉様の意見を尊重しつつ自分の意思を曲げない。

エレーナお姉様をうまくコントロールしてる。


「やっぱりお兄様ー。ジャラジャラは諦めるのでタプタプだけでもー」

「えーあれ四六時中食べて飲んでしなきゃいけないんだよー

やっても疲れるだけで、もう太れないよ。

魔力入れる器がデカくなったっと言えばいいのかな、前の倍以上だし。

特に今は魔力欠乏少し前だから食べても魔力に代わるだけだよ」

「何年待てはタプタプになりますか?」

「うーん4、50年はかかるね」

「まてませんー」


兄が倒れた時より絶望しているのは気のせいであってほしい。

タプタプなくなるのは残念だけど、兄が元気ならもうなんでもいいや。


「あらあら、エレーナったら。

お兄様も困ってらっしゃるわよ。

ほどほどにね」


ディアナお姉様の一言でエレーナお姉様はしぶしぶ諦めた。

あ、どこかほっとする。いつものやり取りが戻ってきた。


パタパタと可愛い足音が二人分聞こえてくる。

ノックの後、侍女を連れられ双子が入ってきた。


「おじ様おきたー?」

「おきてる!ふふふおねぼうさんだー」

「おはよう、世界一やんちゃな双子」

「おじ様神様になったってほんと?」

「ああそうだよ」


すごいすごいと双子は互いを見ながらはしゃいでいる。


「あそうだ、エレーナちゃん私にもスカートから剣出すの教えて」


レイラが無邪気に爆弾を投下し始めた。

ノクスもキラキラとした目でエレーナお姉様をみる。

誰が双子に教えたのか気になる。


「エレーナ、話があるんだけど」

「あー双子一緒に外で遊ぼう」

「遊ぶ遊ぶー」

「お兄様じゃ!」


双子とエレーナお姉様とちゃっかりギルバートは一目散にかけだした。

お叱りから逃れないとおもうけどなー。


「あらあらあの子達ったら、ご飯も食べないで。

そうだお兄様、朝食は召し上がります?」

「僕はいいや。また2日ほど寝るね。神力と魔力馴染ませるのに時間がかかるみたい」

「お兄様起きますよね」


私は不安から涙目になりながら兄を問い詰めるように見てしまった。

倒れてからずっとずっと不安で仕方なかった。

何か確信がほしい。


「大丈夫だよ。約束する」


その一言に安堵する。

兄は約束を破らない。私達には嘘をつかない。

今度は安心して涙と笑みが溢れた。


兄はまた深い眠りにつき二日寝続け、約束通り目を覚まし元気そうにされていた。

一日あけて今日は元気に、でもやる気なさそうに登城された。


私もこの後殿下を見舞うために登城する。

お気に入りのドレスをきて、気合を入れてヘアメイクをする。


今日こそは勝つぞ!打倒殿下!エイエイオー


やっと日常が戻ってきた。

また殿下にからかわれて今日も尻尾巻いて逃げ出したとさ。


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