エピローグ2
家庭教師が授業に身の入らない私に、気が教師に向くようにしてくれた話しがあった。
神は人間を作った時、手を4本足を4本口を2つ目を4つつけたらしい。
でもあまりにもおしゃべりが止まらないから、一つだった体を二つに分けた。
それでも寄り添ってずっとおしゃべりするから二人を離れ離れにしたんだと。
人間は半身を見つけるために歩くらしい。
いつかその半身に出会うため朝目覚めるのだと。
その話を私はふーんと聞いていた。
正直興味なかった。
今まで出会わなくても生きてきたし、何とも思わなかった。
話が終わるとまた退屈な授業に戻ったので、こっそり抜け出した。
その時私は冒険者が出てくる話に夢中で、自分も隠れて冒険者になるのが夢だった。
護衛を巻いて一人街を歩く。
剣はまだ大きいので、弓はどうだろうか。
でも魔法も捨てがたい。
そんなことを考えながらぐんぐん街を進んでく。
その日はいつも行かない路地裏へ足を運んでいた。
なんちゃって冒険者気取りで。治安がいいと言えない薄暗い路地裏をドンドン進む。
ふとなんとなく塀を越えてみたくなった。
行かなきゃ行けない気がしたので乗り越える。
着地した横に人がいた。
危なかった、人を踏んづけてしまうところだった。
「ごめん…ね」
その子の緑の瞳を見た時、ああ同じ色だと思った。
そして同時に見つけたとも思った。
私の半身ここにいたんだ。
ぎゅっと縮こまり怯えているようだ。
見えるだけでも何ヶ所も痣があった。
私の半身を誰が傷つけたんだ。言いようのない怒りがわくが、それよりも暖かい我が家に連れて行き安心させたかった。
「さぁ一緒行こう」
脈略もなく手を差し出す。
今でも不思議だが、ギルはよく手をとってくれたものだ。
手引っ張り立たせ、明るい方へ歩いていく。
なんとなく家はこっちだと思ったから。
「私の名前はエレーナ・リリーフロスト。
リリーフロスト家の次女で兄、姉、私、妹の四人兄妹だ。
あなたの名前は」
「…ギルバート…ただのギルバート」
少しの間があってから、ぎこちなく自分の名前を教えてくれた。
「そうか、ギルバート。よろしくね」
彼の名前を呼ぶと特別感が胸に駆け巡った。
私の半身は、ギルバートというんだ。ギルバート、ギルバート。
意味もなく何度も口にしたいなー。
意気揚々と進んでいたが嫌なことを思い出す。
家族になんと言えばギルバートを私の側にずっと置けるのだろう。
もちろん離す気はない私は最悪家を出る計画も立てる。
とりあえずお兄様に相談しよう。
まず怒られるだろうけど、後の説得はお兄様が上手いことしてくれるはずだから。
ギルバートには申し訳ないと思いつつ手を取り告げる。
「一緒にお兄様に怒られてほしい」
「…ああ」
そうだよね怒られるの嫌だよね。
気を紛らすために、好きなものや嫌いなこと色んな話をした。
屋敷につき、まずはお兄様に何も言わずに客間で待たせてあるギルバートと会わせた。
案の定、離れ離れになってしまった。
大泣きし訴えても返ってくるのはため息だったので、もう家を出るしかないと思った。
「家を出るってどうやって生きていくの?」
「冒険者になります」
「なってもすぐには生活できないよ。
その間の食事もない寝る場所もない。ジリーがかわいそうだよ。
むしろ、そんな君と一緒にいてくれるのかな」
薄々考えていたことをずばっと言われ返す言葉もなくうつむく。
「僕の世界一わんぱくな妹、それでいて世界一賢い妹。
一旦落ち着いて。まだ僕は何も言っていないだろう。君が望むならジリーと一緒に入れるよう父と母を説得するから」
「本当ですかお兄様」
「ただし条件があるよ。
ジリーの本当の気持ちを聞き、嫌だと言われたら諦めること。
どっちをジリーが選んでも酷い扱いはしない。約束する」
「わかりました」
そのあと一緒にご飯を食べて、一緒にベッドに入る。
何をするのも戸惑っているギルバートはかわいい。
「ねぇギルバート、本当に私と一緒でも大丈夫?
嫌ならお兄様がもっといいところ探すって」
「い、嫌じゃない…です。一緒にいたいです」
「本当?離れたってご飯の心配はしなくていいんだよ」
「あの、失礼だけど、天使様の目をもっと見たいんだ…です」
「目が気に入ってくれたの?嬉しい。来て」
魔法で灯りをつけて鏡の前に二人並ぶ。
「ギルバート見て、私達目一緒なの。
髪はギルバート黒だから違うけど魔法でかえられるからそこまで重要じゃないの。
でも瞳の色は魔法で変えられないから一緒って凄いことなのよ」
「いっしょ」
「そう一緒」
ギルバートの手を取り一緒にくるくる回る。
その日から眠ってしまうまでいつまでもおしゃべりをした。
ああこれは神様にまた離されてしまうかもしれない。
でもそうなるとわかっていてもとめられないのだと確信した。
私の半身、ギルバートいつまでも一緒にいたいな。
暴走する妹にストッパーできてよかったねお兄様




