プロローグ3
私はスピカ・リリーフロスト。
侯爵令嬢である。
勉強はできて(ギルバートの方ができるけど)
運動もできて(エレーナお姉様の方がすごいけど)
美人で(ディアナお姉様には負けるけど)
性格がいい(お兄様ほどじゃないけど)
そんな完璧な人間は国の上に立つべき、立たない理由がない。
昔から権力に興味がったが、恋愛はイマイチわかなかった。
ただ王太子妃になりたいのならそうは言ってられない。
相手の心を掴み、政治を思うように動かしたい。
絶対楽しい。
だというのに今日も今日とてダメだった。
定期的なお茶会も帰りの馬車の中今日の反省会をする。
長くない道のりを帰宅し、兄の執務室をノックする。
ギルバートがドアを開けてくれた。
「お兄様お話があります」
「あーはいはい。
じゃあ二人は今日はもういいよ。本当反省してね」
はいわかりましたとエレーナお姉様が言ったが、何やったかしらないがまたやると思う。
二人が出ていくのを確かめてからお兄様のもとに向かいダイブする。
お兄様はそれをやすやすと受け止めた。
「もうやだーやめだいー」
我慢してた涙腺が崩壊する。
兄にしがみつき淑女の仮面を殴り捨て、泣き叫ぶ。
「やだーもうやだー
ああーあーうーうわぁぁぁーん」
「うんうん、今日はどうしたの」
「全然見向きもされないし
意地悪いうじ、がいわじてくれないじ、ほれてくれないし
言うことぎいてくれないー
恋愛とかわからないもん、やめたいー
もうやだーよー」
「うんうんやめても良いんだよ。
なびかない王太子じゃなくてスピカのこと好きな人と結婚したらいいんだよ」
「いやだー権力ほじーい」
「そっかー権力欲しいかー。侯爵家の権力じゃあダメかな?」
「いやー国家権力がいいー」
「じゃあ他の国はどう?スピカの言うこと聞きそうな人いると思うなぁ」
「いやー家族と離れないーうわぁぁぁん」
30分後まだ鼻を啜ってはいるが落ちつてきた。
「僕の世界一甘ったれの妹、それでいて世界一情熱的な妹。
本当にやめってしまっても誰きも君を責めさせたりしないよ。
君はどうしたい?」
「お兄様、私負けません」
「うん」
「権力も寵愛も手に入れてチヤホヤされます」
「うんうん、もう頑張れるね」
「はいお兄様、私頑張ります」
と意気込んだのはいいものの、次のお茶会で挫けそうになった。
美味しそうなお菓子といい香りの紅茶の横に奇抜なドレスが入った箱があった。
黒と黄色の縞々ドレス。
さながら女王蜂のようだ。
「君のために用意した」
殿下のセンスは悪くないはずだ。
これまでいくつかプレゼントを貰ったがこんな奇抜なものはなかったし、それどころか素敵な贈り物ばかりだった。
のに何故今回はこんな得体の知れないドレスを??
どうやって注文したか気になりはする。
蜂さんイメージと言ったのだろうか。
せめてミツバチとかもう少し可愛くならなかったのか。
え?というかこれ着なきゃ駄目?
何か試されているのだろうか?わからない
「ふふ、冗談だ。例のものを」
女王蜂ドレスが下がり新しい箱が来る。
目で合図され、恐る恐る箱をあける。
そこには薄い藤色に金の刺繍をしてある繊細なドレスだった。
侍女が広げて見せてくれる。
ため息がでるほど綺麗だ。
「良いのですか殿下」
「ああ、次のパーティーで来てくれ。
余もミルクティー色と言いたいがあいにく男性は色がだいたい決まっていてな。このブローチで我慢するよ」
そう言って差し出されたのは私の瞳と同じ空色の宝石がついたものだった。
これあれだ!今気づいた薄い藤色は瞳で金は髪。殿下の色だ!
つまり次のパーティーは互いの色を入れたコーディネートで一緒に出ようということか。
悔しい。先越された。この作戦前に思いついてはいたのに忘れてた。
「スピカそこは嬉しそうに頬を染め微笑めば余を垂らしこめたのに」
殿下は意地悪そうに笑っている。
そうかここは照れながら微笑む場面か。
いやいや敵にアドバイスを送られてどうする。
悔しい。今日もまた負けっぱなしだ。
次こそはと意気込みながら今日も尻尾を巻いて逃げ出した。
泣き虫甘ったれスピカ
令嬢というより幼児
恋は勝負を本当に言葉のままいきます




